2022年5月11日に逝去した上島竜兵さん。あれから2年の月日が流れ、今年、3回忌を迎えました。「何もない日常が一番幸せ」と話す妻の広川ひかるさんに、現在の思いを伺いました。(全3回中の3回)

前向きに歩んでいくことが、お世話になった方への恩返し

── 3回忌を迎えた現在のお気持ちをお聞かせください。

 

広川さん:あっという間のようでもあり、「まだ2年」という感じでもあります。いろんなことがありすぎて、ずっと昔のことのようにも感じられます。でも皆さんが協力してくださって、無事に法事を執り行うことができました。次の法事は4年後の七回忌なので、とりあえずここでひと区切りにして、日常に戻っていかないといけないなと思っています。ただ、私にとっての日常は「竜ちゃんがいる毎日」だったので…。

 

それでも、今まで支えてくれた親族や友人に、「元気でやっているよ」と思ってもらえるように、前向きに歩んでいきたいと思っています。それがお世話になった皆さんへの恩返しにもなるような気がしています。

夫亡き後に受けたがん宣告「竜ちゃんがいないことに比べたら」

犬嫌いの竜兵さんがかわいがった愛犬のももでんと
犬嫌いの竜兵さんがかわいがった愛犬のももでんと

── 上島さんが亡くなった直後に乳がんが発覚したそうですが…。

 

広川さん:竜ちゃんが亡くなった後で胸にしこりがあることに気づき、検査を受けたところ「乳がん」であることが発覚しました。大きすぎるショックの影響が、形になって体に現れたんじゃないかなと思っています。宣告を受けたときは「あ、そうなんだ」という達観したような気持ち。ただ、当時は竜ちゃんが亡くなった後のさまざまな手続きに追われて本当に忙しかったので、検査の段階で「時間がないから、全摘しちゃっていいです」くらいの感覚でした。

 

それでも、転移がないことがわかって「早く気づいてよかった」と思いました。東京の病院で摘出手術を受け、1週間ほど入院。その後は埼玉の家から通える病院に転院して、放射線治療を続けました。

 

── 闘病中に大変だったことを教えてください。

 

広川さん:体力が落ち、痩せてしまったので健康管理が大変でした。でも気持ちの落ち込みはそこまではなくて。「竜ちゃんがいないことに比べたら全然、たいしたことない」と思っていました。今でも2か月に一度病院で検査を受けていますが、おかげさまで再発はしていません。