テレビショッピングのライバルは井上尚弥選手!?
── 番組で販売するものは、どのように決めているのですか?
城咲さん:基本的には自分で決めています。メーカーさんが番組で扱ってほしい商品企画をプレゼンしてくれるんです。
その話を聞き、その商品にどんなメリットや魅力があるのか、大きさや価格などを細かく確認します。売れそうだと思ったら商品化に向けてゴーサインを出します。開発費がかかるため、企画段階で判断しています。
──商品を紹介する際、気をつけている部分はありますか?
城咲さん:視聴者の方がテレビを観てくれているかも非常に重要です。どんなに自信がある商品を紹介しても、誰も観ていなかったら売れません(笑)。だから、多くの人が視聴してくれるであろう日を予想して、そこで目玉商品を放送するようにしています。
── たしかにそうですね。テレビを観ているかどうかはどのように判断するのでしょうか?
城咲さん:大きなニュースがあるときは、テレビショッピングは観てもらえません。時事問題や天候、他局で注目される番組を放送していないかなど、とても敏感になりました。
連休中ずっと雨が降っていて、やっと晴れた日なんかだと、皆さん外出してしまうんですよ。時事問題や他局の番組は事前にある程度調べられ、予測が立てられます。でも突発的な事故や事件、天気はどうしようもないから祈るような気持ちです。
先日、プロボクサーの井上尚弥選手の試合と、僕の番組が同時刻に放送されました。とても注目されていたので、誰もが井上選手の試合のほうを観てしまうのではないかと心配でした。でも、僕の番組の視聴者の約95パーセントは女性です。ボクシングはそれほど観ないだろうと判断しました。読みは当たって、売上目標はクリアできました。
自分で商品もプロデュース「資格もとるし日々学んでいる」
── 商品開発も手がけているそうですね。ご自身でプロデュースするメリットはどんなところでしょうか?
城咲さん:自分のこだわりを全部入れられるところです。他の人が企画した商品を紹介しているとき、少しでも気になる部分があると、それが画面越しに伝わってしまうんですよ。
でも、自分でプロデュースすると、すべてに納得しているから、自信を持っておすすめできます。よりよいものを作るために、ダイエットインストラクター、スーパーフードマイスターなどの資格も取得し、知識を蓄えることも怠りません。
──「城咲仁プロデュース」というだけで「きっといい商品だろう」と感じます。
城咲さん:ありがたいことに、いまの僕のテレビショッピングのチームは最強で、僕のこだわりをすべて共有してくれているんです。放送中に僕が「ここで商品をズームアップしてほしい」などと感じていると、すぐに察して素早く対応してくれます。
一緒に働く仲間はとても大切です。やっぱりギスギスして怒ってばかりの人と仕事をするのは嫌じゃないですか。だから、いい雰囲気づくりはつねに心がけています。家族でも職場でも自分の味方になってくれる人をつくるためには、日々を楽しみ、笑顔で人に接することが大切だと思っています。
PROFILE 城咲 仁さん
しろさき・じん。タレント、実業家。新宿・歌舞伎町のホストクラブで5年間No.1ホストを務める。カリスマホストとして数多くのテレビ番組に出演。ホスト時代から全国にその名を知られ、2005年タレントに転身した。バラエティ番組などで活躍し、テレビ通販では1日2億円売り上げるトップセールスに。21年、タレントの加島ちかえさんと結婚。22年、実家の町中華「丸鶴」の味を伝える、「丸鶴魂」を立ち上げ、冷凍チャーハンの通信販売も行う。
取材・文/齋田多恵 写真提供/城咲 仁