仕事もない、お金もないどん底を経験した中武佳奈子さん。不幸に突き進むなか、笑顔が生まれた瞬間、希望が宿ります。明石家さんまさんがはなったひと言、そして残したメッセージ。苦境のなか、中武さんが前を向けた貴重なエピソードを聞きました。(全5回中の5回)

偶然の再会から27年ぶりの番組同窓会が開かれて

『あっぱれさんま大先生』の27年ぶりの同窓会
『あっぱれさんま大先生』の27年ぶりの同窓会

── 昨年、『あっぱれさんま大先生2023同窓会スペシャル』が放送され、話題をよびました。リアルタイムで見ていた世代としては、大人になった皆さんの姿を見て、感慨深い思いがありました。メンバーが集まるのは27年ぶりだったそうですね。

 

中武さん:懐かしかったですね。メンバーやさんまさんとのトークに、当時の思い出がよみがえりました。山崎裕太くんや内山信二くんのように、芸能活動を頑張っている子もいれば、芸能界を離れて働いていたり、ママになっている子もいて。それぞれ道は違うけれど、私と違って立派に生きている人ばかりで、すごくキラキラと輝いて見えましたね。

 

── 番組では「雑草を食べたりしている」と、自身の近況を明るく話されていらっしゃいました。

 

中武さん:全員がまっとうな人生を歩んでいたので、「これなら逆に、私みたいなのがひとりいてもいいんじゃない?」と思ったんです(笑)。

 

── なるほど(笑)。同窓会スペシャルは、メンバー主導の企画だったそうですね。

 

中武さん:(山崎)裕太くんが旗振り役になって、企画をしてくれました。じつは、裕太君とは彼のインスタライブで偶然に再会したんです。ファンへの生電話企画で、たまたま一緒にいた私の友人が当選して、そのときに、数十年ぶりに会話をしたんです。

 

「いま何してんの!?」と言われ、自分の状況を伝えたら、「そんなことになってたんだ…」と驚かれました。関西に住んでいるので、当初は東京までの交通費が厳しくて、同窓会を辞退しようと思ったのですが、いったん立て替えてもらうことで参加することができました。いまも生活に余裕があるわけではないのですが、バイトと副業で生活が回るようになってきたところです。

昼は売店で夜は配膳のバイト「最近はYouTubeも始めました」

── 忙しそうですね。いまもバイトのかけもちをされているのですか?

 

中武さん:そうですね。バイト三昧の日々です(笑)。日中はプールの売店、夜は野球場の観覧室での配膳をしているほか、週末は清掃やバーベキューのバイトもしています。昨年からは、YouTubeの投稿も始めました。

 

── YouTubeを始めたきっかけは、明石家さんまさんのアドバイスだったそうですね。

 

中武さん:そうなんです。『あっぱれ』の同窓会のときに「最近なにしてんの?」と聞かれ、「生活のためにアルミ缶、拾ってます」と言ったら「めっちゃおもしろいじゃん!」と言われて(笑)。その場にいたメンバーのなかで、唯一、裕太くんがYouTubeをやっているのですが、「YouTubeでも、少なからずお金を稼ぐことができるよ」と教えてくれたんです。そのときに、さんまさんが「やってみたらどう?いい経験持ってるんだから、それをしゃべったらええねん!」と、励ましてくださったんですね。

 

YouTubeチャンネル「中武佳奈子は生きている」
YouTubeチャンネル「中武佳奈子は生きている」では、一人語りなどさまざまな企画を実施

私の経験をネガティブにとらえず、前向きな力に変えてくださって、嬉しかったですね。その言葉に勇気をもらい、思いきって踏み出してみることにしたんです。ただ、さんまさんに救われたのは、それが2度目なんです。

 

── 2度救われたというのは…?

 

中武さん:以前、生活に困窮して心身が疲弊し、笑うことができなくなっていたときに、『あっぱれ』の卒業式で、さんまさんから頂いた手紙を偶然みつけたんです。そこには「どんなときでも笑っていてほしい」「佳奈子の笑顔が幸せを呼ぶから」といったメッセージが書かれていて、「人生笑ったもん勝ち」という言葉で締められていました。それを見た瞬間、ガチガチに固まっていた心が、フッとほどけていく感じがして、そこからだんだんと日常でも笑えるようになったんです。やっぱりすごい方だと思いましたね。