「ちょっとしたすきま時間にできて、しんどかった身体がシャンとした感じがする!」と評判の「背骨リセット」。考案したのは、神経内科医の久手堅司(くでけん・つかさ)さんとパーソナルトレーナーの賀来大樹(かく・だいき)さん。「なんとなく不調…」と悩む人にこそ試してほしいという、超簡単メソッドを教えてもらいました。
季節の変わり目に増える体調不良の「意外な原因」
「梅雨から秋にかけては、不調を訴えて受診される方が増えます」と久手堅さん。首のこりや肩のこり、腰痛などの慢性痛をはじめ、身体のだるさ、めまい、不眠、胃の不調などの自律神経に関する不調、原因のわからない不調など、「症状は患者さんによってさまざま」だといいます。
そんな久手堅さんは以前、患者の抱える不調に対して治療を行いつつも、もどかしさを感じることがあったそう。
「今まで『どうやって(根本から)治すの?』という部分を詳しくお伝えできていなかったんです。そこで、パーソナルトレーナーの賀来さんと協働することで、診断や投薬といった医療だけではなく、運動からのアプローチも提案しています」(久手堅さん)
不調がデフォルトになっている原因は「背骨のズレ」かも
30・40代の働く女性には「日々、体がだるい。ちょっとしたことでイライラしてしまう」「腰痛で子どもを抱っこするのがキツイ」「立ち上がったときにめまいがする」といった身体の不調を抱えている人は多いもの。久手堅さんと賀来さんは、これらを「年のせい」と片づけている人が多いことを心配し、「背骨のズレが原因かもしれない」と警鐘を鳴らします。そして、「不調を改善する近道は、背骨のズレを正すことにある」と提言。いったいどういうことでしょう?
それを理解するために、まず人体の構造を考えてみましょう。人間の身体には必ず背骨があり、そのまわりを筋肉が覆っています。たとえるなら、骨がウェットスーツを着ているような状態。
このウェットスーツであるところの筋肉の一部が、何らかの要因によって引っ張られる(=ゆがむ)と、全身のバランスが崩れ、身体に支障をきたしてしまうといいます。このズレをほうっておくと、姿勢は崩れたまま固まってしまうのです。
さらに、背骨は自律神経の通り道でもあるため、背骨がゆがんでいると、自立神経の伝達ルートが妨げられてしまいます。「自律神経が乱れている人は、骨格のゆがみが強いことが多いです。頭が前に出ていたり、肩の高さが左右で違っていたり。レントゲンを撮ると、たいていの場合は背骨にゆがみがあります」(久手堅さん)
背骨がゆがんでいるということは、支えている筋肉が過度にこっていたり、伸びていたりするということ。だからといって、やみくもにストレッチをするだけでは対策として十分とはいえません。「使えていない筋肉を動かすことが必要です。ゆるめるところはゆるめて、鍛えるところは鍛える。個人の抱える不調や、その人に合ったメソッドを選び、実践できるのが『背骨リセット』なんです」(賀来さん)