子育て中心の現在
── 去年、フジテレビを退職してからは娘さんとの時間が増えたそうですね。
石本さん:退職前は都内で、学童やシッターさん、自治体のファミリーサポートなどに子どもたちをお願いしていたのですが、今は基本的に私がみています。
こちらに移住してから仕事で朝早く家を出る必要があるときに、幼稚園への送迎をお願いしたいと思って逗子でシッターさんを探したんです。そしたら朝6時半に来てくれる人はいませんでした。東京は、そういうサービスが充実しているので便利だったなと実感したのですが、こちらでは地域のコミュニティを広げて、近所の方にお願いしています。
── 長女が小4、次女が小2だそうですね。
石本さん:宿題も私が見ているのですが、上の子の勉強もだんだん難しくなってきて、それにこうしたい!という自分の意思もあるので、教える大変さに直面しています。
これまで、人にアナウンス技術を教えたことはありますが、アナウンススクールに来る子は基本的に学びたいという意欲があります。教えてくださいという人に教えるのと、わからなくて、しかもちょっと嫌がっている人にやる気を出させながら教えるのはだいぶ違いますね。
── 親が教えると、子どもも甘えたい部分もあってなかなか進まないですよね。
石本さん:そこなんです。お金を投資して、誰かに教えてもらうというのもメリットはあるなと感じています。あとは、習い事の送迎も私がしているのですが、娘2人、それぞれにやりたいことも違います。「最初は何時で、次は何時」とスケジュールを組み立てながら夕方は毎日、ほぼ運転手と化しています。
仕事の比重が多かった生活から、子どもと向き合う時間が増えたのはある意味でチャレンジでもあるのですが、子育てにたくさん人が関わってくれている心地よさを感じています。周りの環境に助けてもらいながら、毎日を楽しく過ごしています。
PROFILE 石本沙織さん
1980年富山県生まれ。早稲田大学を卒業後、2003年フジテレビ入社。「めざにゅ~」「めざましテレビ」「とくダネ!」「FNNスーパーニュース」「イット!」など、報道・情報番組を中心に活躍し、バラエティ番組で歌唱力を披露する機会も。2019年より逗子市に移住。2023年3月末でフジテレビを退社。
取材・文/内橋明日香 写真提供/石本沙織