最終目標から逆算して、中目標、小目標を攻略していく
── 目標というのは?
倉持さん:グラビアアイドルとしての私の最終目標は『週刊プレイボーイ』の表紙に載ることでした。その目標を達成するためにはどうすればいいのかを逆算したんです。
『週プレ』の表紙に載った方は、その前にどの雑誌の表紙をやったんだろう、その雑誌の表紙に載るにはどうすればいいんだろう、と調べていくと、同じ雑誌の巻末や巻中のグラビアをやっている。じゃあそこに出るには、写真集やDVDがどれくらい売れればいいんだろう、と逆算していきました。「週プレの表紙」というラスボスを倒すために中ボス、小ボスの攻略方法を考えていくのは楽しかったですね。
── 戦略的ですね。
倉持さん:最終目標から逆算して、中目標、小目標を決めるのはおすすめです。中目標、小目標がないまま「ビッグになるぜ!」とか「売れてやる!」という気持ちだけでやっているといつの間にか迷子になっちゃうけれど、道しるべがあると「今やっていることは最終目標につながっているはず」という自信が持てますよね。小さい目標を達成することで、自己肯定感も上がります。
── そうして着実に目標へ近づいていかれたのですね。
倉持さん:「尻職人」として、『週プレ』でも巻中や巻末でグラビアをやらせていただきました。でもなかなか表紙になれない。仲のいい担当編集者さんに「どうして表紙になれないんですか」と相談したら、「倉持はSNSで尻を出しすぎて、新鮮味がない」と言われてしまったんです。『週プレ』の表紙になるために知名度を上げようとやってきたことが、ここで足を引っ張ってしまうのか…と思って、そのとき初めて心が折れそうになりました。
でも、マネージャーさんと担当編集者さんに「あきらめないで!」と励ましてもらって、1週間でSNSで100万いいねを集めたら『週プレ』の表紙をゲットできる「100万いいねプロジェクト」という企画を作ってもらって、それに挑戦することにしたんです。
「新鮮味はないかもしれないけど、そのぶん大勢の人が応援してくれている」というストーリーで、編集担当者さんが編集部を説得してくださいました。「そうはいってもさすがに100万いいねなんて無理かもしれない…」と思っていたのですが、始めてみたら今まで出させていただいたほかの雑誌の編集者さんや、ほかの事務所のグラドルさんまでがSNSで拡散してくださったんです!これまでに出会った方たちがみんな応援してくれていることが嬉しくて、泣きっぱなしでした。結局、5日間で100万いいねを達成して、沖縄で撮影したグラビアで表紙を飾ることができました。
── ついに目標を達成されたお気持ちは?
倉持さん:嬉しかったですね。「初登場、初表紙!」という方もたくさんいますし、普通は100万いいねを集めなくても表紙になれると思うんですけど(笑)。泥臭く、みなさんに力をいただいて勝ち取ったことはいい思い出になりました。それが26歳のときだったので、目標をかなえるまで13年かかったんです。目標を達成したことで、1回燃え尽きたというか。グラビアアイドルとしての人生は、「第一部 完」という感じがしました。
そのころには、今の夫と交際して年月も経っていましたし、夫のプロゲーマーという仕事が認知されて生活が安定していたのと、私も目標を達成してやりたいことをやりきったので、「結婚しようか」ということになったんです。
PROFILE 倉持由香さん
くらもち・ゆか。グラビアアイドル、タレント。1991年11月6日生まれ、千葉県出身。B型。コンプレックスであった「100cmのお尻」を武器に、美尻を強調した自画撮りをTwitterへ投稿、自称「尻職人」として注目を集める。「#グラドル自画撮り部」を立ち上げ、グラビアアイドルたちが自画撮りをSNSに投稿するムーブメントを生み出した。2019年にプロゲーマーのふ~どさんと結婚。2021年に長男を出産。
取材・文/林優子 写真提供/倉持由香