腸活プロデューサーで“腸活うんちお姉さん”として活動する、長瀬みなみさん(33)。「東京生まれ、便秘育ち」と語るとおり、生まれてから25年以上便秘と付き合ってきました。腸活との出会いで、人生もキャリアも劇的に変化したと語ります。

生まれたその日から便秘だった…?

── 長瀬さんは、自分が便秘だと自覚したのはいつごろですか。

 

長瀬さん:生まれたその日から、と言ってもいいかもしれないです。物心ついたときはすでに便秘状態だったと聞いています。自分の記憶の中でも、すっきりうんちが出たということがいっさいないんです。週1回くらい、ウサギのうんちみたいななのが出るくらいでした。でも、それが私にとっては全然普通だったんです。というのも、実は母親も便秘で、便秘状態がわが家にとっては当たり前だったんで、大変だとも思ってなくて。子どもだから世間と比べることもありませんからね。

 

── もしかしたら人と違うかも、と気づいたのはいつごろだったんですか。

 

長瀬さん:中高生の頃です。女子同士でダイエットの話をし始める年頃ということもあって、ある日友達が「3日もうんちが出てないから、お腹パンパンで太っちゃった」っていう話をしていたんです。私にとってはうんちが3日出ないことは普通のことだし、むしろそれ以上出ないこともある。でも、その友達は「3日もうんちが出ないことは異常だ」っていう話し方をしていたので、「あれ?私がおかしいんだ」って気づいたんです。

 

── 自分が便秘だと気づいてからは、便秘解消のために何か実践したんですか。

 

長瀬さん:特に何もしなかったですね。でも、今になって思うと、学生の頃ずっと体調が悪かったんです。名前のつけられない体調不良にずっと悩まされていました。言葉にできないからなんとなくやり過ごしていたけど、今思うと、便秘が原因だったかもしれないですね。社会人になってからも、便秘状態は続いていました。体調を崩すことが多いから会社も休みがちで、周りの人にも「長瀬さんは体調が悪い人」という目で見られていましたね。ただ、20代の半ばくらいで“ある衝撃的な出来事”があって…。

 

── いったい何があったんですか。

 

長瀬さん:20代半ばくらいのある日、とにかく胃痛がひどくて病院に行ったんです。胃カメラを飲んで検査したけど、全然異常がなくて。他の病気の可能性もあるからと、念のためエコー検査もしてもらったんですよね。そしたら、なんとみぞおちまでうんちが詰まっていて…先生も苦笑していました。あのときの光景は忘れられないですね(苦笑)。

 

そのときに初めて下剤を飲みました。下剤を飲むとお腹が痛くなるって聞いていたから、怖くて飲んでなかったんです。便秘という自覚があっても、自分の中では正常だったし、何かわかりやすいトラブルが起きているわけではなかったから、下剤を飲む理由がなかったというか。いざ、下剤を飲み始めたら、お腹が痛くて、ずっとトイレにこもっているような状態でした。

 

── それ以降は便秘に向き合うことにしたんですか。

 

長瀬さん:いやぁ…その痛みが過ぎたから、まあいいやってなっちゃったんです。20何年も異常な状態を正常だと生きてきたし、あまり知識もなかったこともあって便秘を解消しようとは全然思わなかったんですよね。

腸活なんて怪しい民間療法じゃないの?

── そんな中、腸活サポートアプリ「ウンログ」を展開しているウンログ株式会社に転職されるんですよね。

 

長瀬さん:はい。 当時、前の職場で広報として働いていたときの先輩に誘われたのがきっかけで転職しました。ウンログのサービスの特性上、広報経験があるだけでなく、便秘やお通じに悩む人の気持ちに寄り添える人材を求めていたそうです。先輩は私が便秘で苦しんでいる姿もよく知っていたので、私に「働いたら便秘も治るかもよ」って声をかけてきたんです。

 

ただ、正直、腸活って何か怪しい民間療法みたいなものだと思っていたんです。「先輩も洗脳されているんじゃないか」って思っていたくらい。でも、先輩が腸活についてあまりにも熱く語るから、3か月の試用期間を使って、とりあえず腸にいいということを実践してみることにしたんです。それで結果が出なかったら、先輩もあきらめてくれるんじゃないかって思って(笑)。

 

── 3か月の間、どんなことを実践したんですか。

 

長瀬さん:まず、食生活をガラリと変えました。お水を1日2リットルくらい飲んだり、野菜を多めに食べたり、インスタント食品やジャンクフードもやめたりしました。ヨガなどの軽い運動もしましたね。

