身構えていた芸能界「ある女優さんが気さくに誘ってくれて」

── CMで一気にブレイクしたことで、金銭感覚だけでなく環境も変化したのではないでしょうか?

 

小野さん:ガラリと変わりました。毎日すごく忙しくて「自分が芸能界で働いていること」そのものに緊張していました。「しっかりしなくちゃ」と気負っていたせいか、現場で知らないことだらけなのに「これがわかりません、教えてください」って、正直に言えなかったんです。実際は周囲の人もいろいろ教えてくれただろうし、助けてくれたと思うのですが、「こんなこともわからないの?」と、思われるのが怖くて。芸能界にいる人たちは特別な存在だと思っていたから、誰と話したらいいかもわかりませんでした。オロオロして、いつもひとりでぽつんとしていました。

 

あるときドラマに出演することになって、出演者の奥菜恵さんが、「一緒にご飯食べに行こうよ」と気さくに誘ってくれました。「芸能人が声をかけてくれるなんて!」とびっくりしました。食事に行ってみたら、楽しくおしゃべりできたし、その後も仲良くしてくださって。そのときに「芸能界の人でもふつうに接していいんだな。どうしてひとりでガチガチに構えていたんだろう」と肩の力が抜けたんです。私にとって、すごく大きな経験でした。

 

PROFILE 小野真弓さん

おの・まゆみ。1981年生まれ、千葉県出身。「アコム」のCMで人気に火がつき、グラビアアイドル、俳優として活動。2019年、東京から千葉県木更津市へ移住。 地域猫活動や預かりボランティアを行い、俳優の坂上忍氏が所有する動物保護ハウス「さかがみ家」のスタッフとしても活動中。

 

取材・文/齋田多恵 写真提供/小野真弓