子育てを最優先に、爪を伸ばさなくてもできる仕事を
── 爪を伸ばせないと、パーツモデルの仕事には影響がありますね。
金子さん:そうですね。それからは、爪を長く伸ばす仕事はできなくなりました。結局10歳くらいまでは、うまく便が出ないときは指で出してあげていたんです。海人が産まれてからは、爪が短くてもできるパーツモデルの仕事と、あとは24歳のときに始めたネイルシール販売の仕事を中心にやっていました。
ネイルシールは、当初は自分で使うために作ったんです。当時はネイルアートがはやり始めた頃で、家で手軽にネイルアートができるグッズがあればいいのに、と思っていろいろなデザインを考えました。雑誌の取材でそれを見た記者の方に、「それいいですね、販売したらどうですか」と勧められて、商品化することになったんです。ネイルシールの走りですよね。PLAZAさんで販売してもらって、5年間くらいは売り上げナンバー1だったんですよ。海人を出産する1年前に、会社をつくって事業化しました。
出産したあと、病院のベッドの上でもネイルシールの袋詰めをやっていました。のちに離婚しますが、当時の夫も仕事を手伝ってくれていました。彼は、海人が生まれてから仕事を辞めてしまったんです。そのおかげで、私が仕事へ行くときは海人を見ていてくれました。
パーツモデルの仕事は毎日あるわけではないし、子どもが生まれてからは午後3時までに終わる仕事しか受けないようにしていました。それは最近まで、ずっとそうしていましたね。私のなかでは、「母親」が優先順位の一番上にあるんですよね。「子どもを立派に育てるのが母親の仕事だ」という思いがありました。
PROFILE 金子エミさん
パーツモデル、美容家、事業家。コマーシャル100本以上、雑誌出演数100本以上をこなす。パーツモデルに求められる肌感や表現力を熟知した唯一無二の存在として独自のケア方法をテレビをはじめ多方面で披露。プライベートでは2人の息子の母。ダウン症の長男 カイト君の世界水泳挑戦と、これまでの子育てを描いたコミックエッセイ『世界は君のもの~美容家ママとダウン症カイトの世界水泳奮闘記~』(オレンジページ)ほか著書は7冊。
取材・文/林優子 画像提供/金子エミ