手術中泣いていた母…親になった今はその気持ちがよくわかる
── 入院中、気持ちの支えになったのはどんなものだったのでしょうか。
スギちゃん:たしかに手術までは怖さしかなかったし、入院中は寂しく思うこともあったんですけど、手術後は正直、入院生活を楽しんでいたんです。病院内には季節ごとの行事があって、ひな祭りのときに、俺がお内裏様の格好をして、同じくらいの年齢の女の子がおひな様の格好をしたりした記憶があります。
入院で半年間も病院にいたから、その間にいろんな病室を回って、おじいちゃんおばあちゃんと仲良くなったりもしていたので、それも楽しかったんです。
── お母さまは手術中泣いていた、とのことですが、子を持つ親としては、病気の子どもにどうかかわっていけばいいのかも悩みどころだと思います。当時、親からの励ましで印象に残っていることはありますか。
スギちゃん:何でしょうね…。入院中は親が病室に泊まれなかったので、すごく心細かったんですよね。親に「帰らないで」って泣いたこともあります。ただ、もし親にどんなふうに声をかけてもらえたとしても、検査や手術は自分で受けるしかない。結局は自力でどうにかするしかないんですよね。
ただ、今息子が小学1年生ですけど、もし2年後に手術することになるって考えたら、親にとっては本当に大変なことだったんだろうなって。結局、自分が親の立場だったとしても、子どもの心に残るかどうかはわからないけど「大丈夫だよ」って励ますぐらいしかできないんだろうな、と思います。
PROFILE スギちゃん
1973年、愛知県生まれ。95年にお笑い芸人として活動開始、2012年「ワイルドだろぉ」の決め台詞で『R-1ぐらんぷり』にて準優勝を勝ち取りブレイク。プライベートでは2児の父でもある。
取材・文/市岡ひかり 写真提供/スギちゃん