シニア向け女性誌のモデルとして活躍中の結城アンナさん(68)。プライベートでは、俳優・岩城滉一さんと結婚、おしどり夫婦としても知られています。スウェーデンから日本への移住、モデルデビュー、結婚。紆余曲折あった半生についてお聞きしました。(全3回中の1回)

スウェーデンから来日、10代で「犬の散歩中に声をかけられて」

── 子どものころはどのような性格でしたか?

 

結城さん:両親が共働きだったので、ひとりで過ごすことが多かったですね。子どものころは母の故郷のスウェーデンに住んでいたので、森の中を散歩したり、動物とたわむれたりしていました。同じマンションに住んでいたおばあちゃんが、よく私の面倒をみてくれていました。

 

おばあちゃんは私の母とは違って、もっと昔の価値観で生きていました。今日はパンを作る、来週はお菓子を作る、という感じで、きちんと「今日はこれをする」って決めて暮らしていて。それが記憶に残っていますね。

 

5〜6歳ごろの結城アンナさん
笑顔がチャーミング!5〜6歳ごろの結城さん

── お父さんの故郷である日本に来たのはいつごろですか?

 

結城さん:写真を見るかぎり、初めて日本に来たのは4〜5歳くらいのときだったと思います。最初は学校が夏休みの時期に日本に来ていましたね。スウェーデンの夏休みは3か月あるので長いんです。移動にかなりのお金がかかるので、航空会社で働いている母の社員割引を使って、2年に1回くらいのペースで来ていました。

 

── 当時の日本の印象はどうでしたか?

 

結城さん:最初から日本が大好きでした。日本に来たときはいつも、父方のおじいちゃんとおばあちゃんの家に泊まっていました。いつもたくさん人がいたので、すごく楽しかった。行きの飛行機から降りるといつも、“あぁ日本っていいな”っていうような安らぎを感じていました。その後、父の仕事の都合で日本で暮らすことになりました。

 

── モデルの仕事を始めたのは、いつごろでしたか。

 

結城さん:14〜15歳くらいのときですね。犬の散歩をしていたら、モデル事務所の人からスカウトされたんです。モデルなんて考えてもいなかったけれど、“暇だからやってみようかな”っていう感じで。あまり大ごとだととらえていなかったんです。当時は学校がお休みの土日にできるならいいか、って思っていたら、ここまで来ちゃった(笑)。自分ではこんなに長く続く仕事だとは、夢にも思っていませんでしたね。

 

10代のころの結城アンナさん
愛嬌のある笑顔でシューティングをこなす10代のころの結城さん

── 現在はシニア向けの女性誌にモデルとして登場し、結城さんのライフスタイルに憧れている方もたくさんいます。現在もモデルのお仕事を続けていることについて、どのように感じていますか?

 

結城さん:私も不思議なのですよね。モデルとしては背も大きいほうではないし、ここまで続けられたのはラッキーだった。もしかしたら、運よく世の中の流れにのってきたのかもしれません。

日本語は自然と覚えたけど「いまだに漢字は苦手です」

── 流暢な日本語を話されていますが、言葉はどのようにして覚えましたか?

 

結城さん:日本の学校には通わず、インターナショナルスクールに通っていました。ちゃんとした日本語は今も話せていないけれど…(苦笑)。子どもって、すぐ覚えちゃいますよね。今の私の年齢で、全然知らない国へ移住して生活しなさいって言われたら、それは怖いですよ(笑)。でも若いときって、“自分はできる”っていう妙な自信を持っているじゃないですか。だから“なんでも来い”っていう感じでしたね。

 

結城アンナさんの近影
68歳になった今もさまざまな媒体でモデルとして活躍

── 英語とスウェーデン語と日本語の3か国語が話せるのですか?

 

結城さん:そうですね。今は日本語がメインですが、漢字が苦手で。やっぱり書いたり読んだりするのが難しいので、本を読んだりするときは英語かスウェーデン語になりますね。

 

── 娘さんがいらっしゃいますが、ご自身のご経験から語学教育などで気をつけたことはありましたか? 

 

結城さん:私たち家族は、日本語を勉強しようとして覚えたのではなくて、生活の中で自然と覚えていったんです。母はちょっと日本語が苦手だったけれど、父はスウェーデン語と日本語が話せましたし、それが私たちにとっては当たり前でした。だから、娘も自然と英語を話せるようになっていったし、それが普通という感じですね。

 

PROFILE 結城アンナさん

1955年スウェーデン生まれ。夫は俳優・岩城滉一。著書やSNS(Instagram@ayukihouse)でみずからの心地よいライフスタイルやファッションを発信。そのシンプルで自然体な暮らし方は世代を超えて支持されている。自身の描くイラストにも注目され2022年12月、初の個展を開催。雑誌やトークショーなど多方面で活躍中。著書に『自分をいたわる暮らしごと』『Anna's Cookbook/季節の食卓』(ともに主婦と生活社)、『北欧が教えてくれたシンプルな幸せの見つけ方』『アンナ流 大人の心地よい装い』(ともに宝島社)、『Then&Now/結城アンナ』(扶桑社ムック)がある。

 

取材・文/池守りぜね 写真提供/結城アンナ