高校を退学した後に始めたこと

ぼる塾・あんり

── 高校1年生の終わりに退学したとき、どんなことを思いましたか?

 

あんりさん:逃げられた。もう学校に行かなくていいんだっていう解放感と、この先どうしようといった漠然とした不安。そのとき初めてはるちゃんたちに「実は学校を辞めて…」と事後報告でメールを送ったんです。すると「え?辞めたの?逃げたってこと?」といった感じで返信がきて、「そうか、逃げたんだ、私」って。でもこのままじっとしていたら二度と動けないような気がしたし、中学の頃の楽しかった自分に戻りたいと思って、バイトを探し始めたんです。

 

── 高校中退はそれぞれ状況があるかと思いますが、バイトはすぐに決まりましたか?

 

あんりさん:応募してもことごとく落ちましたね。高校で友達が作れなかった人ですから、面接しても積極性がないんですよ。面接に行きゃあ落ちる、行きゃあ落ちるの繰り返しで、半年くらい続いたのかな。そうなると、いちいち落ちても何とも思わなくなるんです。ようやく開き直りも出てきた頃にコンビニのバイトが決まりました。

 

── アルバイト先での人間関係はいかがでしたか?

 

あんりさん:最初は仕事以外のことでは誰とも喋らなかったです。でも、バイトを始めて3、4か月経った頃に新しく同じ歳の女の子が入ってきて。すごく積極的な子で、バイトが終わったら一緒に帰ろうと声をかけてくれました。私は夕方メインのシフトでしたが、その子経由で昼間のパートさん達とも仲よくなって、パートさんが家で経営しているお好み焼き屋さんにその子とお邪魔したり、本来社員とパートさんのリーダーしかいかない試食会にも声をかけてもらえるようになったり。世代を超えてみんなと仲よくなりましたね。

 

── その方の存在も大きそうですね。

 

あんりさん:かなり大きいですね。彼女のおかげでバイトを4年間続けられたと思います。バイト先でも人が繋いでくれた縁が広がりました。自信を失いかけていた自分にとっては、家に籠ることもなく、社会と繋がることができたのはとてもよかった。自分から道を切り開いて積極的に動くようになったのはもう少し後ですが、今でも感謝しているひとりです。

 

PROFILE あんりさん

1994年生まれ。東京都出身。お笑い芸人。あんリ、きりやはるか、田辺智加、酒寄希望と共にお笑いカルテット・ぼる塾を結成。

 

取材・文/松永怜 写真提供/あんり