AKB48グループ時代には選抜メンバーとして長く活躍した女優・タレントの北原里英さん。AKB48の次世代センターとして注目された時期もあった北原さんですが、当時はネガティブな一面もあったようです。(全4回中の1回)


 

元AKB48の北原里英さん

「絶対に合格しない」はずだったAKB48でデビュー

── デビューはオーディションがきっかけだと伺いました。

 

北原さん:もともと芸能界に憧れていて、女優を目指してたくさんオーディションを受けていました。AKB48のオーディションは、高校1年生のときに記念受験したんです。歌とダンスの審査があって、歌は下手だという自覚があったので「絶対に合格しないだろうな」と思っていたら、拾ってもらえて。最初は研究生として加入しました。

 

デビューが決まって、地元の愛知から上京することになって。「大学に入ったら東京に行きたい」とはぼんやり思っていましたが、いざそうなって、親にはたくさん相談しました。

 

── デビューや上京について親御さんとたくさんお話をされたんですね。

 

北原さん:はい。両親も慎重に考えてくれて。でも、否定はされませんでした。いろいろ思うことがあったとは思うんですけど。娘がやりたいと思うことへ快く送り出してくれることがどんなに難しいことか、大人になってよくわかるようになりました。

子どもの頃から「自分はかわいくない」と思っていた

── デビュー後は理想とのギャップはありましたか?

 

北原さん:芸能界のことはまったくわからなかったので、何を言われても「こんなものなのだろう」と思っていました。ただ、私は自分の顔に自信がなかったので…。

 

── 顔に、ですか?

 

北原さん:小学校の高学年くらいから中学生くらいまで、「自分は顔があまりかわいくないから、せめて性格だけはよくしよう」と思っていたんですよ。実際、小学4年生頃の写真を見ると、ブスなんですよね(笑)。

 

元AKB48の北原里英さん
小学4年生の頃の北原さん。「自分はブス」と思い込んでいた

── ブス…(苦笑)。

 

北原さん:両親や誰かに言われたわけではないのですが、「顔は特別かわいくないから性格のいい人でいよう」って本当にそう思っていました。だから、いろんなことに対して「ちゃんとしたい」いう気持ちも強かったです。

 

── メンバーやファンの方から「ウナギイヌ」と呼ばれていたときもありましたが、アニメのかわいらしさもあって親近感が持てました。

 

北原さん:最初は、悪口で言われていたのかもしれないけど(笑)。それこそ、今でも動画が残っているのですが、AKB48のジャンケン大会があったとき、メンバーそれぞれにカメラが1台ずつついて、密着撮影していたんですね。

 

密着されていたとき、私が自分のことを「ブス」って言っていたら、私を撮っていた女性カメラマンが「もし自分の娘がそう思っていたら悲しい」って泣いてくれたんです。そのとき「私、もう自分のことをブスっていうのをやめます」って泣きながら話したのをよく覚えています。めっちゃいい話ですよね。ただ、ずっと自分を「ブス」って言い続けるくらい自分に自信がなかったんです。

センター願望がなかったアイドル時代「ちょっと後悔してます」

── AKB48時代は、長い間選抜メンバーに選ばれていました。次期センターとして注目されていた時期もありましたよね。

 

北原さん:昔から、あまり「一番になりたい」と思ったことはなくて。センター願望もなかったのですが、今振り返ると、「ちゃんとセンターを目指せばよかったな」と後悔しています。かといって、誰かを蹴落としてまで上を目指したいという気持ちはないのですが…。でも、「一番になりたい」と思いたかったな、と思いますね。

 

子どもの頃から副班長や副キャプテンの立場が大好きなタイプだったんです。いつも誰かをフォローしたいと思っていました。

 

── みんなの前に立ってリードするよりも、誰かを支えたいタイプだったんですね。

 

北原さん:そうなんです。私、昔から「好きな言葉は?」と聞かれると「団結」と答えるくらい、みんなで何かをやることや勝ち取ることが好きだったし、小学生の頃から得意だったと思います。

 

── NGT48で初代キャプテンを務められていたときには、メンバーから信頼されていることがよく伝わってきました。

 

北原さん:私、すごく団体活動向きの性格なんですよ。小学校低学年の頃からエレクトーンを習っていたんですけど、当時は5人くらいの男女混合グループでレッスンしていたんです。そのグループが強くて、毎年、エレクトーンの地方大会で大きな賞をもらっていたんですよ。みんなすごく仲が良くて、おそろいの衣装を着て、目線を合わせながら弾くようにしていて。団結力の高さを評価されて賞がもらえていたと思います。

 

団体行動って得手不得手があると思いますが、私は得意だったぶん、ひとりでいることに不安を覚えたりもしていました。

 

── AKB48卒業後は、「ひとりになるのは寂しい」ともおっしゃっていました。

 

北原さん:今はもう慣れて、ひとりでも全然大丈夫なんです。でも、誰かと一緒にいたいタイプだと思います。ひとりでご飯を食べるのも平気なんですけど、行けるなら誰かと行きたいですね。

 

PROFILE 北原里英さん

女優・タレント。愛知県出身。2007年、AKB48第二回研究生(5期生)オーディションに合格し、翌年デビュー。同年から長く選抜メンバーとして活躍する。2018年春、初代キャプテンを務めていたNGT48、AKB48グループともに卒業。以後、女優・タレントとして活躍の幅を広げている。2021年、俳優の笠原秀幸氏との結婚を発表。2023年8月には小説家デビュー作となる『おかえり、めだか荘』(KADOKAWA)を発売した。

 

取材・文/高梨真紀 写真提供/北原里英、(C)AKB48