特別なことは何も望んでいません
── 太郎くんが成長して、どんな道を選ぶのか楽しみですね。
山口さん:太郎の場合、代理母出産で生まれました。それは変えようのないことなので、差別や偏見にあっても闘えるような強い人間になってもらいたいですね。そして、本当の意味で自由な日本を作り上げていってほしいです。
── 日本における代理母出産の立ち位置も変わっていくでしょうか。
山口さん:変わってほしいですね。卵子提供、精子提供がもっと一般化してほしい。ぼくの周りには結婚したくないけど、子どもはほしいという人がけっこういます。夫婦やカップル以外、そういうものは提供されないことが多いんですが、アメリカのようにシングルでも経済状況が許せば、代理出産できるようになってほしい。日本は少子化も進んでいるし、その問題を解決する意味でも、シングルでも子どもを持てる道が開ければいいなと思います。時間がかかったとしても。
山口さんの妻:去年、代理母仲間にクリスマス会に誘われて行ったんです。そこにはパパが元女性だとかママが元男性という人たちもいましたが、みんな普通に振る舞っていました。日本では特別なことかもしれないけれど、アメリカではすでにごく普通のこと。隠したいことではなく、普通のことになってほしいです。
山口さん:本当にそう思いますね。ぼくらは特別なことは何も望んでいません。ただ、どこにでも存在する普通の家族になりたい。それだけを願っています。
PROFILE 山口敏太郎さん
やまぐち・びんたろう。1966年、徳島県生まれ。1990年代よりオカルト作家・研究家として活躍。「オカルト界の巨匠」と呼ばれる。多彩なクリエイターのマネージメントを行う山口敏太郎タートルカンパニー代表。2022年に代理母出産にて長男・太郎くんが誕生。
取材・文/原田早知 写真提供/山口敏太郎