タレントとして活躍を続ける白河れいさん。父で元横綱の貴乃花光司さんと、母で元アナウンサーの河野景子さんのもと、どのような教育を受けてきたのか。白河さんがふたりから引き継いだものとは(全2回中の2回)。

母がちょっと目を離した隙に

── お父さまが元横綱、お母さまが元アナウンサーですが、ご両親のしつけや言われたことで印象に残っていることはありますか?

 

白河さん:一番言われたのは目上の方への態度ですね。普段からお世話になっている方はもちろん、たとえば店員さんやタクシーの運転手さん、駅員さんなど、どの方に対しても挨拶や言葉使いはちゃんとしなさいって言われてきました。また、何か頼むときは「これがいいです」と言ったら怒られる。「これがいいです。お願いします」の「お願いします」もちゃんとつけなさいと言われましたね。

 

── 礼儀や挨拶、他者へのリスペクトを大事にすると。

 

白河さん:それしか言われてないくらいです。人に感謝する気持ちを大事にしなさいと言われてきましたが、家族全員が素敵な方々に囲まれているので、その言葉を実感します。あとは、親から特に勉強しなさいと言われることもなかったですし、あんまり怒られた記憶も少ないですね。

 

── お母様に言われて嬉しかった言葉はありますか?

 

白河さん:え…優しいって(笑)。いつも優しいし思いやりがあるから好きよ、みたいなことはよく言ってくれます…。母とはたまには喧嘩もしますが、日を跨ぐほど長引くことはないですし、基本的に仲がいいですね。

 

父は遠征に行ってあまり家に居なかったんですけど、私が子どもの頃、朝の4時から父がお弟子さんたちと稽古している姿をときどき見ていました。緊迫した空気の中で大変そうだな、息できてるのかなと、子ども心に思ったことは覚えています。

 

白河さん6歳のとき

── ご両親が著名人だと意識するような場面はありましたか?

 

白河さん:私が5歳くらいかな。母と一緒にスーパーに行ったとき、母が「ちょっと豆腐を取ってくるからカートを見ててね」と言って、一瞬その場から離れたことがあったんです。目と鼻の先に見える距離にいるんですけど、その数秒の間に知らない人たちにカートを囲まれて、ジロジロ見られたことがありました。特にネガティブな記憶ではないんですけど、うちは普通の家とは違うのかな?と感じた瞬間でしたね。

 

あと、父と一緒に歩いていると人に見られるのはしょっちゅうというか、当たり前でした。やっぱり大きいですし、存在感ありますよね(笑)

 

── ご両親が知らない人から見られることに対して、どう感じていましたか?

 

白河さん:全然嫌じゃなかったです。人から注目されるって素敵だなって思っていたし、両親が凛とした姿で佇んでいる姿をみてカッコイイなって思っていたくらいで。

 

もちろんシチュエーションにもよるのかな。たとえば友達の家に遊びに行くと、私の名前を紹介する前に「誰々の娘さんよ」と、先に親の名前から紹介されることが多かったんです。なんで私は友達と普通に遊んでいるだけなのに、親の名前がセットなんだろうって思ったことはありました。でもそれくらいで特に気にするでもなく。

 

今のお仕事もそうです。普通は誰々さんですと本人の名前が紹介されるとしたら、私の場合はまず親の名前が先に出てきますし、2世タレントと呼ばれることもあります。でも、私としては2世タレントというワードに対して、いい印象も悪い印象もないんですよね。この家に生まれてきたことも私のアイデンティティだし、そんなに否定したり隠したりすることでもないというか。うまく自分を表現しながら皆さんに知っていただけたらいいなと思っています。

食事に連れて行ってもらった先輩

豆まきにて

── ところで、2023年1月から『ぽかぽか』の月曜日レギュラーとして活躍されていますが、最初はかなり緊張されたとか?

 

白河さん:緊張して最初の方の記憶があまりないのですが(笑)、『ぽかぽか』が始まった日が私も『ぽかぽか』初回の日で、「人生始まった!」みたいな感じでした。でも2週目、3週目の方がもっと緊張が高まっていくんです。1週目は何もわからない状態で出ていますが、1回出ると、今回はこうだったら次はこうしてみようって1個プラスされていくじゃないですか。それでしばらくは試行錯誤でしたね。

 

── メディアの露出もどんどん増えていますね。

 

白河さん:新しいチャレンジができるのは嬉しいですね。ただ、2023年は人生で一番早くて濃い1年でした。一番ツラかったし悩んだ時期でもあったと思います。

 

テレビに出始めるとどうしてもいろいろな声も入ってきますし、自分が落ち込んでいることすら気づけないというか、時間が経ってから思った以上に傷が深かったんだなって実感することもありました。今はドラマに出演させていただいているので少し安心していますが、ドラマのオファーが来るまでは、これからどうなるだろうって不安でしたし。自分が出演していないテレビを見ながら、どうしたら自分が視聴者側ではなくて出演者側に行けるんだろって、常に頭をフル回転していました。

 

もちろん、すごく傷心して普通の生活が送れませんっていう状態ではなかったんですけど、ふとしたときにドン…!って、落ち込む感じ。それでもお仕事に行くと楽しいので、気持ちが上がったり下がったり忙しかったですね。

 

── 共演者の方とお話しされることはありますか?

 

白河さん:番組が始まる前にあれ見たよとか、声を掛けてくださって嬉しいですね。神田愛花さんは何度かお食事に連れて行っていただきました。困ったときにはアドバイスをくださったり、頂いた言葉にはいつも励みになっています。

 

PROFILE  白河れいさん

2002年生まれ。東京出身。2023年芸能界デビュー。『ぽかぽか』に出演。テレビ・バラエティほか幅広く活動中。2024年1月から放送の『婚活1000本ノック』に出演。

 

取材・文/松永怜 写真提供/白河れい