女優・タレントの北原里英さんが、俳優の笠原秀幸さんと結婚してから2年。お互い仕事が好きで、「共働き大前提」だったという結婚生活について、「平和な夫婦関係を守るためのルール」を話してくれました。(全4回中の3回)

 

元AKB48の北原里英さん
誕生日のお祝いの席で穏やかに微笑む北原さん

選抜メンバーでは常に3列目「自信がない自分を変えてくれた夫」

── 2021年に俳優の笠原秀幸さんと結婚されました。笠原さんと知り合ったきっかけは?

 

北原さん:同業のお友達に紹介してもらったのがきっかけです。

 

── 笠原さんが、今年のご自分の誕生日に、大切な人たちと一緒に過ごせることへの感謝の気持ちとともに、北原さんのことを「僕の人生を変えてくれたりえちゃん」とコメントされていたのが、すごく印象に残っています。

 

北原さん:あら?そんなことを発信してくださっていたんですね。気持ちをちゃんと言葉にしてくれる方で、言葉に嘘がないので、不安になったりすることもなく一緒に過ごせています。

 

俳優の笠原秀幸さんと結婚した元AKB48の北原里英さん
2021年9月に俳優の笠原秀幸さんと結婚した北原さん。今年3月には結婚式を挙げた

──「一緒にいると不安になることがない」と思えるのは素敵なご関係ですね。

 

北原さん:そうなんです。私、ずっと自分に自信がありませんでした。でも、そんな自分を変えてくれたのも旦那さんかもしれません。長い間、本当に自信がもてなかったので…。

 

── 2008年にデビューされているにもかかわらず、そんなに長い間、ご自分に自信がなかったとは意外です。

 

北原さん:グループってどうしても競争社会じゃないですか。AKB48の選抜メンバーに入れることだけでもすごいことだってわかっているんですけど、選抜の中ではずっと3列目に並んでいたから。負け体験じゃないですけど、負け慣れしていたというか。劣等感のようなものは常にあったと思います。でも、旦那さんはいつもポジティブな声がけをしてくれる人なんです。

人生が結婚でどう変わるかはやっぱり不安だった

── 結婚後、理想と現実のギャップを感じることはありましたか?

 

北原さん:結婚してからのほうが、仕事に対していいモチベーションを持てていると感じています。夫はたくさんのドラマや映画に出演しているので、現場に行くと、夫のことを知っている方がすごく多いんです。スタッフさんもメイクさんも。

 

彼はすごくいい人なので(笑)、どこの現場でも好印象を持っている方が多くて。私に対してもスタッフのみなさんが好意的に話しかけてくださるんです。現場で堂々としていられるし、心強く感じています。

 

── おふたりのすごくいい雰囲気がこちらにまで伝わってきます。

 

北原さん:自分の家族ができたと思えることも、「仕事をもっと頑張ろう」という前向きさにつながっています。「ダメでもこの人がいれば何とかなるかな」みたいな安心感が持てて、それまでよりも気持ちに余裕をもって仕事ができるようになったかもしれません。

 

私は仕事が大好きなので、結婚することで仕事がどうなるか不安に思っていたところがありました。ただ、働く女性の多くは、結婚によって自分の生活や人生がどう変わるか不安に思うことがあるんじゃないかなと思うんです。

 

── 具体的にどんな不安でしょうか。

 

北原さん:私の場合は、元アイドルなので、ずっと応援してくれているファンの方の存在を大切にしたくて。結婚に対してファンの方が嫌な気持ちにならないかというのは、やはり心配でした。

 

あとは、「もしかしたらできる役が減ってしまうかも」と考えたり。そんなことは実際なかったし、逆に役の幅が広がったんですけれど。結婚する前は、まだ経験してもいないことへの不安に駆られることがありました。

お互い掃除は苦手「キレイじゃないけれど平和です」

── 日常の家事の分担はどうしていますか?

 

北原さん:私はご飯を作るのが好きなので、料理は私が担当しています。お皿洗いやあと片づけは全部、旦那さんが担当。洗濯は、どちらもひとり暮らし歴が長いし、共働きなので、時間があるほうがやっています。掃除は…ふたりとも苦手ですね(笑)。

 

── YouTube公式チャンネルの「きたりえチャンネル」では、いつも整った部屋が印象的ですが…。

 

北原さん:YouTubeでは、撮影前に見えるところだけめちゃくちゃ片づけているので(笑)。お互いそんなにキレイ好きじゃないし、気にならないので、普段はわりと散らかっています。

 

でも、平和ですね。どっちかがキレイ好きだったらこうはならなかったと思うんですけど、どっちも掃除をしないことでケンカになることはないです。まったくケンカをしないことはないですけど、少ないほうかもしれませんね。

家事に対する姿勢に男性の優しさが表れる

── ケンカもなく仲のいいおふたりですが、共働き生活で悩みやモヤモヤはないのでしょうか。

 

北原さん:私たちの結婚は、もともと「共働きありき」というところから始まっていて。私も旦那さんも仕事が大好きで、「ずっと働きたい」という気持ちが大きいことを理解し合っていたので、「共働き大前提」すぎて、結婚後に家庭と仕事のバランスでモヤモヤすることはないんです。

 

── 共働きの共同生活が始まって2年、まだモヤモヤの経験がないって素晴らしいです(笑)。

 

北原さん:ただ、SNSなどを見ていると、パートナーの愚痴をこぼす投稿がめっちゃ出てくるんですよ。そういうのを見ると、「パートナーが家事をしてくれないとやっぱりしんどいよなあ」とは思います。

 

今どき、家事をやらない男は結婚できないんじゃないかと思っていて。家事に対する姿勢に男性の優しさが表れるとも思うんです。

 

弟がいるんですけど、最近は、両親が弟にお皿洗いとか家事をさせるようにしているみたいです。「それくらいはできないとダメだよ」っていう家事教育を実家でしています(笑)。

仕事も家事も介護も引き受けてきた母を尊敬

── ご両親も、家庭と仕事の両立に対して、北原さんご夫婦と同じような考え方なのですか?

 

北原さん:父は典型的な昭和の男ですね。実家は自営業なので、両親も共働きなのですが、会社での仕事量は圧倒的に父が多いものの、母は仕事をしながら家事もすべて担当してきて、すごく尊敬しています。同居していた祖父母の介護も、母がしていましたし。

 

── スーパーウーマンですね!

 

北原さん:昔は「尊敬する人は誰ですか?」と質問されたときに「母です」って答えるのはベタすぎるだろうと勝手に思っていて。「違うこと言わなきゃ」と、あえて別の答えをしていたのですが、年齢を重ねるにつれて、やっぱり母はすごいなぁって。

 

── そういったご家庭だったからこそ、北原さんがデビューするとき、「芸能界で頑張りたい」という気持ちを応援してくれたのでしょうね。お母様、そしてお父様の包容力の大きさが伝わってきます。

 

北原さん:あらためて、私は本当にいい家族に恵まれたんだなぁと思います。

 

PROFILE 北原里英さん

女優・タレント。愛知県出身。2007年、AKB48第二回研究生(5期生)オーディションに合格し、翌年デビュー。同年から長く選抜メンバーとして活躍する。2018年春、初代キャプテンを務めていたNGT48、AKB48グループともに卒業。以後、女優・タレントとして活躍の幅を広げている。2021年、俳優の笠原秀幸氏との結婚を発表。2023年8月には小説家デビュー作となる『おかえり、めだか荘』(KADOKAWA)を発売した。

 

取材・文/高梨真紀 写真提供/北原里英、(C)AKB48