1年で1000万円稼ぐ売れっ子パーツモデルに

── すぐに仕事はもらえたのですか。

 

金子さん:初めて受けたオーディションは、食器洗剤のCMでした。この頃、オーディションへ10回行ったら、8つか9つの仕事をいただけたので、マネージャーさんにも「あなた、すごいわね」と驚かれました。当時の手タレは、白魚のようなきれいな手の方がほとんどだったんです。でも、パーツモデルの仕事って、シャンプーを手に取るとかオーディオのボタンを押すとか、生活に密着した仕事のほうが多くて、美しい手が求められるジュエリーなどの仕事は意外と需要が少ないんですよね。だから、すごくきれいな手が売れるわけではなくて、意外と普通の手のほうが求められているんだと思います。

 

21歳のときに事務所に所属して、そこから5年くらいの間に、約100本のCMに出ました。1日に4本収録があって、寝ないで仕事をしたこともありました。よく覚えていないんですが、1年に1000万円以上稼いだこともあります。

 

金子エミ
ハンドモデルの撮影現場(本人のInstagramより)

── パーツモデルの仕事のおもしろさはどんなところですか。

 

金子さん:撮影現場にある「みんなでいいものを作ろう」という雰囲気が、すごく好きなんです。手の位置が1センチ動くだけで画面から見切れてしまうから、最新の注意を払って何度もポーズをとったり、手のひらに洗顔料の泡をいかに丸くのせられるか試行錯誤をしたり。職人的な作業なんですよね。誰にも私の手だとはわからないから、自己満足ではあるんですけど、自分をどう見せるかを考えるのが楽しいんです。

 

パーツモデルを始めた頃は、手を守るためにいつも手袋をつけていました。荷物はできるだけ手で持たないように、リュックを背負って。手って、使わないとみるみるきれいになるんですよ。当時は私が手タレだと知らない方がほとんどだったので、初めて会う人にはよく「すごく手がきれいですね」と言われていました。

 

でもそれは、子どもが産まれるまでの話です。

 

金子エミさん
金子エミさんの最新ショット(本人のInstagramより)

 

PROFILE 金子エミさん

パーツモデル、美容家、事業家。コマーシャル100本以上、雑誌出演数100本以上をこなす。パーツモデルに求められる肌感や表現力を熟知した唯一無二の存在として独自のケア方法をテレビをはじめ多方面で披露。プライベートでは2人の息子の母。ダウン症の長男 カイト君の世界水泳挑戦と、これまでの子育てを描いたコミックエッセイ『世界は君のもの~美容家ママとダウン症カイトの世界水泳奮闘記~』(オレンジページ)ほか著書は7冊。

取材・文/林優子 画像提供/金子エミ