「フィーリングが合う」「ケンカをしたことがない」。そんな夫婦でさえ、時間の経過や家族環境の変化で、ついグチを言ったり、察してよと思って相手にイラついたり。フリーアナウンサーの川田裕美さんが夫婦で決めたルールにハッとさせられ人もいるのでは?(全4回中の4回)

「結婚願望はなかったけれど…」同じ波長の彼に出会って

川田裕美さん
あじさい柄の浴衣が映える川田裕美さん

── 2019年に作曲家の男性と結婚されています。出会いのきっかけを教えてもらえますか。

 

川田さん:夫とは、私の登山仲間の紹介で知り合いました。第一印象はあまり覚えていないけれど、初めて一緒に食事をしたとき、その空間がなんだか心地よかったんですよね。波長が合うってこういうことなんだっていうのが初めてわかったというか。言葉のキャッチボールにしても、うまくタイミングが合うとこんな楽しいんだ、って思ったのがとにかく記憶に残っています。

 

── もともと結婚願望はありましたか?「この人だったら」という結婚の決め手になったものは何だったのでしょう。

 

川田さん:私自身、それほど結婚願望はなかったというか。昔は仕事と結婚・出産を天秤にかけて、どちらかしかできないだろうと考えているところがありました。30代にさしかかると周りも結婚しだして焦りがないわけではなかったけれど、でも、そのときはまだ「仕事が第一!」って思っていました。いまだと、どちらかだけに決める必要はないとわかるんですが。

 

出産直後の川田裕美さんとお子さん
長男を出産直後。優しい笑顔の川田さん

ただ「人生の最終目標は何ですか?」と聞かれたとき、家族と幸せに暮らすのがいちばんだなと思って。それがぼんやり頭にあって「いつか家族が持てたらいいな」とは、どこかでずっと思っていた気がします。彼は家族をすごく大事にしていて「こんな家庭だったらいいな」という彼のビジョンを聞いたとき、私と同じだなと感じました。

 

あと、彼はわからないことはわからないとはっきり言うタイプで、そこも同じだなと感じて。たとえば初めて彼と会ったとき、食事の途中で「じつはこの店、下見をしたんだ」なんてポロッと言うんです(笑)。そんなこと言わないほうがいいのに、なんかそういうカッコつけないところが逆にいいなと思いましたね。

「ささいなことも」夫婦は何でも言える関係でありたい

── お子さんが生まれたことで、夫婦関係に変化はありましたか?

 

川田さん:あまり変わらないですね。変わったことといえば、ささいなことでも話すようになったことでしょうか。もともとたくさん話すほうだったけれど、子どもが生まれてからはさらに話すようになりました。出産する前は夫とケンカをしたことは一度もなかったんです。でも、出産してからはお互いいっぱいいっぱいで、不穏な空気になることがたびたびあって(笑)。そんなときは、とにかく話をしていました。

 

何も言わずに気づいてよ、というのはさすがに夫もかわいそうだなと思ったので、妊娠中から「いま自分の身体はどういう状態で、どこが痛いのか」というのも、全部伝えるようにしていました。いまもそう。「あれ、なんか今日のパパちょっとイライラしているな」と思ったら、話を聞かなきゃなって思ったり。自分も疲れているからほうっておこうではなくて、あえて話をするようにしています。夫婦といえども話さないとわからないことだらけなので、聞かないと本当の気持ちはわからない。

 

川田裕美さんとお子さん
長男、長女との自宅での一コマ

なかには触れられたくないと思う人もいるかもしれません。でも唯一、吐き出せる相手が私であってほしいし、私にも言えないことはないほうがいいなと思っていて。自分もそうですけど、つらかったらやっぱり聞いてほしいし、一緒に考えたい。

 

2人目が生まれたころ、子育てが大変すぎて、私の仕事を全部ストップしたほうがいいかな、と悩んだ時期がありました。つねにどちらかの子が風邪をひいて、それを私たちがもらって家族みんなが倒れることもあって。仕事が回らなくて、どうにもたちゆかない状況になってしまって…。でも、まず夫に相談すると決めていたので、考えていることを全部話してみたんです。そうしたら、「じゃあどこから解決していこうか、誰に助けをお願いしようか」と、ひとつずつクリアしていくことができました。

家族の夢に向かって「私も英語の勉強を始めました」

── ご夫婦の子育てのモットーは?

 

川田さん:夫婦が楽しく過ごしていること。それが子どもたちにもいいだろうなと思うので、自分たちも楽しむようにしています。時間を見つけては、みんながワクワクするようなことをちょこちょこやるようにしたり。いまは夫と「次の休日どこに行く?」と、休みの予定を立てる時間がいちばん楽しいですね。
 

── この先、家族でしてみたいことはありますか?

 

川田さん:子どもたちがもう少し大きくなったら、家族でいろいろな国に行けたらと思っています。いまの時代、日本だけではなくて、ほかの国の人と友だちになってくれたらいいなという気持ちがあって。日本という小さな国の中の、しかも東京という狭い場所で、比較や競争をするのではなく、もっと大きな視点で楽しく過ごしてくれたらと。私もこの年になって、英語の勉強を始めました(笑)。家族でいっぱい旅をして、ゆくゆくは子どもたちに、私たち夫婦の知らない国に連れていってもらえたら。いつかそんな日がくるといいなと思っています。

 

PROFILE 川田裕美さん

かわた・ひろみ。1983年生まれ、大阪府出身。和歌山大学経済学部卒。2006年読売テレビ入社。アナウンサーとして活躍し、『情報ライブ ミヤネ屋』で注目を集める。2015年読売テレビを退社し、フリーに転身。現在日本テレビ『ヒルナンデス!』水曜レギュラー、日本テレビ『1周回って知らない話』、読売テレビ『ピーチCAFE』ほか出演中

 

取材・文/小野寺悦子 写真提供/セント・フォース