トレードマークだった太い眉毛を細くして、ますますテレビ番組で活躍中の井上咲楽さん。栃木県の山の中で育ち、幼稚園のころから芸能人になるのが夢だったそう。幼少期の話や、デビューまでの道のりを伺いました。(全4回中の2回)

 

“陰キャ”タイプも​「アイドル」になりたかった

── テレビで拝見すると、いつも元気で明るい印象です。子どものころは、どんな性格でしたか?

 

井上さん:すごい人見知りで、おとなしい子っていう感じでした。ワイワイはしゃぐ性格ではなく、クラスの端っこにいるような“隠キャ”タイプ。小学生のときは、ひとりで図書室に行って本を読んで過ごすことが多かったです。

 

もともとそんなに友達が多いわけでもなく、特別仲良しな子もいないので、みんなで遊ぶときに誘われるぐらい。当時から手芸も好きでした。

 

0歳のころの井上咲楽さん
ほっぺがぷくぷく!0歳のころの井上さん

── おとなしくて内気だったとは意外です。ホリプロタレントスカウトキャラバンの特別賞で芸能界入りされていますが、人前に立ちたいという秘めたる思いがあったのでしょうか?

 

井上さん:幼稚園のころ、NHKの「天才てれびくん」や「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」で同世代の子が活躍しているのを見て、「私もあそこに出て特別になりたい」という憧れがありました。まだ「芸能人」という言葉もよく分からなくて、「アイ!マイ!まいん!」のまいんちゃんはアイドルと呼ばれているから、私のなりたい職業はアイドルというのか、と思ったんです。

 

それで、小学2年生ぐらいかな。文集に「将来の夢はアイドルです」と書いたら、同級生にからかわれてしまって。恥ずかしくなっちゃって、それ以降しばらくは「カフェをやりたい」とか夢を偽っていました(笑)。 

 

3歳のころの井上咲楽さん
3歳の井上さん。このころからテレビに出演する人に憧れが

“陽キャ”と“陰キャ”を繰り返した学生時代

── いつごろから、いまの明るい雰囲気に?

 

井上さん:中学に入ってから性格がガラッと変わりました。人数合わせのためにバレー部に入れられたのですが、バレー部にいたのは明るくてリーダーシップのある子ばかり。私とは真逆の“陽キャ”な子たちに影響されて、学級委員や応援副団長をするようになりました。田舎なのでクラスメイトは小学校からほぼ同じ。私の変わりようにみんな驚いていましたね。

 

休日にプリクラを撮りに行くとか、一緒にご飯を食べに行くとか、友達と遊ぶ楽しさとか、いままで知らなかった感覚をいっぱい教えてもらいました。周囲に「芸能界に入りたい」と口にするようになったのもこのころです。

 

中学生時代の井上咲楽さん
中学生時代はこんなおふざけ写真も

── 芸能界への憧れについて、ご両親の反応は?

 

井上さん:強く反対していたわけじゃないけど、いやいやあなたは無理でしょうという感じですかね。中学時代は芸人さんにも憧れていたので、将来の夢に「芸人になりたい」と書いたら、保護者からのメッセージ欄には「現実を見ながら頑張ってください」と冷静に書かれていました。

 

高校に入ると知らない子ばかりで、友達のつくり方が分からなくなってしまい、また“陰キャ”に逆戻り。アルバイトをして交通費をためて、雑誌を見ていろんなオーディションに応募しました。未成年だったので保護者の許可だけもらって。母はステージママのような感じはいっさいなくて。それはいまも変わらずです(笑)。

オーディション会場では眉毛が話題に

── ホリプロタレントスカウトキャラバンには、ご自身で調べて応募したんですか?

 

井上さん:はい。一発合格できるとは思ってないので、たくさん受けてどこか受かったらいいなぐらいの感覚でした。

 

ホリプロといえば深田恭子さんとか石原さとみさんとか有名人がたくさんいる事務所。応募するだけ応募しよう!無料だし!という感じで受けたら、まさかまさかで…。芸能界には絶対に入る!みたいな熱意はありましたが、こうなるとは思ってなかったです。まさか私がホリプロに?みたいな(笑)。

 

ホリプロスカウトキャラバンで特別賞を受賞したときの井上咲楽さん
ホリプロスカウトキャラバンで特別賞を受賞

── ご両親も驚かれたでしょうね。当時からトレードマークだった眉毛はしっかりあったのでしょうか?

 

井上さん:はい。家族で眉毛が濃いのは私だけで、小学生ぐらいからしっかり生えていました。中学でも「かもめ眉毛」といじられたりしたので、人よりちょっと太いかなとは思っていましたが、そこまでとは思ってなくて(笑)。

 

オーディションの日は重たい前髪で隠していたんです。コンプレックスを隠したいというよりも、こっちのほうがかわいいかな?というぐらいの気持ちで。

 

それが、最後のカメラテストでスタッフさんに「前髪を上げてください」と言われて上げたら「眉毛が太い!!」と騒ぎになって。いまのマネージャーさんは大爆笑していましたね。私は、そんな驚くかな〜?って(笑)。

 

オーディションで「Mr.ビーン」のものまねを披露する井上咲楽さん
オーディションでは「Mr.ビーン」のものまねを披露

── オーディションの合格に、周りも驚いたのではないですか?

 

井上さん:びっくりでしたね。高校では暗い子でしたから、いつも仲良し2人と一緒に過ごしていました。予選選考書類審査の通過のメールが届くと、授業と授業の合間に友達とこそこそ隠れてパソコン室で確認して、「受かってる!」と大喜びをしていました。

 

受賞したのが16歳のときで、18歳に上京しました。そこから少しずつ、テレビに出させてもらっています。

 

PROFILE 井上咲楽さん

1999年、栃木県生まれ。2015年、第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン特別賞でデビュー。現在は多数のバラエティ番組に出演し、テレビ朝日系の長寿番組「新婚さんいらっしゃい!」では8代目アシスタントを務める。

 

取材・文/大野麻里 写真提供/井上咲楽