介護士として働くカワサキさんがTwitterに投稿した漫画「人を轢きかけたので警察呼んだ話」が話題になりました。雨の日の夜に起きた事件とは…?
車道に人がいて間一髪!
ある雨の日の夜。初めての場所で迷ってしまい、山道を車で走っていたカワサキさん。日常的に車の運転はしていましたが、このときは「雨」「夜」「街灯もない初めての道」という悪条件が重なっていたので、法定速度以下の30〜40キロのスピードで走行していました。
ハイビームをつけて運転していたところ突然、車道の真ん中に傘もささずに歩く人影が!クラクションを鳴らしても避ける素振りはなかったそうです。
「ゆっくり走っていたため避けることができましたが、対向車線に車がいたら…と考えると恐ろしいですね。追い越すときに姿を見ると歩いていたのはおじいさんで、なんだかボーッとした様子。認知症の方の症状に近いような気がしました」
民家も街灯も近くにない山道で傘もささずに歩いているおじいさんは、それだけで普通ではない気がします。それを認知症の方の症状に似ていると気づけたのは、介護士をしているカワサキさんだったからこそ。このままでおじいさんが危ないのではと思い、引き返すことに…。
保護が必要と判断し警察に連絡
おじいさんのところまで引き返し、声をかけたカワサキさん。まずはゆっくり丁寧に、車道の路肩に誘導。何をしているのか尋ねると、おじいさんは何もないほうを差しながら、「すぐそこに家がある」と言ったそうです。
「他にもボーッとしたり、同じ話を何回もされていました。私の勤める施設には、認知症になり夜中に徘徊をして、想像を超えるような距離をひとりで歩いていってしまう方も多いです。この方が認知症であったかはわかりませんが、このままにはできないと思いました」
そのためカワサキさんは警察に連絡。パトカーが来る15分ほどの間、自分の車の後部座席に座らせ、「迎えがくるので一緒に待ちましょう」と声をかけていたそうです。
「捜索願が出されていたようで、身元はすぐにわかったみたいです。私の連絡先も警察に聞かれましたが、その後、連絡が来ることは特にありませんでした」
まさかの可能性を考えながら運転すること
今回の件でカワサキさんが教訓として得たのは、交通ルールをしっかり守ることは大切ということ。
「予定もなく急いでおらず、初めての道でしかも山道、夜、雨ということで、法定速度内できちんと走っていたからこそ気づけたのだと思います。ハイビームをつけていたのも、おじいさんに気づけた要因ですね」
車通りはかなり少なかったものの、カワサキさんの前にも車は何台か走っていました。おじいさんを見た人は他にもいるはずで、誰も声かけや通報をしなかったのだろうかと思ったそうです。
「車道の真ん中で人が轢かれたというニュースをたまに見かけますが、まさにこういうことが原因で起こるのではないでしょうか。あれ以来、雨の夜の日に運転するときは、“もしかしたら…”と考えるようになりました。事故にならないためにも、もし車道を歩いている人がいたら、勇気を出して警察に連絡してほしいです」
警察庁の調査(2022年)によると、500人近くの認知症の方が徘徊中に命を落としています。特に夜間は、そのことを少し気に留めながら運転を心がけたいものですね。
PROFILE カワサキさん
オルタナティブな絵描きになりたい介護士。Twitter(@cawask5678)でイラスト漫画を公開している。
取材・文/酒井明子 画像提供/カワサキ