更年期のトンネルはいつか必ず抜けられる

熊谷真実

── 大好きな甘いものをどうやって我慢したのでしょう?

 

熊谷さん:絶対に食べないのではなく、まずは“ちょっとの我慢”から始めたんです。たとえば、食後に甘いものが欲しくなったら半分だけ食べるとか、どうしても口寂しい時とき、ピーナッツバターをひとなめしたり。そうしているうちに、体が徐々に慣れていきました。いろんなアプローチを続けることで、だんだん体調も改善し、50代の半ばくらいから、ようやく楽になりました。今年で64歳になりましたが、今はすっかり体調もよくなり、人生で一番元気かもしれない(笑)。肌の調子もすごくいいです。

 

今、体の不調に苦しんでいる女性にひとつ言えるのは、更年期はトンネルのようなものだから、いつかは必ず抜けられるし、その後はどんどん楽になっていくことが多い。だから、安心してほしいということです。この先、体調が戻ったらどんなことをしようかと、今から楽しい予定を思い描いて、それを励みにするのもいいと思います。

 

── 60代を超え、ますます元気な熊谷さんですが、健康のために続けている習慣はありますか?

 

熊谷さん:30年前から欠かさず続けてきたのが、毎朝スムージーを作って飲むことですね。うちは私が33歳のときに、母ががんで亡くなっているんです。以来、健康に気をつけなくてはいけないと思い、生野菜と果物を摂ることを心がけてきました。

 

スムージーに入れるのは、小松菜とリンゴ、にんじんがメイン。あとは、季節の野菜や果物を入れたり、甘みがほしいときはバナナを加えたりと、その日の体と相談して決めます。お通じがよくなるし、お肌も綺麗になりますよ。

 

40〜50代の女性に伝えたいのは、“毎日の小さな積み重ねが10年後の自分を作るよ”ということです。そのためには、ほんのちょっとの我慢と、ほんのちょっとのお手入れが大事。例えば、駅ではエレベーターを使わずに階段を上ったり、食べすぎを防ぐために少しだけ残してみたり。日々のお手入れも、今日は肌を保湿する、ちょっと丁寧に髪の毛のトリートメントをしてみるなど、無理のない範囲で自分を構ってあげましょう。一生懸命にやると続かないから、“ほんのちょっと”がポイントです。

 

PROFILE 熊谷真実さん

1960年生まれ。東京都出身。俳優。NHK朝の連続小説『マー姉ちゃん』(79年)、NHK大河ドラマ『功名が辻』(06年)、映画『死刑台のエレベーター』(10年)、映画『アンダードッグ』ほか出演。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/熊谷真実