2021年に第一子が誕生したバイきんぐの西村さん。独特な言動から、奇人と称されることもある西村さんの子育てとは?(全3回中の3回)

ロケ先では子どもの映像を見ながら酒を飲み

── 現在、2歳のお子さんのパパとして奮闘中の西村さん。子どもができて、生活スタイルもずいぶん変化したのでは?

 

西村さん:すっかり子ども中心の生活スタイルになりました。できるだけ一緒にいたいので、あまり外へ飲みに行かなくなりました。夜も、テレビの野球中継を観ながらビールを飲むのが日課でしたが、そうなると子どもがテレビに夢中になり、ご飯を食べなくなるので、今は消すようにしています。

 

食べものに対する意識も変わりました。子どもには、安全で体にいいものを食べさせたいから、無添加のものを選ぶように。どうせなら手作りのほうがいいだろうと、ヨーグルトメーカーで、自家製納豆や塩こうじを作ったり、ホームベーカリーでパンを焼いてみたり。これがなかなか楽しくて、ハマっています。

 

── 自家製納豆に手作りパンまで!大変じゃないですか?

 

西村さん:今は、便利な家電があるから、それほどじゃないです。一時期は、納豆作りに夢中になり、毎日フル稼働で大量生産していました。最近、納豆作りはひと休みして、海苔の佃煮を作ったりしています。美味しいですよ。

 

子どもに合わせた生活をしていると、すごく健康的になります。朝も6時に起こされるので、夜更かしなんてしていられません。夜は、子どもをお風呂に入れたあと、一緒に寝てしまうことも。僕の場合、ロケで家を空けることが多く、忙しいときは月の半分ぐらい会えないので、家ではできるだけ一緒に寝たいんです。

 

── ロケで長期間会えないときは、どうされているのですか? 


西村さん:子どもとテレビ電話をしたり、奥さんに子どもの動画を送ってもらったりしています。ベッドにも見守りカメラをつけているのですが、夜、出先のホテルで子どもが寝ている映像を遠隔で見ながら酒を飲んでいます。

 

やさしそうなパパの表情!息子さんと写真に収まる西村さん

2歳の息子にもう追い抜かされて?

── 家にいるときは、お子さんとどんな遊びをされるのでしょうか。

 

西村さん:今、2歳1か月ですが、ジグソーパズルが好きみたいです。この間、80ピースのパズルを3時間で完成させていました。僕なんて20年かけて、まだ未完成だというのに、あっという間に抜かされました(笑)。

 

── 20年かけて完成しないパズルのお話は、ご著書である『ジグソーパズル』にも出てきますね。それにしても2歳で80ピースというのはすごいです。

 

西村さん:最初は2ピースから始めて、30ピースでも余裕だったので、「これ、いけるんじゃないか?」と50、80と増やしていきました。別に、「こんなふうに育ってほしい」などと押しつけるつもりはありませんが、子どもの能力を伸ばしてあげられるような環境は整えてあげたいなと。なので、知育玩具を調べてみたり、「モンテッソーリ教育」でしたっけ?奥さんと「こういうのがあるらしいよ」と話したり。

 

子どもに関する情報は、どんな小さなことでも、夫婦で共有するようにしています。何を食べたとか、どんな変化があったとか、何に興味を持っていて、どんな言葉を喋ったとか。それが、奥さんとのコミュニケーションにもなるので、一石二鳥ですね。

 

── 小さな子どもは、成長が早いですものね。

 

西村さん:毎日実感しています。今日なんて、テレビで紅茶のCMが流れているのを見て、「ママ、紅茶好きよね~?」と言ってきて。単に、目にしたものを口にするだけじゃなく、CMから話題を切り出してコミュニケーションをとっているのが「なんかすごいな」と(笑)。最近は、味噌汁を「うまいうまい」と言って飲んでいます。子どもの成長に立ち会えるのは幸せです。

 

── 味噌汁を味わって飲む2歳児、かわいいですね(笑)。この先、反抗期が来たら、パパとしてどんなふうに接しますか?

 

西村さん:そうですねえ。とりあえず、金八先生のビデオで子どもとの接し方をおさらいして、「金八スタイル」でやっていこうかなと。反抗したら、とりあえずビンタして、その後、ギュッと抱きしめる。そんな「オールドスタイル」でいくつもりです。

 

働く父の姿も目に焼きつけてほしいので、過激なコントもバンバン見せていく。それが、僕の教育方針です。

 

── モンテッソーリ教育に興味があるんですよね…?どんどんかけ離れている気が…。


西村さん:まあ、そのあたりは折衷案でやっていこうかなと(笑)。

 

ライフワークの単独ライブ。振りきったコントをイキイキ演じる西村さん

妻に「謝ったら負け」というプライドはない

── お話を伺っていると、ご家族との時間を楽しむ姿が伝わってきますね。奥さんとのコミュニケーションも大事にされていますが、夫婦円満でいるために、工夫されていることはありますか? 

 

西村さん:ケンカをしたときには、意地をはらず、できるだけ自分から歩み寄るようにしています。喋らない期間が長くなるほど、修復するのが難しくなりますから。たとえケンカをしても、翌日には何事もなかったかのように話しかけて、日常を取り戻していく。修復は、できるだけ早いほうがいいと思っています。

 

子どもが生まれる前までは、一緒にお風呂に入っていたんです。ケンカをしても、奥さんがお風呂に入ったら、後からしれっと入っていくようにしていました。なかには「謝ったら負け」みたいな考え方の人もいるようですが、無駄なプライドは持たないほうが僕はうまくいく気がします。

 

PROFILE 西村瑞樹さん

お笑い芸人。1977年生まれ、広島県出身。1996年に小峠英二と共にお笑いコンビ・バイきんぐを結成。2012年『キングオブコント』優勝。テレビ新広島で自身初の冠番組『西村キャンプ場』が放送中。9月にバイきんぐ単独ライブ「爆音」を開催。

 

取材・文/西尾英子 画像提供/西村瑞樹