シニア向け女性誌のモデルとして活躍中の結城アンナさん(68)。プライベートでは、俳優の岩城滉一さんとおしどり夫婦としても知られています。岩城さんとの出会いと結婚、子育てについてお聞きしました。(全3回中の2回)

初対面は高校生と大学生「自然とふたりで会うように」

── 岩城さんとは、どのようにして出会ったのですか?

 

結城さん:最初は私の友達のグループと、彼の友達のグループが一緒に遊ぶようになり、そこで知り合ったのがきっかけです。5年くらいはみんなで映画を観に行ったり、一緒に遊んでいたのですが、気づいたら2人でおつき合いするようになって。

 

若かりし頃の結城アンナさんと夫の岩城滉一さん
若かりしころの結城さんと岩城さん

── おつき合いするようになったきっかけは…?

 

結城さん:今となってはわからないですね(笑)。自然とそうなった、という感じかもしれません。出会ったころ、私はまだ高校生でした。彼は4歳年上なのですが、あまり年上って感じがしなかったんです。

 

── 出会った当時は高校生と大学生だったとのことなので、普通は年齢差を感じそうな気もしますが。

 

結城さん:当時、私はモデルの仕事をしていて社会に出て働いたので、精神的にませていた部分はあったかも。そういえば、出会ったころ、私が彼にうっかり“おまえ”って言ってしまったらしくて(笑)。「こいつ、俺のことを“おまえ”って呼んだんだよ」っていまだに言われます。

 

── 日本に来てまだ間もなかったこともあったのでしょうね。それにしても、結城さんとのフランクな間柄はとても素敵です。

 

結城さん:夫はたまに“自分のほうが年上だ”って主張することもありますよ。私はそう言われても気にしないし、言うことをきかないから、向こうがあきらめたみたい(笑)。

 

結城アンナさんと夫の岩城滉一さん
リンクコーデがおしゃれ!今も変わらず仲よしのおふたり

── 結城さんのご両親は、おふたりの結婚にはどんな反応を?

 

結城さん:じつはそのころ、父と母が“離婚する・しない”で揉めていたんです。夫のお父さんもちょうど足のケガで入院をしていて。私たちが結婚しようというタイミングで、両家の家族が“それどころではない”という状況だった。それで、夫とふたりで一緒になるのを決めて、いろんな手続きを進めました。

 

とはいえ、一緒に暮らし始めたのが先で、正式に結婚したのはだいぶあとでした。スウェーデンでは当時“(形式ばった)結婚ってカッコ悪い”っていう風潮があって。結婚式はお金がかかるし、豪華なウェディングドレスを着てケーキを食べるよりも、その費用で一緒に旅行に行きたいよね、なんて言っていました。

 

── 結婚当初、岩城さんはすでに俳優として活動されていたのですか?

 

結城さん:映像業界に片足を突っ込んでいたという感じで、まだ駆け出しのころでした。だから生活はそんなにラクではありませんでしたね。

出産後すぐに復職しモデル仲間と交互に育児

── その年に女の子を出産、復職されました。日本での育児経験はどうでしたか?

 

結城さん:初めてのことばかりで、大変でした。でも、赤ちゃんはすごく欲しかったので、大変だったことよりすごく幸せだったことしか思い出せないです。“ちゃんと育児しなくちゃ”という気持ちが強かったので、家族や親戚、先輩ママたちにいろいろと助けてもらいました。

 

── どんなことを大事にしながら育児と仕事を両立していましたか?

 

結城さん:お互い忙しいので、夫が手伝えないことを怒ってもしょうがないじゃないですか。でも育児と仕事の両立って簡単ではないから、準備や計画が重要。それさえちゃんとしておけば、できないことではないと思うんですよ。

 

結城アンナさんと夫の岩城滉一さん
夫婦共演のCM撮影で海外を訪れた際の一枚

── 今は保育園やベビーシッターの普及などママが働きやすい環境が整ってきましたが、結城さんのころは大変だったのではないでしょうか。

 

結城さん:モデル仲間が、同じ時期に育児中だったんです。だから「今日は私が預かるわ」「明日は仕事だからみていてほしい」という具合で、みんなで手分けして子どもの面倒を見ていました。

 

モデルの仕事は、朝から晩までスケジュールがぎっちり詰まっているわけではなかったし、あらかじめ内容や時間はわかっているので、“今日は誰に頼む“とか“その日の夕食を用意をしておく”という感じで、事前準備はしっかりするようにしていましたね。

駆け出しの俳優だった夫「今月はお金どうしよう」と悩むことも

── 産後にパートナーが育児をしてくれなかったことをずっと根にもつ人は多いと言いますが(苦笑)、岩城さんはどうでしたか?

