誕生日が来るたびに「解散ライブ」を行い、翌日に芸名の数字が1つ増えると「生誕ライブ」を行うアイドル・まりえ(42)さん。42歳になった今も現役でアイドルを続ける彼女にお話を聞きました。

「年齢的にアイドルはダメ、という感覚はなかった」

── 現在42歳のまりえ(42)さんですが、アイドルを始めて14年とのこと。アイドルになったきっかけは何だったのですか?

 

まりえ(42)さん:私がアイドルになったのは28歳のときです。遅咲きゆえ「小さい頃からの夢だったの?」とよく聞かれますが、子どもの頃はアニメ好きで声優さんにあこがれていました。

 

アイドルになるために何かしたというわけでもなく、27歳のときに友人に誘われてメイド喫茶で働き始め、そのときのお客さんに「歌が好きならステージに立ってみなよ」と言ってもらったのがきっかけです。

 

初めて立ったステージで「お客さんが楽しんでいるのが楽しい!」と感じた思いがあまりにも強烈で、今もなおその思いが原動力となっていて、こうして現在もアイドルを続けています。

 

まりえ(42)になって初めて着た衣装。イラストレーターの岸田メル先生がデザイン
まりえ(42)になって初めて着た衣装。イラストレーターの岸田メル先生がデザイン

── アイドルというと10代~20代前半というイメージがあります。28歳でアイドルになるという年齢にデビュー当時、戸惑いはあったのでしょうか?

 

まりえ(42)さん:それが「28歳でアイドルなんてダメだよね」という感覚が私にまったくなかったんです(笑)。昔から年齢よりも若く見られがちだったせいもあるかもしれませんが、そもそも年齢のせいでできないことがあると思ったことがなかった。体も元気でしたし、アイドルも普通にできると思えたんですよね。

 

当時はまだ今のようなアイドルも少なく、初心者が歌える機会のイベントも参加しやすかったんです。その後、アイドルになるための登竜門的なイベントへの参加などを経て、その流れでメイド喫茶で働いていたときの源氏名のままアイドルの仕事をスタートさせました。

34歳のとき「まりえ(34)」でメジャーデビュー!

── 名前に年齢が入っていて、毎年誕生日に名前が変わるというのもおもしろいですね。

 

まりえ(42)さん:名前に年齢を入れ始めたのは34歳のメジャーデビューのときです。当時モーニング娘。さんが「モーニング娘。‘14」と数字をつけたのを見て、影響を受けた事務所の社長が「名前に入れた年齢が毎年代わるっておもしろくない?」って言いだし、「まりえ(34)」から始まりました。そして、誕生日前日の6月26日に解散して、27日から新しい名前でスタートをきるという形が生まれたんです。

 

── 毎年名前が変わることについては、いいことや悪いことなどあったりしますか?

 

まりえ(42)さん:困るのは、カラオケやサブスクで曲を検索するときに名前がたくさんあることです。まりえ(34)、まりえ(35)、…まりえ(40)、まりえ(41)で検索してくださいね、というようなことが起こります。あとは、自分が自己紹介で名前を間違えてしまうこともしばしばあります(笑)。意図せず若く言ってしまうと、その間違いをファンが「若返ったー!」と突っ込む場面もあったりするんですよ。もはや定番化しています(笑)。

 

── ファンとの掛け合いが素敵です。まりえさんの魅力あるステージの雰囲気が伝わってきます!「解散ライブ」と「生誕ライブ」にファンの方たちはどんな反応なんですか?

 

まりえ(42)さん:大阪で今年も解散ライブと生誕ライブをしたのですが、解散ライブではファンからの「やめないでー!」の声援に、私が「やめたくないよー!」という掛け合いがあります(笑)。

 

初めて来た人はいきなりの解散に驚いてしまうこともあるようです。正直、知らない人は「解散します」と言うわ、「辞めない」と言うわで「え?どっちなの」と混乱していると思います(笑)。ファンはそういうのをひっくるめて楽しんでくださっていてありがたいなと思っています。

 

40オーバーに見えない!アイドル・まりえ(42)さんの若々しい水着姿
40オーバーに見えない!アイドル・まりえ(42)さんの若々しい水着姿

── そもそもライブに初めてきた人のなかには「42歳の現役アイドル」と聞いて驚く人もいるんじゃないですか?その点でも混乱しそうです。

 

まりえ(42)さん:ありがたいことに実年齢よりも若くみられるので、「42歳?ええ?」と驚かれることも多いです。42歳のアイドルって私が知っているなかでは今2人くらいしかいないので、かなりレアです。

 

私のライブに来てくださる方のなかには、この年齢で活動していることに興味を持ってくれた方も多いと思います。男性ファンが多いのですが、なかには女性のファンも一定数います。私としては同性から認めてもらえるのはとてもうれしいです。

 

通常若いアイドルの子につく女性ファンは「その子みたいにかわいくなりたい」というような女の子が多いのですが、私の場合は同世代の共感を持って応援してくれるファンが多いところがあって(笑)。私もそんな同世代のファンのみんなに、私を糧に元気になってもらいたいし「まだまだ自分もイケる!」と思ってもらいたいし、やりたいことを続けるという目標にしてもらいたい。そんな気持ちで、毎回ステージに立ってます。

 

PROFILE まりえ(42)さん

名前の後ろについている年齢が、毎年更新される形で芸名が変わる現役アイドル。関西を拠点に東海・関東・北陸などでも活躍中。

取材・文/加藤文惠 画像提供/まりえ(42)