食事中に鏡を見ながらおいしそうな表情を研究
── アンジェラ佐藤さんは、食べ方がきれいですが、当時から気をつけていたのでしょうか。
アンジェラ佐藤さん:わあ!せっかくほめてくださったのにごめんなさい。私、元々は食べ方がすごく汚いんです。でも、大食いに携わるようになってから、きれいに食べるようにすごく気をつけています。たとえば、先輩大食いタレントの三宅智子さんは食べ方がすごくきれいで。そういった方々を研究してきました。
普段から、自宅でご飯を食べるときにはスタンド式の鏡を目の前に置いて、「自分はおいしいと思ったときにどういう顔をするんだろう」って表情の研究をしてきたし、これは今でもしています。
でも、大食い王を決める大会にはやはり本気で挑みたいので、もちろんきれいに食べるように努力はするのですが、どうしても戦いに夢中になってしまいますね。口のまわりにケチャップをつけたまま食べたり、肉をひきちぎったり、そこはちょっと、フードアスリート・アンジェラ佐藤に注目してください、というのが正直な気持ちです(笑)。
トラ、ライオン、大型犬…動物で一番強かったのは
── 動物ともたくさん闘っていますよね!特にアザラシと闘っている動画は、めちゃくちゃ笑いました。
アンジェラ佐藤さん:そうなんです。今までトラ、ライオン、ポニー、アイリッシュハウンドドッグという大型犬、ラ王の国王という謎の馬など、大食いタレントでは誰よりもたくさん動物と闘いました。でも、一番強いのってアザラシなんです。これって、イベントでクイズにすることが多いのですが、アザラシは5kgの魚を1秒で飲めちゃうんですよ。半端ないですね。全然かなうわけがないんです。大量の魚がアザラシの胃にシュンッって一瞬にして消えていくから。だから私も最終的には、マヨネーズを使ってすべりをよくする…なんてことも。
── アザラシとの勝負にかける闘志が素晴らしいです(笑)。
アンジェラ佐藤さん:私、アホっていうか、おもしろいことが大好きなので(笑)。この企画のお話をいただいたときは超大喜びでした!
動物園の依頼で実現した
── 動物とを競う企画はどういった経緯で実現したのですか?
アンジェラ佐藤さん:これらは全部、私設動物園の企画なんです。個人の方が営業されている動物園で、動物との大食い選手権みたいなイベント出演依頼をいただきまして。今年もライオンちゃんと闘います。ライオンちゃんは肉食獣なので、私も肉類を用意されて競います。
アザラシちゃんの場合は、私はお刺身とか焼き魚とかが用意されるのですが、3回勝負が多くて、1日1回、3日間のイベントとして開催されます。でも、だいたい負けますね(苦笑)。普通にやっても勝てないから、最終的に、園長から「大人の事情で勝ってください」って無茶振りが来たりして。だから、とろろとかマヨネーズとか、飲みこみやすい最終兵器を用意してもらって、なんとか勝つという。でも、試合自体はガチではあるんですよ。
── 動物も素直に言うことをきくとは限らないし。
アンジェラ佐藤さん:そうなんです!実は、アザラシのときは、途中でアザラシが食べるのに飽きちゃったから勝てたことも(笑)。その隙を狙って、私がガーッと一気に追い上げたという。そんな裏事情もあったりします。
PROFILE アンジェラ佐藤さん
あんじぇら・さとう。北海道出身。28歳の頃、たまたま食べた大盛りメニューを完食したのをきっかけに、趣味で大盛り店巡りを始める。33歳で初出場した「大食い王決定戦」で4位になり、2度目の出場では全ラウンド1位の完全優勝を果たし、大食いタレントとしてデビュー。現在は、活動の幅を広げ、アジア各国のイベントや番組にも出演している。
取材・文/高梨真紀 写真提供/アンジェラ佐藤