高校1年生の終わりに退学したぼる塾のあんりさん。小・中学校では楽しい生活を送っていたのに、高校に入ると世界が一変したと言います。(全5回中の1回)

とにかく苦しいんだ高校時代

ぼる塾・あんり

── 小・中学校時代は楽しく生活を送っていたそうですが、高校1年生の終わりに中退されたとのこと。経緯を伺ってもいいですか?

 

あんりさん:私は少しヤンチャな兄が2人いて、小・中学生の頃は、その兄の妹ということで周りが自然と話しかけてくれたんですね。

 

でも、高校生になると誰も私を知らないわけです。イチから人間関係をスタートしないといけないですが、どうやって友達を作っていいのかわからない。みんなは小、中学生の頃に自分で友達を作ってきた経験があるけど、私はずっと兄の妹という立場で誰かが話しかけてくれたり、人が作った関係に乗っかったりすることしかしてこなかったから、自分でどうしたらいいのかわからなかったんです。周りはどんどん友達ができていくなかで、自分だけ取り残されていった感じで。「あれ?気づいたらいつもひとりでいる。わ、どうしよ、どうしよ」って焦るばかりでした。

 

そうなると、お昼ご飯を食べるのもツラいんです。家では大家族(祖父母と両親、兄弟5人の計9人家族)でにぎやかに食べていましたが、ひとりで食べるってこんなにしんどいのか。目線はどこにしたらいいんだろう。周りはワイワイ楽しそうに喋ってるけど、私はひとりで寂しいやつって思われてるんじゃないか。本当に寂しいからそこが気になってくるんですけど。ひとりが好きなわけじゃないのに、学校ではずっとひとりで過ごしていて、どんどん気持ちが引きこもってきて。

 

── それはツラかったですね…。

 

あんりさん:よく覚えているのは、高校1年の夏休み前に、同じ中学だった女の子を高校の廊下で見つけ「あ…っ!」ってなったんです。その子は高校ではクラスが違いましたが、私からしたら救いじゃないですか。友達がいたって。でも、その子は既に新しい友達と一緒にいて、私がパッと見たときに、私の勘違いだったかもしれないですけど、目を逸らされたような気がしたんです。

 

その次の日から学校に行くのがさらに怖くなってしまいました。唯一の光だと思ったものがそうじゃなかった。それからは、とにかく学校に行きたくない。朝はいちおう制服を着てみるけど苦しくなる。高校まで電車とバスを乗り継いで行きますが、電車には乗れたけどバスは途中で降りてしまう。何日かは学校に行くフリをしていたものの、次第に行くフリもしなくなって部屋から出なくなりました。

 

両親は日中働いていたので家にいませんでしたが、家に居た祖父母が心配しちゃって。親も気づいて「何かされたの?イジメられてるの?」と聞かれても、「いや、いじめられてない」。親も理由がわからないし、自分でも何がどう嫌なのかわからない。でも、とにかく行けないんだ、苦しいんだ。次第に親も「そんなにツラいんだったら辞める?行きもしないのに在籍してるなら辞めな」となって、1年生の終わりに退学しました。

 

── あんりさんから話しかけなくても、休み時間や何かのタイミングで誰かが話しかけてくることはありましたか?

 

あんりさん:たぶん私が戸惑っていたからなのか、話しかけられた記憶もあんまりないですね。

 

── 中学時代のお友達には相談されましたか?

 

あんりさん:誰にも相談できなかったですね。ちょうど世の中でSNSのコンテンツが出始めた頃でしたが、小・中学校の友達たちのブログを読んでると、みんな高校生活を楽しんでるんですよ。(ぼる塾の)はるちゃんは、中学の頃は朝、起きられない。学校はつまらないと言って学校をサボりがちでしたが、高校に進むと楽しそうな日常がアップされていて、余計に言えなかった。みんな充実した高校生活を過ごしているのに、なんで私だけ…と思ったし、こんな状態の私を知られたくないという気持ちもありましたね。