釈由美子さん(45)の長男は、7歳で英検準2級に合格。「とても個性的」と評する息子さんとのやりとりには、母としての思いが詰まっていました。(全5回中の5回)

 

これは泣ける…息子さんが釈さんに送った愛あるカードの中身

「オレンジ色の鼻をしたピンク象」を描く息子の個性

── いま7歳の息子さんは、昨年、英検3級に合格したそうですね。なにか特別な勉強をされたのでしょうか?

 

釈さん:英検を受けるまでにはいろいろな経緯があって…。幼稚園年少のころ、私が「息子には小学校受験をさせたほうがいいのでは?」と考えたことがあったんです。

 

それで、試しに小学校受験のスクールに通わせてみました。でも行ってみて、息子には小学校受験は合わないと感じました。

 

── 具体的にどんなところが合わないと思ったのでしょうか?

 

釈さん:「制限時間内にゾウの絵を完成させましょう」という課題がありました。他の子たちはみんなちゃんとしたゾウの絵を描いたのですが、うちの息子が描いたゾウは胴体がピンク、鼻はオレンジみたいにすごくカラフルで独創的だったんです。先生に「ゾウはこんな色をしていません、グレーで描きましょう」とすごく叱られてしまいました。

 

でも、息子は「このゾウさんは、お空を飛んでみんなにキャンディーをあげて幸せを届けているんだ。ゾウさんがピンクなのは、ママが一番好きな色だから」と自分なりに考えて、説明していました。

 

それを聞いても先生は「それでは、合格できませんよ」と冷ややかで…。後ろで見学していた私も、冷や汗をかきながらその様子を見ていました。

 

個性的!息子さんのオリジナリティあふれる塗り絵

もちろん、小学校受験が合うお子さんもたくさんいると思います。でも、うちの子にはもっと違う道があるのではないかと感じました。息子はすごく個性的で、みんなの前で急に踊るとか、他の子が思いつかないことをやるタイプ。

 

ふだん、習いごとは息子の意思を尊重して選んでいます。息子自身は勉強が好きなので、受験スクールもやめたくないと言っていたのですが、そのときは私の意思で小学校受験はやめることにしました。

英語のプリスクールでは「ノビノビと楽しんでいる」

── たしかに受験も子どもの資質によって合う、合わないはありますよね。

 

釈さん:受験スクールをやめた後はちょうどコロナ禍で、家でずっと英語のかけ流しをしていたんです。Netflixで「ミニオンズ」や「ジュラシックパーク」を英語で観ていたら、すっかり英語にハマったようで。

 

「英語をやりたい」と言い出したので、体験でプリスクール(未就学児を対象に英語教育を行う施設)に行ってみました。そうしたら、すごく楽しかったらしく、大喜びしていて。自分から「ここに行きたい」と言うので、それまで通っていた幼稚園から転園しました。

 

プリスクールは、息子の個性を尊重してくれました。独創的な絵を描いても、踊っても「ブラボー!」とほめてくれる。息子もノビノビして、英語も大好きになりました。

 

とくに英検対策などをしていたわけではなく、自然に耳で覚えた感じです。本人が英検を受けたいというので、息子の英語力に見合っていそうな、英検3級を受けさせてみました。

 

息子さんの英検3級合格証

── 自然と英語が身についていたんですね。英検対策として、どんな勉強をしたのですか?

 

釈さん:特別な勉強はしていないんです。ためしに英検のテキストも買いましたが、本人は「関係代名詞って何?」と、文法はよくわかっていませんでした。でも、問題を解かせると正解するんです。

 

プリスクールで過ごすなかで、自然と英検3級レベルの英語力がついたみたいで。受験当日は、私のほうがドキドキしていましたが、息子は楽しかったそうです。無事合格して私もとてもうれしく、しっかり英語力をつけている息子を尊敬しました。

 

── 息子さんも自信になったのではないでしょうか?

 

釈さん:基本的に私から何かを「しなさい」と言うことはないのですが、息子にとっては自信になったようです。英語に意欲的に取り組み、今秋は準2級に合格しました。

 

── 7歳で準2級合格ですか!すごいですね。

 

釈さん:準2級になると語彙力も求められるし、時事問題も増えるので、どうなるかな?とは思っていたんです。でも、ハリーポッターシリーズも英語で読んでいて、自然と語彙力も増えたようです。本人は勉強の感覚はないみたいで楽しんでいます。これからも英語力を伸ばしていってくれたらうれしいです。

 

── 息子さんはハリーポッターシリーズも英語で読んでいるんですか?読書もお好きなんですね。

 

釈さん:本は大好きですね。私は教育ママ的なことはあまりしていませんが、赤ちゃんのころから本にだけはこだわりがあります。家に息子用の本が1000冊くらいあるんです。さすがにこれ以上は増やせないので図書館を活用しているのですが、毎日、何冊も読んでいます。

7歳で夢に向かって励む息子「母は尊重するだけ」

── 小学校受験は釈さんの意思でやめさせたとのことですが、それ以外は息子さんの気持ちを尊重されているそうですね。

 

釈さん:これからの時代は、より能動的に生きていくべきだと思っています。だから、基本的に親の思う通りにさせるのではなく、何事も決定権は息子に任せるようにしています。だから習いごとも本人がやりたいと言ったことを尊重しています。

 

息子は意思が明確で、小さいころから将来の夢もはっきりしているんですよ。しかも、その職業に就くには、いまから何をしたらいいかを自分で見定めるんです。

 

── それはすごいです。夢の職業に就くために、何をするべきかまで考える子はあまりいないのではないでしょうか。

 

釈さん:最初はミュージカル俳優になりたいと、バレエやピアノ、歌の習いごとを始めました。途中から勉強も好きになり、野口英世の伝記本を読んで「お医者さんになって未知のウイルスを研究したり、病気で困っている人を救ったりしたい」と言うようになりました。

 

お医者さんになるためにはもっと勉強ができるようになりたいと、算数を先取りして勉強しています。最終的には、歌って踊れるお医者さんになりたいそうです。

 

親が子どもにたくさん習い事をさせるケースが多いと思うのですが、わが家は「もうちょっと習いごとを減らしたほうがいいよ」と言うくらいです。

 

1日は24時間しかないし、寝る時間も大切だから、そんなにたくさん習い事をしていたら身体が持たないよ、と伝えるのですが、本人はさまざまなことに興味津々です。息子の好奇心を大切にして、のびのびと個性を伸ばしてあげたいです。

 

PROFILE 釈 由美子さん

しゃくゆみこ。女優・タレント。グラビアアイドルとしてデビュー後、映画『修羅雪姫』、『ゴジラ×メガゴジラ』、ドラマ『スカイハイ』、『7人の女弁護士』などの作品で主演を務めるなど出演作品は累計100作を超える。舞台、イベント、ナレーション、広告出演等、多方面で幅広く活躍。

 

取材・文/齋田多恵 写真提供/釈 由美子