大学院の授業のために、パソコン教室にも通い

斉藤慶子
一般企業にて大学院の修士論文のためのヒアリングをしているところ

── ところで55歳のときに慶應義塾大学大学院のメディアデザイン科に2年間通われました。何かきっかけがあったのでしょうか。

 

斉藤さん:芸能界のお仕事が始まって大学を中退していたので、いつかちゃんと卒業したいと思っていたんです。あと、もともと学ぶことが好きで、船舶免許とかスキューバダイビングの免許も取ったし、大学院では黒板に向かって授業を受けてみたかったんですよね。

 

── 大学院の授業のためにパソコン教室にも通ったそうですね。

 

斉藤さん:携帯は使えましたが、パソコンはほぼ使ったことがなかったんです。パソコン教室ではエクセルやワードも習いながら、半年くらい通いましたね。新鮮で楽しかったですよ。

 

── 大学院のクラスには、さまざまな年齢層の方がいらっしゃいましたか?

 

斉藤さん:私が通ったクラスは私が最年長で、あとは大学を出たばかりの23、4歳の人がほとんど。たまに30代、40代が少しいるくらいかな。講義の後は課題があったので、大学院でできた友だちと相談しながらやりました。

 

あと、入学して早々に泊まりがけで研修があったのも、みんなと距離が近くなれたひとつかもしれません。教授を含め、貸切バスで30〜40人くらいで湯河原の研修センターに行きました。研修は充実していたけれど、部屋ではどうやって過ごすのか。たとえば夜はどうやって寝るのかな。3、4人部屋かな、2人は無理よね、と思っていたら6人で雑魚寝でした。懇親会ではみんなすごくお酒を飲むから、私は先に部屋に戻っていい場所を確保しながら寝ていると、途中から1人、2人帰ってくる。トイレは誰かが汚して使えないとか、ザ・学生時代を思い出すような光景でした(笑)。

 

── 世代の違う方とのコミュニケーションはいかがでしたか?

 

斉藤さん:意外と大丈夫でしたね。学校が終わってからご飯に行ったり、レポートの相談したり。あと、そもそも私を知らない世代の方たちと演劇とかやってました。

 

── 斉藤さんの演技が際立って本格的に見えそうですが…?

 

斉藤さん:みんなでフィルムを撮って発表しましたが、私が演出をしたら「うまいですね、演劇部だったんですか?」と、聞かれたことはありました(笑)。クラスで一緒だった若い世代がみんなかわいくて、みなさん純粋というか素朴な方も多かったし、みんなも器用にやってるんです。ちゃんと衣装で着る割烹着を持ってきたり、小道具作ってきたり。段ボールでベッドを作ったりして、発表会でやりました。大学院生活は簡単じゃないですけど、楽しかったですね。

 

── 今後、また学びたいものがあれば大学院に行きますか?

 

斉藤さん:興味はあるけど難しいですかね。ただ、先のことはわからないですが私、自分の人生が楽しくて大好きなんです。これからもいろいろな学びやワクワクする体験が待っていると思うと、今から楽しみです。

 

PROFILE 斉藤慶子さん

さいとう・けいこ。1961年生まれ。宮崎県出身。82年大学在学中にJAL沖縄キャンペーンガールに選出されて芸能界へ。モデル、俳優、タレント、番組司会など幅広く活躍。現在は1児の母。

 

取材・文/松永怜 写真提供/斉藤慶子