57歳で8歳年下の夫と結婚した小林幸子さん。結婚願望も子どもも欲しいと思ったことがなかったと語る小林さんが結婚に至った経緯や現在の暮らしとは。(全4回中の4回)
結婚願望はまったくなかった
── 2011年、小林さんが57歳のときに結婚されました。旦那さんは8歳年下だそうですね。旦那さんの第一印象は覚えていますか?
小林さん:声がすごく大きくて、笑い声も豪快で、お酒がすっごく強いなって思いました。
── 小林さんは57歳で初婚でしたが、そもそも結婚願望はあったのでしょうか?
小林さん:それまではまったくなかったです。家族は両親と姉2人だと思っていましたし、子どもが欲しいと思ったこともなかったです。10歳でデビューしてから歌手・小林幸子として長く活動する人生を大事にしようと思って生きてきました。もちろんまったく恋愛をして来なかったのかというと、恋愛もしてますよ。ただ、結婚となると、まったく考えていなかったです。むしろ、あの年齢で出会ったから結婚したんだと思います。もっと前に出会っていたら結婚ってことにはならなかった気がしますね。
── 結婚願望がなかったはずが、なぜ心境が変わったのでしょうか?
小林さん:そこですよね、問題は。そこが分かればいいんですけど、あれ…?どうしちゃったんだろうって。よく結婚するときに「ビビッときた」とか聞くじゃないですか。あのビビッは、20とか21でくる人もいれば、もっと後に来る人もいて、私は57歳のときだった。57歳が私の適齢期だったんだと思います。あと主人とは一緒にいてまったく疲れなかったんですよね。
── 旦那さんと出会ってご自身で変化したと思うことはありますか?
小林さん:私は長い間、歌を歌ってきて、自分で事務所を作ってずっと座長としてやってきたわけじゃないですか。そのなかでスタッフや仕事を抱えながら、いろいろなことを常に考え続けなければいけないってどこかで気を張っていたと思います。お金に関してもすべて私が支払うものだと思ってやってきたので、お年玉も10歳からもらってないんじゃないかな。気づいたらずっとお年玉をあげる人生でした。
それが夫と出会って食事に行ったとき、いつものように私がお支払いをしようとしたら「何やってるんですか?」って。「そんなの男がするもんですよ」って怒られちゃって。すごく新鮮でしたし、人に頼ってもいいんだなと思いました。
── なかには人に頼ったり、甘えたくても甘え方がわからないという人もいますが、小林さんはいかがでしたか?
小林さん:「できな〜い」とかそんな言い方は絶対しませんけど。主人の方から「何か困ってる?何?何?」って「あれしようか?」「これしようか?」っていつも口癖のように言ってくれるんです。だから「あ、そう…?」と言ってるうちに、次第に「お願いね」って言ったりして。「お願いね」ってお芝居でいいんですよ。そのうち芝居じゃなくなるから。女優さん、女優さん。女優さんになりなさいって。あと、主人の誘導も上手いんだと思います。
── いざ結婚されて、夫婦になるまでそれぞれの生活スタイルやペースもあったと思いますが、新婚当初からうまくいきましたか?
小林さん:何も変わらないですね。はじめから何か違いがあってもそういうもんだと思って結婚してるし、自分の理想を相手に当てはめたりしないですから。最初からマイナスだと考えておけばいいと思います。マイナスからスタートしたら、プラスのことがあったらへぇ〜ってなるでしょうし。
結婚後は、たとえば自分が「ただいま」って言ったら「おかえり」って返すのが当たり前だと思っていましたが、「ただいま」って言っても何か作業していて「おかえり」って言われなかったことがあるんです。「え?おかえりって言わないの?」って思いましたけど、ここからちょっとずつ調教していきました(笑)。怒らないでちょっとずつ、ちょっとずつね。
あとは、これは嫌だっていうことだけハッキリ伝えておけばいいのかなと思います。
── 年齢的にも自立された大人の結婚ということもあるのでしょうか。
小林さん:夫は私の仕事にいっさい口を出さないですし、それぞれの生活を守りながらパートナーとして寄り添ってる感じですね。
だからほとんど喧嘩もしないです。仮に喧嘩になっても「なんだその言い方は」とか感情的になることもないです。それより何かあると徹底的に話し合います。私がわからないと言ったら「わかった」って。噛み砕いて、噛み砕きすぎてぐちゃぐちゃになるまで、それくらい最後まで話をしてくれます。あれ、惚気みたいになっちゃった(笑)。
私が怒るとしたら、夫が酔っ払って帰ってきて、リビングで背広着たまま大の字で寝てるとき。それは怒りますよね。でも、服を脱がしたいんだけど重たいんです、体が(笑)。
── 結婚してから初めて知ったこともあるそうですね。
小林さん:結婚したときにはすでにお互いの父親は亡くなっていましたが、結婚後に主人の実家に帰ったとき。家族のアルバムを見せてもらったら、父親同士、戦友だったことがわかったんです。びっくりしました。天国で話し合って、私たちを夫婦にさせたのかなって思ったくらいです。