「ドラマや映画でいち脇役を演じたい」そのわけは
── これからチャレンジしたいことがあれば教えてください。
みゅうさん:今もときどきラジオやテレビに出演していますが、もっと当たり前の存在として見てもらえる機会を増やしたいなと思っていています。
今は車いすユーザーでこういった活動している方が少ないこともあって、「車いすモデル」と言われがちですが、当たり前の存在としてメディアに出続ければ、いつか「葦原みゅう」としか見られなくなる日が来るはず。そのための目標のひとつが、映画やドラマに脇役として出ることなんです。
── どうして主役ではなく、脇役なのでしょうか?
みゅうさん:たとえば、映画やドラマで障がい者を扱おうとすると、どうしても主役になることが多いんです。それなら私よりも、人気のある女優さんとか俳優さんとか、名前が売れている人が演じたほうが、たくさんの方が観てくれると思います。
どうして脇役で出たいかというと、車いすユーザーが自然に社会になじんでいる様子をもっと映像で見せたいから。クラスメイトや、同僚のひとりとして。今の世の中、障がい者雇用も進んでいるので、会社にいても不自然じゃないですよね。同じ空間に障がい者と健常者が一緒にいる様子を、エンタメとして発信することによって、身内に車いすユーザーがいない人にも、当たり前の存在としてみられるようになると思うんです。映像で見てもらうだけで伝えられることってたくさんあると思うので、とにかくその機会を増やしたいなと思っています。
── あくまで日常のひとコマとして映してほしいということですね。
みゅうさん:そうです。自分が主役だと、車いすユーザーの物語に興味がある人だけが目にすることになってしまう。もっと自然な形で、いろんな人に見てもらえる機会を増やしたいなと思っています。
PROFILE 葦原みゅうさん
あしはら・みゅう。車いすユーザーで、モデルやインフルエンサーとして活動。ミラノ、パリ、ニューヨークなど各国のファッションショーで活躍する。東京2020パラリンピック閉会式やMISIAデビュー25周年アリーナツアーではパフォーマーとしても出演。
取材・文/市岡ひかり 写真提供/葦原みゅう