2023年は、第一子の誕生や写真集発売、整形手術をしたことを公表するなど、話題になることの多かったおばたのお兄さん。不妊治療や出産時のことを伺いました。

「検査結果どうだった?」は言わない

── 2023年8月にお子さんが誕生されました。不妊治療を経ての出産でしたが、治療を始めたきっかけを教えてください。

 

おばたのお兄さん:以前から子どもが欲しいとは話していたのですが、なかなか自然には恵まれずにいました。その頃は30代前半でしたが、夫婦で話し合いをして、治療をするなら早いほうがいいのでは、ということになって。病院選びに関しては、周りの先輩たちのなかにも不妊治療をしていた人がいたので、病院などを教えてもらって決めました。医療は進歩しているので、治療を始めることについて、あまり不安はなかったです。

 

2023年8月に第一子の誕生をご報告!(Instagramより)
2023年8月に第一子の誕生をご報告!(Instagramより)

── 病院にはおばたさんも行かれたのでしょうか?

 

おばたのお兄さん:夫婦ふたりのことなので、もちろんです。とはいえ、仕事も忙しかったので、病院にはひとりでは行かず、家で精子採取をして提出する方法でした。一緒に行けないことで妻は不安に思うこともあったかもしれませんが、なるべく会話をして向き合うように心がけていました。男性側が無関心になったら治療はうまくいかないし、関係性もよくなくなってしまうなと。

 

たとえば妻が病院に行った日は、妻が話す前に「今日は大丈夫だった?」と聞くようにしていました。「検査結果どうだった?妊娠していた?」って聞かれるのは、プレッシャーじゃないですか。なので、妻のことを気にかけるような言葉を、必ず先に言うようにしていましたね。

 

── 男性のなかには不妊治療に積極的でない方もまだまだいると思います。おばたさんは抵抗感などなかったですか?

 

おばたのお兄さん:それが全然なかったんです。男性のなかには、検査結果で精子が少なかったと言われたら嫌だし恥ずかしいと思う人もいるかもしれません。でも僕にとって精子の数を調べる検査って、検尿とか検便と同じような感覚で。恥ずかしさはゼロでした。それよりも妻ががんばっているのに、男のプライドが傷つくからやりたくない!なんて選択肢はなかったですね。だから「治療をもうやめたい」と感じたこともなかったです。

 

治療は自分の体を知る、いいきっかけにもなりました。実は検査で一度だけ、精子の量が少なかったことがありました。僕はタバコも吸わないしお酒もそんなには飲まないのですが、どうやら前日にトレーニングをハードにしすぎて体が疲れた状態なのがよくなかったようで…。自分の体の状態が精子の数に影響がすることを知り、検査前は生活を改めるようになりました。

予定日より10日過ぎての奇跡の出産

── 妊娠がわかったときはやはり嬉しかったですか?

 

おばたのお兄さん:もちろん嬉しかったです。でも自分の周りには、流産や死産、出産時に母親が亡くなった方もいました。だから子どもが元気に生まれて、母親も無事なことが確認できるまでは安心できないなと。喜びを半分くらいに抑えて、妊娠がスタートだと思うようにしました。「よーいドン!」で出発したけれど、ここから転んだり、靴が脱げたり、ゲリラ豪雨にあうかもしれない。危機感を持ち、なにがあってもいいように心の準備をしていました。

 

この考え方は妻も同じでした。僕にできるのはメンタルを支えることだと思ったので、大きな受け皿でいようと意識しました。

 

産まれて1ヶ月!お宮参りの家族ショット(Instagramより)
産まれて1か月!お宮参りの家族ショット(Instagramより)

── 生まれたときはどうでしたか?

 

おばたのお兄さん:本当に感動しました。もともと予定日が名古屋での舞台中だったので出産には立ち会えないはずだったのですが、10日過ぎても生まれてこなくて。いよいよ陣痛が来たのが、僕が名古屋で舞台の千秋楽を終えた直後でした。「今から新幹線に乗れば間に合う!」と思って急いで東京へ戻ることに。到着した3時間後に生まれたので、奇跡的に出産に立ち会うことができました。数時間後に仕事が入っていたのですが、絶妙なタイミングで生まれてくれたので、少し仮眠を取る時間まであって。本当に生まれたときから親孝行な子どもです(笑)。

 

僕はポジティブで楽観的なので、生まれるまでもなるべく前向きに考えるようにしていましたが、やっぱり親子ともに元気で生まれてきてくれたことは奇跡だと思いますね。

 

── 不妊治療を振り返って思うことは?

 

おばたのお兄さん:不妊治療で苦しいのはどう考えても女性側です。授かるまではもちろん、妊娠して出産までも我慢することがたくさんあります。女性が肉体的につらいところは、どうがんばっても代わってあげることはできません。だからそういときに男性ができるのは心の支えになること。妻のことを妻よりも気にかけてあげることが大事だと思いました。

 

妻の気持ちに寄り添って、一番の味方でいること。そしてそれをきちんと口に出すことは大切だなと思い、僕はなるべく伝えるようにしていました。そのおかげかはわからないですが、今も育児や子どものことで迷ったり悩んだりしたときは、妻は必ず僕の意見も聞いてくれます。信頼してくれていると感じられて、とても嬉しいですね。

 

ドラマ「花より男子」の小栗さん演じるセレブ高校生「花沢類」役になりきるおばたのお兄さん(Instagramより)
ドラマ「花より男子」の小栗さん演じるセレブ高校生「花沢類」役になりきるおばたのお兄さん(Instagramより)

 

PROFILE おばたのお兄さん

1988年、新潟県生まれ。日本体育大学卒業で、野球、剣道、アルペンスキー、剣道などで、好成績を残している。2023年には初の写真集『バースデー』を発売。妻はフジテレビアナウンサーの山﨑夕貴さん。

取材・文/酒井明子 画像提供/おばたのお兄さん