 

結城さん:「これをやってほしい」と頼めばいろいろとやってくれましたが、“頼まなくてもやってほしい”っていう気持ちもあるじゃないですか。でも、私は人に頼むのが下手で。“人に頼むくらいなら、自分でやったほうがいい”みたいなところがありました。

 

いっぽうで夫は、私が仕事をすることに対して反対したりはしなかったです。彼もまだ俳優としての仕事が安定していたわけではいなかったので、私が働くことも必要でしたし。

 

結城アンナさんと夫の岩城滉一さん、娘さんの3ショット
仕事に子育てに必死だったころ

── 岩城さんというと、『北の国から』の草太兄ちゃんが印象的だったので、若くして活躍していたイメージです。

 

結城さん:『北の国から』の初期のころはまだ若手でギャラも多くはなかったし、ずっと北海道での撮影で不在だったので、基本的にはワンオペ育児でした。“今月はお金をどうやりくりしよう…”と困る場面もありましたね。

 

── 家になかなかいられず育児参加が少なかった岩城さんに、モヤモヤした思いはありましたか?

 

結城さん:それはいっさいなかったですね。だって仕事をしてくれなかったら困りますから(笑)。もっと働いてくださいって思っていました。夫婦でお互いの仕事の話も徐々にするようになりました。今もよくしていますよ。

愛娘を厳しく育てた理由は

── インスタグラムを拝見すると、娘さんとは今もいい関係でいらっしゃるのが垣間見えて羨ましいです。女の子の育児は難しい時期もあるかと思いますが、結城さんはどのように乗り越えましたか。

 

結城さん:私は10代からモデルの仕事をしていて、帰りが夜遅くなることもあったし、当私自身の親の離婚の問題もあり、なかなか娘にかまっていられない時期もありました。でも、娘は厳しく育てたと思います。3歳から10歳ごろまではしつけや礼儀作法のうえで特に大事な時期だと思うので、だいぶ厳しくしていました。大学を卒業してからはすっかり手を離して、自由にさせた感じです。

 

子育てするうえでは、家庭内でのルールをきちんとつくることが大事だと思うんです。それをだんだんと緩くしていって、最後には巣(家)から追い出す(笑)。娘は自由になってから単身で海外に行って、仕事を始めました。

 

結城アンナさん、夫の岩城滉一さん、娘さんの家族ショット
現在はアメリカ在住の愛娘との家族ショット

── 子育てをするうえで大事にしていたのはどんな時間ですか?

 

結城さん:一緒に話したり、料理を作ったり。そういった時間はすごく良かったなって思いますね。あとは旅行にも行きました。夫が一緒だと私たちの思い通りの旅行ができないので、娘とふたりきりで(笑)。

 

── とっても素敵ですね。ご両親が芸能活動をされていることは、娘さんはどう思われていたのでしょう?

 

結城さん:夫がドラマに出るようになって、有名になったころから気にするようになった感じはありました。娘は周りの人からあれこれ言われるようになって気づいたみたいです。私自身は周りから声をかけられるような環境もさほど気にしていなかったのですが、子どもはやっぱり大変だったんじゃないかって思います。今思えば、ちょっとナーバスになっていた時期もありました。でも家族は家族なので、絆で乗り越えられたと思います。

 

PROFILE 結城アンナさん

1955年スウェーデン生まれ。夫は俳優・岩城滉一。著書やSNS(Instagram@ayukihouse)でみずからの心地よいライフスタイルやファッションを発信。そのシンプルで自然体な暮らし方は世代を超えて支持されている。自身の描くイラストにも注目され2022年12月、初の個展を開催。雑誌やトークショーなど多方面で活躍中。著書に『自分をいたわる暮らしごと』『Anna's Cookbook/季節の食卓』(ともに主婦と生活社)、『北欧が教えてくれたシンプルな幸せの見つけ方』『アンナ流 大人の心地よい装い』(ともに宝島社)、『Then&Now/結城アンナ』(扶桑社ムック)がある。

 

取材・文/池守りぜね 写真提供/結城アンナ