『ニャンちゅう!宇宙!放送チュー!』(Eテレ)に「おねんどお姉さんひとみ」として出演し、今年で12年目となる岡田ひとみさん(43)。パステルカラーが印象的な衣装に込めた思いを伺いました。(全4回中の2回)

「衣装で自分に魔法をかける」

ねんドルの岡田ひとみさん
パステルカラーがかわいらしい岡田さんの衣装。自身でデザインしているそうです

── Eテレの番組に「おねんどお姉さんひとみ」「おねんどお姉さんのお姉さんコネル」の2役で出演中です。「こねこね~こねこね~」という決め台詞も印象的な、独特のキャラクターですが、演じるうえで心がけている点はありますか?

 

岡田さん:そうですね。「おねんどお姉さんひとみ」も「おねんどお姉さんのお姉さんコネル」も、普段の私と共通点はありつつもけっこう違うな、と思っています。なので、衣装を着た瞬間に変身するような感覚ですね。

 

私はずっと茶道をやっているんですが、それが「おねんどお姉さんひとみ」のキャラクターづくりに役立ったかな、と思っています。茶道では軽いものは重そうに、重いものは軽そうに扱うことや、美しい姿勢や仕草を学びました。そういったことは取り入れていますね。 

 

20代の頃のねんドル・岡田ひとみさん
20代のころの衣装。コックさんをイメージしているのだそう

── パステルカラーのかわいらしい衣装が素敵ですが、ご自身でデザインされているそうですね。

 

岡田さん:そうなんです。デザインのコンセプトは一貫して「私が子どものときに憧れていた衣装」。私はピンクが大好きだったので、最初はピンクの服が多かったんですが、「こういう方が似合うかな」と少しずつ変えています。

 

実は衣装は「海」とか「パレード」とか、毎回テーマを決めているんです。衣装さんと一緒に生地屋さんに行って、私が描いたデザインを見てもらいながら生地を選んでいます。

 

あとは私と同じ衣装を作ってくれるお子さんもいらっしゃるので「お子さんが着てかわいい」「真似しやすい」というのも考えながらやっています。

 

ねんドルの岡田ひとみさん(右)
レッスン受講生のなかには岡田さんの衣装をマネする子も。かわいらしい…!

着ていて気持ちのいい服を着ていたい

── 私自身、40代が近づいて「ピンクやパステルカラーは着こなせないのでは」と敬遠してしまうのですが、岡田さんは堂々とご自身の世界観を表現されていて、しかもとてもお似合いです。

 

岡田さん:私もねんドルを始めたときは、40代であの衣装を着られるなんて、想像もできなかったんです。ただ、衣装を含めて、空間を楽しくするエンターテイメントが大好きなんですよね。たとえば、ディズニーランドに行ったときに、建物も素敵だし、お掃除をしている人を含めてキャストの方々みなさん素敵ですよね。そういう世界観がすごく好きなので、ねんど教室でも、たとえそこが会議室だったとしても、夢の世界に来たような気持ちになってほしいんです。

 

何よりあの衣装を着ると、子どもたちがすごく心を開いてくれる。なので、子どもたちに近づくための作業着、という感じですね。ただ、やっぱり20年前に着ていたピンクの衣装と今のピンクの衣装とは少し違うんです。自分の似合うものが変わってきているとは理解しているので、デザインをちょっとずつ変えています。

 

ねんど教室ではオリジナルで音楽も作っていただいているので、トータルで世界観を作って楽しんでもらえたらな、と思っています。 

 

レッスンを行うねんドルの岡田ひとみさん
リピーターも多いという岡田さんのねんどレッスン

── 普段はどんなファッションなんですか?

 

岡田さん:普段はモノトーンやシンプルなものが多いんです。あの衣装を着るようになってよけいに衣装とかけ離れたものを着るようになっているかもしれません。切り替えるスイッチを自分で楽しんでいます。衣装は、自分に魔法をかけるためのものかもしれないですね。

 

衣装を着ているときは何の迷いもないのですが、プライベートで服を選ぶときはその場の空気に合った服選びをすることもあります。でも、やっぱり自分が一番いい気持ちでいられるものを着ていたい。衣装にしても、普段の洋服にしても、自分の気持ちが前向きになるものを着たいなと思っています。

 

もちろんその場に合った服を着たいけれど、いい意味で自分勝手に生きられるようになってきた気はしています。

 

ねんドルの岡田ひとみさん
普段はモノトーンが多いという岡田さん。ウィーンの欧州分子生物学機構の学会にて

「なんで普通のアイドルと違うの?」と問う姪への答え

── Xで明かしていましたが、姪っ子さんから「普通はアイドルがメインなのに、なんでひとみはねんどがメインなの?」と聞かれて、岡田さんが「最初は普通のアイドルになるのが夢だったけど、私はねんどが得意で好きだったからねんどをやったほうがみんなを楽しませることができると思ったんだ」と答えたそうですね。

 

岡田さん:そうなんですよ。まさかそんな疑問を持たれるとは思ってなかった(笑)。

 

今小学校2年生の姪っ子なんですが、生まれる前からかわいがっていたくらい、大好きなんです。いろんなことに興味を持って、疑問があったらすぐ自分で聞ける、すごく賢い子で。それで「ひとみは他と違うな」と気づいたのがまずすごいな、私のしていることを職業として認識しているんだなと驚きました。

 

彼女がこれから生きていくなかで、自分の個性も周りの個性も、いろんな生き方をリスペクトしながら育ってほしいなと思っています。

 

──素敵な視点だと思います。

 

岡田さん:私は叔母という立場なので親より少し距離があるから、こんな悠長なことを言えるんだろうな、とは思うんですけど。親の意見だけではなく、いろんな意見を聞いて育ってほしいなと思っています。

 

成長すると、たとえ親であっても「私の意見とは違うな」と気づくときが来ますよね。私自身も、両親がすべてだった世界からだんだん「私はそうは思わない」と思い始めたことを覚えています。たくさんの人と出会ったり、たくさん本を読んだりして、自分の視野を広げてほしいですね。

 

PROFILE 岡田ひとみさん

1980年生まれ。ねんど職人+アイドル=ねんドルとして、日本や海外で子ども向けのねんど教室を開催。Eテレで放送中の『ニャンちゅう!宇宙!放送チュー!』で「おねんどお姉さんひとみ」「コネル」としてレギュラー出演し、今年で12年目。

 

取材・文/市岡ひかり 写真提供/株式会社チーズ