お笑いの方向性もさまざまだったと語る森三中・村上知子さん。黒沢かずこさん、大島美幸さんとともに20年以上活動が続くなかで、解散危機もあったと言います。(全5回中の5回)
おかっぱ頭にピンクの前髪
── 改めて、芸人を目指したきっかけはなんだったのでしょうか?
村上さん:元々お笑いが好きで、中学生の頃から友達とよく銀座7丁目劇場のライブを観に行ってたんです。高校生になって進路を決める時期になると、大学に進学して勉強する気もないし、就職するのもなんだなと。専門学校とか行くのかなぁって漠然と思っていたときに、吉本の養成所のチラシを目にしました。ちょっと面白そうだなって興味を持ったのがきっかけです。
ただ、どうしても芸人になるんだ!といった強い気持ちではなく、嫌だったら辞めればいい。1回チャレンジしてみるのもいいかなって、それくらいの感じだったと思います。
── 森三中のメンバーとは、吉本の養成所で出会ったそうですね。黒沢さん、大島さん、おふたりの印象は覚えていますか?
村上さん:黒沢さんは、元々芸人になりたくて作家さんの勉強もしていたし、そのへんのポッと出とは違うというか、仕事への強い意気込みを感じました。あと、喋りやすそうな人だなって思いました。大島さんは、本人は舐められたくなかったと言ってましたけど、奇抜というか。髪の毛をおかっぱにして、前髪だけピンクに染めていて、ちょっと近寄り難いな。この人とは友達になれないなって思いましたね。
── そこからトリオを組んだきっかけは何だったのでしょうか?
村上さん:先に、私と黒澤さんで先生の前でネタ見せをやっていたんです。大島さんはピンでやっていましたが、ひとりでは大変だったようで、私と黒沢さんのところに入れてほしいって言われて。そこからトリオになりました。
体を張った仕事の本音
── 森三中を結成されて、お仕事の方向性や希望などあったのでしょうか?
村上さん:大島さんは、昔からダチョウ倶楽部さんとか出川さんに憧れがあって、体を張る芸に興味がありました。黒沢さんはダウンタウンさんがすごい好きで、ネタとかコントをやりたいと。私は特にこうなりたいっていうのもなく漠然としていて。
ただ3人でいると、どうしてもダチョウ倶楽部さんのような体を張ってるようなイメージがあるらしく、そういったお仕事をたくさんいただきました。でも、私と黒沢さんはそんなに体張れないし、怖くて消極的で…。そこに関しては大島さんが引っ張ってくれた感じで、私と黒沢さんはできることをやっていたと思います。
──『世界の果てまでイッテQ!』は、体を張るお仕事も多いかと思いますが、いかがですか?
村上さん:『イッテQ!』に関しては、若いときはアクティビティとか体を張るものが多かったんですけど、今はメンバーも増えて、女芸人も入れ替わり立ち替わりでやったりとか、体を張るだけではない感じのものも増えてきましたね。
解散危機が訪れて
── 森三中を結成されて20年以上。解散を考えたことはありますか?
村上さん:あります。たぶん、結成して5年目くらいですかね。森三中がトーク番組の特番のMCを任せてもらったときに本当に難しくて、全然話を回せなくて恥ずかしい思いをしたことがあったんです。こんなんだったらやめたほうがいいよねって3人で話をしました。
その後、もうほとんどやめる方向に傾いていて、みんなで辛いねって言いながら残りの仕事をしていたんです。でも、これが終わったらやめようと言いながらやめる勇気もなく、今もそのまま続いてます(笑)。
正直、やめるのも勇気が入りますし…。やっていることに対して、自分たちが納得していれば続けていいと思うんですけど。そういう意味では、やめる人ってすごいなって思いますね。自分で区切りをつけるってすごく難しい。芸能以外でも同じですよ、何かをやめる人っているじゃないですか。会社を辞めたり、長く続けたことをやめたり。でも、私はやめる勇気がないんです。それが続けている秘訣というか、ただ続いてるっていうか(笑)。
でも本当に3人に解散危機があったのはその1回で、あとは3人が同じタイミングでやめたいと思わなかったから続いています。1人がやめたいとボヤいても、あとの2人が首を縦に振らないまま、ずるずるっていってる感じもありますね。
── 村上さんと大島さんが結婚して母となりましたが、3人のバランスはいかがでしたか?
村上さん:最初は心配だったんですけど、意外と大丈夫でしたね。私たち2人の産休が重なってしまいましたが、同期の椿鬼奴と黒沢さんが組むことがあったり、周りのサポートもあったと思います。あと、ちょうど黒沢さんが当時、すごく東方神起が好きだったので、3人の仕事がなかった分、1人の時間ができたので、韓国に行きまくって楽しそうで良かったです。
PROFILE 村上知子さん
1980年生まれ。お笑い芸人。1998年に黒沢かずこ、大島美幸とともにお笑いトリオ森三中を結成。2008年に結婚して、1児の母に。写真(C)YOSHIMOTO KOGYO CO.,LTD
取材・文/松永怜