高校卒業後からアイドルデュオ・Winkとして第一線で活躍してきた相田翔子さん。今は一児の母として家族との時間も大切しています。54歳の今の家族との関係性や今後の仕事への思いをお聞きしました。
“前髪命”の娘とは「共通点が多いかも?」
── この春中学生になる娘さんは、おしゃれやメイクにも関心がありますか?
相田さん:メイクは小さいころから好きでしたね。2、3歳のころから私がお化粧しているとピタッと横に並んで、ハケでチークを入れたり、ビューラーも一生懸命にやっていました。小学校3、4年生のころはおもちゃのイヤリングをして出かけたり、「私にもマニキュア塗って」と言われて、手足の爪に塗ってあげたりしていました。「夏休みだけね」とか言いながら。すごくおしゃれに興味があったので、私はそれを止めたり、「大人になってからね」という言い方をしたことがありません。
今はそういうことに興味がなくなって、活発でどちらかというと男の子っぽいところがあります。でも髪型はすごく気になるみたいで、“前髪命”なんです(笑)。毎日洗面所を占領して前髪を切っていて。
── 相田さんもWink時代から、よく自分で前髪を切っていましたよね?
相田さん:そうなんです。おもしろいですよね、「ちょっとぱっつんすぎるよ」って言ったら「ママだってそうじゃん!」って返されます(笑)。今日も切っていましたね。
── 娘さんは相田さんのWink時代を、どんなふうに見てますか?
相田さん:テレビ番組の『懐かしの映像』などに出てくると「あ、ママだ!」って言います。「すごい」という感覚ではなく、小さいころから私が出ている番組を観ていたので、ママがテレビに出るのは自然なこと、という感じで捉えているようです。Winkのヒット曲も完コピして歌って踊れるんですよ。
── わー、すごい!
相田さん:でも、最近の頑張った仕事を「今日オンエアだから見てね」って言うと、そういうときに限って見てくれないんです。照れくさいみたいですね。
夫婦で観たい映画も食べ物の趣味も違うけれど
── 可愛いですね。よく家族でスキーや旅行に行ったりと、アクティブな家族ですよね。
相田さん:夫が趣味の多い人で、それを家族にも見せてあげたいという気持ちが強いんです。スキーは娘が小さいころから家族でやっていますが、夫が「やるなら上を目指せ!」みたいなタイプで。「級もバンバン取りなさい」って私の申込書も書いてくれるので、3級2級と続けて取りました。
家族だけだとどうしても甘えが出て、少し滑ったら部屋でのんびりしたい気分になっていましたが、ここ数年は仲のいい友達が一緒に参加するようになったんです。娘も友達がいると楽しそうだし、私も上手な方と一緒に滑ったりすると、ついていけるようにもっと上手くなりたいと思うようになって。スキーは健康にもいいし、大自然のパノラマを見ながら滑るのは気持ちがいいですね。
うちは夫婦で観たい映画も、食べものの趣味も違います。だけど、なんでも合う理想の夫婦じゃなくもいいのかなって。無理して合わせる必要はないし、ふわっとしているほうがいいのかなと思います。
── 年齢を重ねるごとに自分のペースを掴んできているように感じます。
相田さん:そうですね。人生の中で少し無理しても頑張らなきゃいけない時期はありますが、そういう時間を経て、今は自分を大事にする時期なのかなと思いますね。自分のペースというのがだんだんわかってきて、それをちゃんと保ちながらバランスよく生きられるようになってきたという感じですね。
歌の仕事はあえてハードル高めに設定して続けていきたい
── 堀内孝雄さん、渡辺真知子さんとジョイントライブをしたり、歌の仕事も大切していますよね。
相田さん:やっぱり歌うことが好きですし、それで自分が保たれているところがあります。今でも人前でパフォーマンスするのは苦手なんですが、そこに向けて身体づくりや声づくりをやめてしまったら本当にダラダラしてしまいそうで。「なんで自分でこんなにハードル上げちゃったんだろう」と思うときもありますが(笑)、そういう刺激や緊張感も大事なので。トレーニングもあえて続けていこうと思っています。
── 曲作りは今もされていますか?
相田さん:大好きなことなので、メロディが浮かんでくるとすぐスマホに録音しています。昔はメロディが出てきてもピアノの前に座ったり、何チャンネルもあるような機械を用意したりする必要があって大変でしたが、今はサッと記録できるのでいい時代になりました(笑)。そういう音源はいっぱい溜まっていて、形にできたらいいな、ライブでお披露目できたらいいなといつも考えています。
PROFILE 相田翔子さん
1970年生まれ、東京都出身。1988年「Wink」としてデビュー。翌年には日本レコード大賞を受賞。1996年の活動停止後、ソロ活動を開始。歌手として自作曲を発表するほか、ドラマ、映画、舞台などで女優としても活躍。バラエティ番組でのユニークなトークが人気を集め、老若男女を問わず支持されている。
取材・文/原田早知 写真提供/相田翔子