習い事は全部母が探してきて

岡江久美子と大和田美帆
「はなまる」最終回の打ち上げで母・岡江久美子さんと

── お母さまは仕事も子育ても忙しかったと思いますが、「疲れた」など、おっしゃることはありましたか?

 

大和田さん:それが全然言わなかったんですよね。「私も大変なんだから」「ちょっとは手伝ってよ」って言われたこともなかったし、もちろん私のせいにされたこともなかったです。今あることを全部楽しめた人ですね。母が椅子に座ってボーッとしている姿も観たことがなかったし、頑張りすぎない。手を抜くことが上手だったんだと思います。たしかに部屋がきれいか?って聞かれたら微妙だけど(笑)、私のお弁当を中・高と6年間作り続けながら毎朝生放送に出ていたのは凄かったと思います。

 

あと、『はなまる』以外にドラマの撮影が入ったときはさらにハード。夜中の2、3時に帰ってきて少し仮眠してからお弁当を作ってくれましたが、自分が決めたことだからと半分、意地のような感じで台所に立っていたんじゃないかな。私が朝ご飯を食べるころに「おはよう」と挨拶だけして家を出て行って、8時半には『はなまる』の生放送に出ていました。

 

── お母さんがお仕事で活躍しつつ、美帆さんの習い事もすべてお母さまが見つけてきたそうですね。

 

大和田さん:私が学校から直接帰ってきちゃうと家に誰もいないので、学校からバスに乗って塾や書道、プールなど、習い事が毎日入っていました。当時インターネットがそこまで普及していなかった時代でしたが、私が家でひとりになる時間を少なくするようにしてくれたんだと思います。でも、私が辞めたいって言ったら辞めさせてくれるし、なんでもかんでも甘いかって言ったらそうでもない。私がこれやりたいって言ったら、ま、いいじゃないって、まずはいろいろ経験させてくれたと思います。

 

── 大和田さんの意見も尊重されて。

 

大和田さん:あと、母は家族であっても人としていい距離感を保っているというか、人は人、自分は自分。私に対しても自立したひとりの人として見ていたと思います。自分のことにも忙しい人で、自分がやりたいことは我慢しないし、いい意味で、自分がいちばん大事だったと思いますね。

 

── 娘よりも?

 

大和田さん:それはあるかもしれません。もちろん娘は大事なんですよ。でも、たとえば私が娘を出産した後、「美帆が元気じゃないと子どもが元気にならない。自分が栄養のあるものをちゃんと食べて、好きなことをして、まずは自分の体調やご機嫌を取ることが大事なんだ」と言われました。子どもの頃はもっとこっちを見て欲しかったって思うこともありましたが、そのおかげで自立もできたし。母はやりたいことやるからといって何かを犠牲にするわけでもなく、美帆のことも頑張る。『はなまる』もそう。仕事を引き受けた以上は何かをおろそかにするのではなく、全部頑張る。いい意味で肩の力を抜きながら、仕事も子育ても向き合ってくれたんだと思っています。

 

PROFILE 大和田美帆さん

おおわだ・みほ。1983年生まれ。東京都出身。2003年、舞台『PURE LOVE』でデビュー。ミュージカル『阿国』、音楽劇『ガラスの仮面』、『アマデウス』、『ハリーポッターと呪いの子』など多くの舞台で活躍。「チョイス@病気になった時」にMCとして出演中。1児の母。

 

取材・文/松永怜 写真提供/大和田美帆