引退後の選手の関係性は

── ご自身が引退されたあとの関係性はいかがでしたか?

 

平野さん:特に佳純は私にとってちょっと特別で。勝手に自分の夢というか、自分が達成できなかったことを託していたような部分がありました。だから「今、佳純しんどいかな」って思うときにはちょっと声をかけてみたり。技術面でも実績でも佳純の方が上ですので、少しでもストレス発散になればいいなという気持ちで…。

 

── たとえばご自身の経験からアドバイスされることもあったのでしょうか?

 

平野さん:ベテランになり勝てなくなると「卓球が古い」とか「時代は終わった」みたいな感覚でモノを言ってくる人がいるんですよ。もちろん実力社会なので、勝てなくなったらそう言われるのもわかります。だからと言ってその選手がそれまで築いてきた努力や功績の価値は変わらないですよね。そこに現役中は気づけず、苦しくなることも多いんです。私もそうでした。

 

だから佳純が同じような立場になったときに、どのような卓球人生を歩むにしても佳純の功績はなくならないと、悔いなくやりきってほしいと、そういった私の想いを話したことはありましたね。

 

── 石川さんも2023年の5月に引退されましたが、お二人はプライベートでも仲がいいそうですね。

 

平野さん:この前、山口県で一緒に トークショーに出させてもらったんですが、もうめちゃくちゃ楽しかったです。前日に集合してからご飯食べ行って、温泉にも行って。それで次の日もまたトークショー始まる前からどっちかの部屋に集合してお喋りして。振り返ったら「ずーっと喋ってたね」みたいな(笑)。

 

現役中も時々ご飯に行ったりはしていたんですけど、プライベートというよりは遠征や合宿での方が多かったかな。やっぱりそれぞれ住んでる場所もペースも違いましたからね。

 

でも今は二人とも引退したので、気を遣うことなく気軽に連絡を取り合っています。「この辺のスケジュールどう?」「忙しいから、じゃぁ、こっちの日にしようね〜」なんて言いながら気楽に。またご飯を食べに行く計画立てていますよ!

 

PROFILE 平野早矢香さん

1985年生まれ。栃木県鹿沼市出身。5歳で卓球を始め、仙台育英学園秀光中学校・仙台育英学園高等学校に進学。卒業後ミキハウスに入社、オリンピックでは2008年北京にて、団体戦4位。2012年、ロンドンでは福原愛、石川佳純両選手とともに団体戦で銀メダルを獲得。男女通じて日本卓球史上初の五輪メダリストとなった。現在は後進の指導に務めるほか、全国各地にて、講習会、講演会、解説、スポーツキャスターとして広く活動。

 

取材・文/平岡真汐 写真提供/平野早矢香