産後のカラダの変化に悩み

馬淵優佳

── ところで「女性アスリートの競技復帰」はたびたび話題になりますが、馬淵さん自身は2人のお子さんを出産されてからのカラダの変化とはどのように向き合いましたか?

 

馬淵さん:私の場合は出産後の尿もれにかなり悩みました。よく妊婦さんがくしゃみやちょっとした運動でドキッとなると言いますよね。飛び込みはトランポリンや縄跳びを飛ぶように、飛び板を勢いよく踏んでジャンプをするのでかなりの圧力が下腹部にかかるんです。人に話しにくい悩みのひとつですが、私はトレーナーさんやいろんな人に相談して骨盤底筋を集中的に鍛えるようなトレーニングをしました。

 

── ほかに何か変えたことはありますか?

 

馬淵さん:昔から生理前の体調不良や気持ちの落ち込みに悩まされていたり、生理用品の選択にも悩んでいたので、2度目の現役はミレーナ(子宮内避妊システム)を使用することにしました。飛び込み競技も含めて水泳選手は生理中にタンポンを使用するのですが、糸が見えてしまうなど悩みを抱えることも少なくありません。また、私の場合はピルを服用したこともありましたが、カラダに合いませんでした。

 

ミレーナを使用して生理前の悩みがすべて改善されたわけではありませんが、以前よりも快適に過ごせるようになったかなと感じています。競技復帰することで、自分のカラダと向き合うことができたので、その面でもプラスになりました。

 

── この数年は女性特有の健康にまつわる悩みを発信する方も増えてきていますよね。

 

馬淵さん:私も友人の体験談を聞いたり、インターネットにいろいろな情報が載っているのをまず参考にして、それをもとに病院へ相談しました。ただ、私の場合は出産を経験しているからこういうことに抵抗がないのかも知れません。人に打ち明けにくい悩みだからこそ、こうしてお話することで「自分だけじゃない」と思ってもらえたらいいなと思います。

 

PROFILE 馬淵優佳さん

まぶち・ゆか。1995年生まれ。兵庫県宝塚市出身。水泳の飛び込み選手として数々の国際大会に出場する。2017年5月に水泳選手の瀬戸大也と結婚し、同年11月に引退した後はスポーツコメンテーターやタレントとして幅広く活躍。2人の子どもを出産し2021年末に現役に復帰。2024年の2月に引退した。


取材・文/平岡真汐 写真提供/馬淵優佳