 

── その結果、何か変化はあったんですか。

 

長瀬さん:ちょうど3か月くらい経ったある日、便意をもよおしてトイレに行ったら、今までの人生で見たことがないくらい立派なバナナ型のうんちが出たんです…!私の体にはそんな機能はなかったはずだから、すごくびっくりしちゃって。思わず写真も撮っちゃいました(笑)。腸活をやって、初めて自分が変わったという実体験を得られたんです。出ないということがなくなってきて、「腸活は怪しい民間療法じゃない」ってようやくわかりましたね。

 

── ウンログの広報(うん広報)として活動しているなかで、「長年の便秘の経験が生かされた」と実感したことはありますか。

 

長瀬さん:一番大きかったのは、ウンログの公式YouTubeチャンネル「ウンTube」の出演ですね。腸にいいとされていることを、自分でやってみて効果を実証することが多かったので、かなり体を張っていました。

 

論文などでエビデンスがあって科学的にも効果が実証されていたとしても、そのデータだけ伝えるだけじゃ視聴者も理解しづらいことも多いですが、私が実際にやってみて効果があったと話すと伝わることもあるんですよね。私自身も、自分で体験したことだから熱量を込めて自信を持って伝えられますしね。

 

もちろん、実践してみて効果が出なかったこともあります。その場合は「私には効果が無かったけど、人それぞれだから合う人もいるかもしれないよ」と伝えるようにしていました。

たとえ自分が死んでもこの活動が絶えないように

── ウンログではうん広報としてだけでなく、ブランド責任者、さらには取締役としても活躍されていましたが、退職を決めたのはどういった理由があったのでしょうか。

 

長瀬さん:世の中には、本当に腸にいいものもあれば、腸にいいとうたっていても実際はそれほど効果がないものもあります。私としては、本当に腸にいいものだけを紹介したい。でも、企業に所属していると、自分の思いとは違うことを伝えないといけない場面も増えてきて、自分が苦しくなってきたんですよね。なので、ウンログを退社することに決めました。

 

── 別の会社に転職せず、「腸活うんちお姉さん」として、フリーランスという立場で引き続き腸活に関わる道を選んだのはなぜでしょうか。

 

長瀬さん:会社勤めする前は俳優活動をしていたこともあるし、事務職で働いていたこともあるので、別の仕事に就こうかもと考えていたんです。でも、ウンログを離れても、やっぱり腸活について発信したいという思いが強かったんですよね。

 

それはやっぱり自分が腸活を通じて劇的に変わったからです。イライラもしなくなって性格も変わったし、頭痛もなくなって、むくみもとれた。腸活をすることで、便秘が解消される以上にいい変化があったんです。だけど、世の中にはまだまだ便秘で悩んでいる人もたくさんいる。超ド級の便秘だった私が、医療の力を借りずに自分を変えることができたから、私と同じように救われる人がたくさんいるんじゃないかって思ったんです。「腸活の圧倒的実践者である私がもっと腸活を広めなきゃ」って。


── 今後は、どのように活動していきたいと考えていますか。

 

長瀬さん:いつか、自分が本当に腸活にいい思う商品やサービスを作ってみたいですね。便秘やお通じに悩む人全員を解決することはできないかもしれないけど、腸活を考えるきっかけにはなるようなものをつくりたいです。自分で発信することで腸活に興味を持ってもらうこともできますが、それには限界があります。そのために“自分の思いを伝えてくれる分身”みたいな商品やサービスを作りたいんです。たとえ自分が死んでも、この活動が途絶えないようにしたいんですよね。

 

そして、これからも自分のSNSなどで発信することは続けたいです。世の中には腸活の方法論を書いている本もあるし、研究者が書いた小難しい本もあるのですが、ちゃんとした理論を解釈して編集して発信する人はほとんどいません。なかには、間違った情報や効果がない方法も多いので、そこに警鐘を鳴らしていきたいとも思っています。本当に腸活に興味を持っている人が私のアカウントに来てくれて、腸活について学んでくれたらうれしいです。

 

PROFILE 長瀬みなみさん

東京生まれ、便秘育ち。幼少期からの便秘を腸活で解消し、あらゆる体調不良が改善する。現在は腸活と発酵のチカラでよりハッピーな人生を増やしていくため“腸活プロデューサー”として、セミナー講師やコラム執筆、コラボ商品のプロデュースなど活動の幅を広げている。

 

取材・文/大井あゆみ 写真提供/長瀬みなみ