『おかあさんといっしょ』第12代体操のお兄さんとして活躍した福尾誠さん。現在は舞台公演で全国を回り、応援してくださる皆さんとの触れ合いを大切にしているそうです。(全2回中の2回)

子どもたちの個性を大切に

── 『おかあさんといっしょ』の第12代体操のお兄さんとして4年間活動されました。子どもたちと接するときにどんなことを意識してきましたか。

 

福尾さん:在学中にケガのリハビリとトレーニングをしながら体操の指導を学んでいる時に、体操教室のアルバイトをさせてもらっていて、子どもたちに体操を教える時間がありました。体操の指導はもちろんですが、子どもたちと接するときは、一人ひとりの個性を尊重したいなと思っていたんです。子どもそれぞれに得意・不得意もありますし、性格も違います。

 

その個性を大事にしてあげたいという思いがあったので、体操のお兄さんになって活動を始めたときも、遊びに来てくれたひとりひとりと向き合いたいと思って活動してきました。

 

福尾さんのイラスト
「いつか絵本を作ってみたい!」と語る福尾さんのほんわか可愛いイラスト

── 指導経験は即戦力ですね。

 

福尾さん:指導の経験も活きましたが、僕自身、シンプルに子どもと遊ぶのが好きなので楽しく活動させてもらっていました。関わっていくと子どもたちは純粋で素直だということがすごくわかりやすいです。

 

── コロナ禍で、収録に子どもたちが参加できない時期もありましたね。

 

福尾さん:就任期間のうち、子どもたちと触れ合うことができたのは最初の1年弱だけでした。番組の最後に必ず流れる「♪べるがなる」という曲で、みんなで歌いながらトンネルを作ってくぐったり、一緒に踊ったりしました。すごく思い出深いですね。振り返ってみても、子どもたちと触れ合えたのが一番長かった曲でした。

 

直接、子どもたちと一緒に遊びたいという思いが強かったので、今舞台で全国を回っているなかで、直接皆さんにお会いできることは、当時はできなかったのですごく幸せなことだと思っています。ひとりでも多くの方に出会えたらいいなという思いで活動しています。

子どもたちの思いは「シンプル」だから

── 会場を訪れた子どもたちからいただくものもあるそうで。

 

福尾さん:お手紙をいただくことが多いです。子どもたちの思いを届けてくれるというのは、活動をする中でいちばんの糧になっていますね。

 

── お手紙にはどんなことが書いてあるのですか。

 

福尾さん:思いがシンプルで、「大好き」、「かっこいいね」、「すごかったよ」という言葉が書かれていて、純粋な思いが届くのがすごく嬉しいです。似顔絵やイラストが描いてあることも多いです。全国どこに行ってもそういったものをいただけるのはありがたいですね。

 

福尾誠さん
爽やかさは体操のお兄さん卒業後も変わらず!ビビットなカラーも着こなす福尾さん

── 親御さんからはどんなお声がけをされますか。

 

福尾さん:子育てをしている方が多いので、「一緒に子育てしてくれてありがとう」という感謝の気持ちを伝えていただくことが多いです。自分がしてきたことを誇りに思えますしとても嬉しいことなのですが、本当のことを言うと僕の方が助けられていて。応援してくださっている皆さんがいなければ活動できないですし、どちらかというと僕の方が皆さんに感謝を伝えたいという気持ちです。

 

── 公演中の『だいすけお兄さんとまことお兄さんの世界迷作劇場2023〜24』では歌にも挑戦されていますね。

 

福尾さん:何を始めるにもそうだと思うんですけど、今までチャレンジしたがことないことで、それも得意分野ではないことに挑むことには勇気がいります。でもそれがチャレンジだと思っています。チャレンジしたくてもできない方がいるなか、挑戦できる環境があるのはすごくありがたいことだと思っています。

 

周りの方や応援してくださる方がいるからできることなので、感謝の気持ちが大きいですね。体操で培ったことでもありますが、自分の表現できる最大限のもの出すための事前準備として練習はきちんとします。

 

── 収録と違って、ライブで行う舞台の魅力はなんですか。

 

福尾さん:僕は体を使ったパフォーマンスが得意分野なのですが、アクロバットひとつとってもテレビで観るのとは違うと思います。生で観ると、跳ぶ高さや着地の音も含めて空気感も違いますし、何より迫力あります。間近で見ていただいて、「人ってこんなこともできるんだ!」と子どもたちが夢を抱いてもらえたら嬉しいです。

 

福尾誠さん
楽屋前での1枚。衣装もキマってます!

── 今週末から始まる『Family Dream Live 2023』は参加型のステージだそうですね。

 

福尾さん:こちらには今回初めて参加させていただくのですが、会場の皆さんと一緒に楽しい時間を作るライブになっていて、一緒にステージを作っていこうと言うのがコンセプトです。

 

コロナ禍でなかなか声を出して歌ったり、体を動かしたりすることが難しかった時期を経て、みんなで一緒に楽しみながら空間を作っていけるのが最大の魅力だと思います。

 

── 共演されている第11代 歌のお兄さんのだいすけお兄さんはどんな存在ですか。

 

福尾さん:番組の先輩で頼りになる、兄のような存在です。出演時期は被っていないんですが、僕が出演していた当時からお話しする機会もありました。だいすけお兄さんは歌、僕は体操と得意分野は違いますが、子どもたちに楽しんでほしいと言う同じ思いを抱いて一緒に準備しています。

 

一緒に作っていく時間があるからこそ、ステージでもいちばんいいものを届けられていると思っています。僕のしてきたことを尊重してもらえていますし、僕もだいすけお兄さんを尊敬しています。兄でもあり、生意気な言い方をすると一緒に頑張る同士でもあります。

 

── 今後チャレンジしてみたいことはなんですか。

 

福尾さん:実は絵を描くのが好きで、ストーリーを考えることも好きなので、いつか絵本を作ってみたいなと思っています。絵は得意ではないのですが、好きなことなので形になったら嬉しいですね。自分がしてきたことを今まで以上に頑張っていくのはもちろんですが、皆さんから「こんなことをしてほしい!」というお声もいただくので、応援してくださる方への感謝の気持ちとして、皆さんの希望を実現できるようなこともチャレンジしていきたいと思います。

 

PROFILE 福尾誠さん

1992年1月11日生まれ 東京都出身。2019年4月より『おかあさんといっしょ』第12代 体操のお兄さんとして4年間活動。2023年4月をもって同番組を卒業。ミュージカルコンサート「だいすけお兄さんとまことお兄さんの世界迷作劇場2023~24」全国50か所にてツアー中。「Family Dream Live 2023」出演。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/coseiro