うつ病も大学受験の失敗も今につながっている

── いけちゃんさんにとって、人生の転機っていつだったと思いますか?

 

いけちゃん:うつ病になって、大学受験の浪人をしたことが自分にとってはよかったのかもしれません。浪人というよりも、志望の大学に入学できなかったことですね。

 

いけちゃん
うつにならなければグラビアで雑誌の表紙を飾ることもなかったと話す(Instagramより)

── それが奮起するきっかけになったということ?

 

いけちゃん:そうですね。もし第一志望の大学に受かっていたら、普通にエリートコースを目指していたはず。絶対に今みたいなYouTuberになるタイプではなかったので。団体行動が苦手だったし、できるだけいい大学を出て大学院に行って、研究者になっていたと思います。研究職に就けたら、あまり人とはかかわらずにすむので。死ぬまでそれを突き通す予定でした(笑)。

 

── たしかに、保健室登校だった学生時代からYouTuberの今って、振り幅が大きいですよね。

 

いけちゃん:希望の大学に入れなくて落胆して、想定していた偏差値よりも低い学校に進学したところから、それまでとは全然違う道を選ぶようになった気がします。直感的にインフルエンサーがいいかもって思って、YouTubeを始めて。そのときどきの直感を信じて突き進んだ結果、今に至っています(笑)。

 

── 最近はダブルワークや副業を持つことも推奨されていますが、実際にいくつもの肩書を持ついけちゃんさんは、今の状況をどうお考えですか。

 

いけちゃん:ダブルワークとかトリプルワークって聞こえはいいけれど、どれも結局、中途半端になる可能性があります。個人的には、何かひとつの仕事を突き詰めている人のほうがカッコいいなって。今の自分の課題は、すべてのことが広く浅くなっていること。建築が本業の人と比べると、どんどん遅れを取っているようにも感じて焦る気持ちもあります。建築って、知識がまず重要で、そこに経験の積み上げが必要になってくるので。私にはそれがたりていないなって痛感するときが多々あって、肩身が狭い思いもあります。

 

だから、今後は建築の勉強はもっと頑張らなきゃって。一級建築士を取ってからのほうが、知りませんでは済ませられない状況になっているので。年齢的にも、建築に本業レベルで励まなければって考えています。グラビアもインフルエンサーの活動も続けながらも、建築も頑張りたい。そのなかで、古民家の改修や、空き家対策、地域創生のような社会的なテーマを長期的に取り組んでいけたらと。

 

── いろいろな分野で頑張っていますよね。ご両親の反応はいかがですか?

 

いけちゃん:親からはやっと何も言われなくなりましたね。最初はYouTuberをやることにも大反対されていたのですが。最近は、3か月に1回くらいは実家にも顔を出しています。親孝行につながっているのかも。

 

親から言われているわけではないのですが、もうひとつ悩んでいるのが、結婚や出産のタイミング。今27歳なんですよ。結婚願望はあるんですけど、秋田と東京の二拠点生活を続けていると忙しすぎて、婚期を逃してしまうんじゃないかとちょっと不安です(笑)。

 

PROFILE いけちゃん

1997年、秋田県生まれ。登録者数 52万人、動画の総再生回数1億630万回の人気YouTuber。グラドルとしても活動しながら一級建築士の資格を取得し、建築事務所にも勤務している。

 

取材・文/池守りぜね 写真提供/いけちゃん