アニメや宝塚、料理など多趣味な上原りささん。なかでもアニメはオタクと公言するほど大好きだそう。好きなことを思いきり楽しみ、日々の原動力にしている上原さんに、オタクになったきっかけや、ポリシーについて聞きました。(全4回中の4回)

心のよりどころにしていた「終わりのセラフ」

── アニメにはまったきっかけを教えてください。

 

上原さん:アニメは小さいころから大好きで、「カードキャプターさくら」をはじめ、中高生のころは「NARUTO」もよく見ていました。「パント!」のおねえさんと学業を両立していたころは趣味を楽しむ余裕もありませんでしたが、大学を卒業して1~2年経ったころ、「何か心のよりどころを作ったほうがいいんじゃないか」と思うようになりました。

 

そこで、当時「終わりのセラフ」の漫画をよく読んでいたので、「アニメもあるなら」と見始めたら、声優の鈴木達央さんの声が本当に素敵で。それから鈴木さんが出演されている作品をたどり、今は「Free!」と「うたの☆プリンスさまっ♪」にハマっています。

 

どちらの作品も、登場人物に多種多様な個性があり、それぞれの人となりがていねいに描かれているところが好きです。登場人物たちが悩みながらも切磋琢磨し、認め合いながら成長する姿に元気と勇気をもらっています。仲間との絆にも胸が熱くなります!

 

「Free!」のイベントでさいたまスーパーアリーナへ

推しの誕生日には手作りケーキでお祝いも

── 多忙だった「パント!」のおねえさん時代は、どんなふうにアニメを楽しんでいたのでしょう?

 

上原さん:お休みの前日にDVDをたくさん借りて、翌日一気に見て楽しんでいました。今も休日はブルーレイを見漁っています!推しの誕生日には、手作りケーキでお祝いもします。

 

とくに今は、おねえさん時代と違ってアニメのイベントに参加できるのが嬉しいです。以前は「おかあさんといっしょ」のコンサートが土日祝日にあったので、イベントへの参加は難しかったんです。あと、オタク友達とも休みが合うようになり、イベントはもちろん、一緒にグッズを買いに行けるようになったのも嬉しいです。

 

── 上原さんの公式YouTubeからは、グッズを集めている姿も見られます。開封しないと中身がわからないグッズの場合は、推しではないキャラクターのグッズばかり集まってしまうと思いますが、そんなときはどうされていますか。

 

上原さん:グッズをたくさん買うと、私の推しではないキャラクターのグッズが出てくることも多いですが、私の手元に来てくれたらどのキャラクターでも嬉しいです。ただ、やっぱりそのキャラクターを推している方の手元に届くほうがいいので、オタク友達の推しが出たときはプレゼントしたり、私の推しと交換してもらうこともあります。

 

あと、友達がX(旧:Twitter)で、他のオタクの方とグッズ交換のやり取りをしてくれるのでありがたいです。オタクは助け合いが大事だなと思います。

 

「うたの☆プリンスさまっ♪」の中で推している蘭丸さまの誕生日は手作りケーキでお祝い

ファンに向けて自身のポリシーを発信

── 2021年5月に、ファンからのアニメグッズのプレゼントについて、「オタクとしてグッズは自分のお金で買いたい」「限定品などは他のオタクの方々の手元にも渡って欲しいので受け取れない」と発言されました。当時はどんな心境だったのでしょうか?

 

上原さん:当時送っていただいたグッズが、SNSで「手に入らなかった」と嘆いているプリンセス(「うたの☆プリンスさまっ♪」のファン)が多かった限定品だったんです。

 

私自身も複数のお店を回り、何とか自分の欲しい数だけ手に入れたのですが、さらにプレゼントとして手元に届いてしまい、手に入らなかった方々への申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまって。

 

私が好きなものだと知ってプレゼントしてくださったことはわかったので、本当に難しい状況だったのですが、「プレゼントしてくださる気持ちはありがたいけれど、今後はお断りします」と発信しました。

 

── 上原さんの発信については、「オタクの鑑」と賞賛する意見が多く見られました。

 

上原さん:いただいた反応のなかには「何様だ」「めんどくさいやつ」といった意見もありましたが、それ以上に私の勝手なポリシーに理解を示してくださる方が多くて、すごくホッとしたのを覚えています。

 

世の中には、私みたいに「自分で手に入れたい」と思う人もいれば、「もらえてラッキー」と思う人もいます。もちろん後者の方々の感覚も否定しませんし、いろいろな価値観を持つ人がいて当たり前です。ただ、私はお互いの気持ちを尊重するために、自分の立場を発信しました。

 

オタ活は、私にとって「癒やし」であり「生きる活力」であり、そして仕事を頑張るための「起爆剤」です。生きるうえでモチベーションになっているからこそ、私は自分でグッズを買って応援したい。オタ活だけで生きていけるわけではありませんが、オタ活があるからこそ、いま私はここに立っていられるし、生きていられると思っています!

 

オタ活は生きる活力!「うたの☆プリンスさまっ♪」のイベントへ

「好き」という気持ちが人生を豊かにする

── 上原さんが好きなことを思いきり「好き」と言って楽しまれている姿に、元気や勇気をもらう人も多いと思います。

 

上原さん:オタクは、周囲に理解されないこともあるかもしれません。でも、好きなことを「好き」と言うことは、まったく恥ずかしいことではありません。「好き」という気持ちは、人生を豊かにします。

 

ただ、私たちオタクの行動は、好きなものやコンテンツへの評価に繋がる場合もあるので、周りの人に迷惑はかけないようにマナーには気をつけたいと思っています。そのうえで、「好き」な気持ちを思いきり出して、みんなで楽しみましょう!

 

PROFILE 上原りささん

1991年生まれ。洗足学園音楽大学卒業。大学3年生のころ、NHK「おかあさんといっしょ」の「パント!」のおねえさん(5代目身体表現のおねえさん)に就任、7年間務める。現在は、ミュージカルや子ども向けイベントへの出演のほか、2020年には「はみがきジョーズ」でCDデビューも。11月18日『あつりさとチョッピーの森』を市原市民会館大ホールで開催予定。

 

取材・文/笠井ゆかり 画像提供/上原りさ