頑張りすぎちゃう自分がいた。でも、子育てが始まるとそうはいっていられない。2児の母でもある川田裕美さんもそんな自分に直面していました。どうやって心身のハードルを下げていったのでしょうか。(全4回中の3回)

イヤイヤ期は何も考えられず「無」の境地に

川田裕美さんとお子さん
夏休みの家族旅行の様子

── 男の子と女の子、2人のお子さんのお母さんでもある川田さん。いま4歳と2歳でやんちゃ盛りですね。

 

川田さん:かわいいけれど、いちばん大変な時期ですね。上の子のイヤイヤ期では、せっかく作った食事をバーンとひっくり返されたり。しんどすぎて何も考えられず、いったん無になったり。「これはもう少しで終わる。いまだけ、いまだけ」と自分に言い聞かせて乗り越えていました。でも、下の子が2歳になったこともあり、大変な時期はまだ続いています。毎日必死で、もう白目をむきそうです(笑)。

 

── ご夫婦間で家事育児の分担はされていますか?

 

川田さん:とくに分担はしてないですね。私のなかで、ムリして家事をやらないようにしようと妊娠中から決めていました。たとえば、頑張れば洗濯物をたためなくもないけれど、あえてやらないとか。できる範囲はやったほうがいいんでしょうが、ムリしてそれを続けられるか考えたときに「やめておこう。このぐちゃぐちゃの状態もすべて夫にもみてもらおう」と思って。そのほうが夫も自発的に動いてくれるんですよね。いい奥さんではないかもしれないけれど、私はそれくらいでいいかなって、ちょっと開き直っています(笑)。

 

もともと長女気質なところがあって、過去の自分を振り返ると「私がやらなきゃ!」という場面が多くて。いい彼女になりたいと頑張りすぎちゃう部分もあったけど、そうするとしんどいからやっぱり続かない。相手も「君がやってくれるなら、じゃあお願い」となってしまうので、もうそうはなりたくないと思って。夫が得意なことは任せるようにしています。

 

── 旦那さんが得意なこととは?

 

川田さん:料理の味つけに関しては夫のほうが得意なので、そこは任せています。私も料理は嫌いではないけれど、味見をしていると何がたりないかわからなくなってしまうんですよね。ただ夫は野菜を切ったり、下ごしらえをしたりするのはそんなに好きではないので、そこは私が引き受けて。最後に炒めたり味つけをしたりする部分を夫に頼んでいます。

 

私が味つけをしたら料理の出来は私にかかってくるけれど、夫がすれば全部、夫のせいになるじゃないですか(笑)。ただ、子どもたちの分は、まだ大人と完全には同じものが食べられないので。料理を大人、娘、息子と3パターン作ることもあって、そこはなかなか大変です。

子どもは「別人格」とは思うけれど

── 子どもの食事に関して悩んだことはありますか?

 

川田さん:上の子は好き嫌いが多くて、私のせいじゃないかと悩んだことがありました。自分が素材の味をきちんと引き出せていないから野菜が食べられないんじゃないか、いろいろなものを食べさせていないから好き嫌いが多いんじゃないかと…。解決策はないかと検索してみたら、バクバク食べている子どもたちの映像が出てきて、余計にへこんだこともありました(笑)。

 

でも、同じように育てているのに、下の子は初めてのものでもどんどん手を出して食べるんですよね。すごく悩んでいたけれど、生まれ持ったものもある程度はあるとわかって、ちょっと気持ちがラクになりました。妹が食べているのを見て、お兄ちゃんが食べだすようなこともあったり、単純に年齢が上がって食べる量が増えたりと、お兄ちゃんの好き嫌いも少しずつですけど改善してきています。

 

── 子育てで心がけていることは何でしょう。

 

川田さん:自分の所有物ではないんだ、と思うようにしています。自分の分身のように扱わない、自分のものと見てはいけない、子どもとはいえども別の人格がある、と自分に言い聞かせるようにしています。気をつけなきゃと思いながらも「なんでこれができないの!」と思うことがよくあって。でも、息子と娘は別の人格だから、私ができて彼らができないこともある。逆にこの子たちができて、私にできないこともあるはず。そう考えつつ、もうちょっと見守ってみようと思うようにしています。

 

もうひとつは周りの子たちと比べないようにしよう、というのも心がけているところです。「周りの子はできているのにうちの子はできてない」とか、ついつい考えてしまうことがあって。「こんな狭い世界で比べちゃダメ、比べちゃダメ」と、もう葛藤の連続です。この先、学校に行き出したら、クラスの中が本人にとっては全世界になってしまうでしょう。でも、そうじゃないんだよと言ってあげられるように、自分が広い視野でいなければと思っています。

 

PROFILE 川田裕美さん

かわた・ひろみ。1983年生まれ、大阪府出身。和歌山大学経済学部卒。2006年読売テレビ入社。アナウンサーとして活躍し、『情報ライブ ミヤネ屋』で注目を集める。2015年読売テレビを退社し、フリーに転身。現在日本テレビ『ヒルナンデス!』水曜レギュラー、日本テレビ『1周回って知らない話』、読売テレビ『ピーチCAFE』ほか出演中

 

取材・文/小野寺悦子 写真提供/セント・フォース