13歳でモデルとしてデビューし、現在は舞台を中心に女優として活躍する豊田エリーさん。21歳で出産したお子さんも今13歳。自身のデビューと同い年になり、どんどん大人びてきた娘の姿を見て感じることとは?(全2回中の1回)

孤独だった産後の子育て「娘と公園でふたりきり」

── 娘さんはもう、中学1年生なんですね。

 

豊田さん:そうなんです。早いですね。中学生になってから、自分が着たものは自分で洗濯するようになりました。以前は「洗濯して」って言えばやっていたんですが、自分から進んでやるようになったんです。成長したなぁと思いますね。娘は小学生のころから学校が好きで、中学も楽しく通っています。

 

豊田エリーさんの娘さん
娘さんはもう中学生。すっかり大人びた後ろ姿

── インスタグラムで拝見する姿もすっかりお姉さんになっていますが、豊田さんが21歳で結婚・出産をしたのち、子育ては大変だったそうですね。

 

豊田さん:近くに同世代の同じ立場の知り合いがいなかったので、何か聞きたいことがあっても相談相手がいませんでした。保育園の送り迎えの時間も不規則だったので、ほかの家族と知り合いになる機会もなくて。公園でも、娘はずっと私とふたりで遊んでいたんです。小学校に入るまでは、そんな感じでした。

 

困ったときは子育て関係のネットや雑誌に載っている知らない人たちの体験談を読んで、参考にしていました。情報はたくさんあったので、すごく助かりましたね。

仕事と育児の両立はパズルのよう「夫や24時間託児所の力も借りて」

── 娘さんは小さいころほとんど寝ない子で、豊田さんもずっと寝不足だったとか。

 

豊田さん:そうですね。あと、イヤイヤ期はなかなか言うことを聞いてくれなくて困りました。でも今、娘に対して、あれが大変だったなっていうふうには思わないんです。どちらかと言うと、仕事に復帰してからの両立のほうが大変でした。時間も場所もまちまちなので、パズルを組み立てるみたいにやりくりして。

 

娘が小学校に入って少しラクになりましたが、幼稚園くらいまではそんな状態で、夫や当時のマネージャーさん、24時間体制の託児所だとか、いろんな人に助けてもらいながら乗りきりました。

 

娘さんが11か月の頃。おしゃれな親子!

── 娘さんに対しての愛情が深いから、ツラかった記憶にならないのかもしれないですね。

 

豊田さん:いつも大好き光線出してますから(笑)。でも私、娘が生まれたときから、親と子どもの関係とか、この子を育てる、教えるっていうふうにはあまり思っていなくて。人と人との関係で、人生を一緒にどう乗り越えよう?という感覚なんです。

「私はママじゃないから」父に似てしっかり者の娘

── 自然とそういう感覚になったのですか?

 

豊田さん:娘を産んで、母子同室の部屋で初めて二人きりになったときに私、人見知りしちゃって。「ちゃんと人だ」っていうのをすごい実感して、緊張までいかないんですが不思議な感覚になって「はじめまして」って挨拶しちゃったんです(笑)。そのときの感覚が大きかったかもしれません。

 

信じられないほど小さな手!ママになった幸せを噛み締める一枚

娘はもともと自立心が強くて、何か意見すると「私はママじゃないから。一緒にしないで」ってよく言うんです。本人に聞いたら「そんなふうじゃない、ママにいろいろ言われた」とか、「あのときママはこうだった」とか言われるかもしれないですけど(笑)。その自立心を大事にしてあげたいなっていうところが大きいですね。

 

── 豊田さんが同じくらいの年のころに似ていますか?

 

豊田さん:私には似てないです。娘のほうがずっとしっかりしています。そういうところは夫に似たのかもしれません。

イギリス人の父のレシピを娘も受け継いでくれたら

── 親になった今、小さいころご両親がしてくれたことを振り返って感じることはありますか?

 

豊田さん:イベントを大事にしていて、大人も本気で準備して楽しむ家庭だったので、それはすごくいい思い出ですね。楽しいことが待ってるってわかっているから、誕生日やクリスマスの朝、目が覚めるだけで嬉しい気持ちになったのを今も覚えていて。その日がくるだけで幸せって、すごく大事な感覚だと思います。

 

豊田エリーさん
昨年はお父さんが住むイギリスへ娘さんとふたり旅。ロンドンで味わったフィッシュ&チップスは絶品だったそう

── 豊田さんも娘さんの思い出に残るようなイベントを用意しますか?

 

豊田さん:普段は簡単な料理しか作りませんが、イベントのときだけすごく張りきります。私が子どものころのクリスマスはイギリス人の父が、いつも料理を作ってくれました。ローストビーフとロースト野菜にグレイビーソースとか。ソースはたっぷりの野菜からスープを取って、肉汁も入れて時間をかけて作るんです。小さいころから隣で手伝っていたので、レシピを受け継いでいて。時間がかかるので毎年はできませんが、余裕のある年に作ります。

 

あとは、ときどきサルボ恭子さんの料理教室に通っているんですが、冬の時期になるとクリスマスにぴったりのレシピを教えてもらえるので、それを忘れないうちに作るようにしています。

 

お父さんのレシピで作るローストビーフ

── 娘さんは料理のお手伝いをしてくれますか?

 

豊田さん:イベントのときはしてくれます。私が先に作ってしまうと「手伝いたかったのに~」と言われてしまうので、「これから作るよ」って声かけて一緒に始めます。父のレシピを娘が受け継いでくれたら、それはそれで嬉しいですね。

 

── これからもいろんなことに興味を持っていくんでしょうね。

 

豊田さん:娘は今、声優さんに憧れているんです。どんなときもやりたいことを後押しできる母親でいたいですね。あとは何でも気兼ねしないで話ができる、きちんとコミュニケーションが取れる関係でいたいです。

 

PROFILE 豊田エリーさん

1989生まれ、東京都出身。13歳からモデルとして活動。2010年に俳優の柳楽優弥さんと結婚、女の子を出産。2016年に『ロミオとジュリエット』で初舞台を踏み、以降精力的に舞台女優としてのキャリアを重ねている。

 

取材・文/原田早知 写真提供/豊田エリー