小学生のファンも多い演歌歌手の丘みどりさん。ファンの客層を広げてくれたというバラエティ番組「千鳥の鬼レンチャン」出演のエピソードを伺いました。(全3回中の3回)
娘の寝かしつけ後にカラオケで練習
── ファンの年齢層が幅広いそうですね。
丘さん:バラエティを見てコンサートに来てくださる方も多いですし、先日、浅草を歩いていたら小学生のグループから「丘みどり〜!鬼レンチャン頑張って〜!」と声をかけられました(笑)。
──「千鳥の鬼レンチャン」は、歌の実力者が一音も外すことなく人気の曲を連続で歌いきることにチャレンジする番組ですね。練習も大変そうです。
丘さん:鬼レンチャンに出てから小学生や女子高生のファンクラブの会員が増えました。コンサートでもお子さんがお母さんと一緒にいらして「息子が来たいと言うので来ました」と言われることもあって嬉しいです。でも、番組の出演前は地獄のような日々なんです。
── 地獄、とは?
丘さん:たくさん練習していくんですが、夜、子どもが寝てから夫に娘を託して、そこからカラオケに行きます。次の日の仕事にもよりますが、朝まで練習して家で3時間くらい寝て、仕事に行く…という日々なんです。学生のようなオールカラオケをひとりでしています(笑)。
あとは、コンサート中だと一部と二部の間の休憩が3時間くらいあるんですけど、その合間にカラオケに行くこともあります。一部が終わったらお弁当をバーっと食べてカラオケで練習して、帰ってきてまた着物の着付けをして、コンサート。
── ハードすぎます。
丘さん:1日、1〜2時間の練習量ではたりません。オールカラオケは夜のフリータイムに行っているのですが、店員さんから「丘さん、またやるんですか。頑張ってください!」と声をかけられることも。
コロナ禍で一時期はほとんどいなかったのですぐ入れたんですけど、最近はカラオケに行く方も増えてきて予約しないと入れないこともあるんです。
── 楽しく番組を拝見していますが、涙ぐましい影の努力があったとは…。
丘さん:この体制で挑んでいるのでものすごく緊張しますし、できなかったら1週間くらい落ち込みます。「あんなに頑張ったのに〜!」と。でも今まで歌ったことがない曲を歌うのは楽しいですし、流行っている曲についても勉強になりますね。
問題はその場で解決
── 寝る間を惜しんで練習されているとのことですが、表舞台に立つ方は事前の準備が欠かせませんね。
丘さん:歌詞を覚えたり、振りつけを覚えたり。先輩のカバー曲などを観る時間も必要なのですが、家ではそれと同時に家事もしています。これから演技のお仕事もしていきたいので勉強のためにドラマも観るのですが、本当に忙しいときは倍速で再生しながら(笑)。
── 体調管理なども大変そうです。
丘さん:小さい頃から民謡を習っていたので喉は強くて。変に意識して「この日は絶対調整しなきゃ!」と思うと風邪を引いたりするので、喉に関してはあまり意識せず、日常を送ることを心がけています。
体調に関してはストレスを溜めるのが一番よくないと思うので、嫌なことがあったらその日のうちに解決するようにしています。絶対に次の日に持ち越さない。よくないと思うことがあったら、マネージャーさんやスタッフさんにもその場で「これはやめよう」と伝えて、その日は気持ちよく寝たいです。
── 直接、伝えるんですね。
丘さん:言われた側が果たして納得しているかはわからないのですが(笑)、引きずっていても次から次へとすることがたくさんやってくるので、溜めこむのではなくその場で伝えて、それが終わったら、「よし、今は娘と向き合おう」と切り替える。目の前のことを全力でするようにしています。
── これから挑戦したいことはありますか。
丘さん:演技にチャレンジしたいです。歌と歌の間にセリフがあるときも、何もわからないで話すのと女優さんが話すのでは全然違うなと感じます。去年、朗読劇をさせてもらったのですが、歌い方やセリフひとつにしても、もっと違う表現方法があると感じたんです。
演歌歌手としても活かせる場面が多いのでしっかり勉強したいと思います。今回、花魁の衣装で歌ったのですが、海外の方にも日本の演歌を楽しんでいただけるようなことをしていきたいですし、いずれ海外公演も実現できたらと思っています。
PROFILE 丘みどりさん
1984年生まれ。幼少より民謡をはじめ、18歳でアイドルとして芸能界入り、20歳で演歌歌手デビュー。NHK紅白歌合戦への出場ほか、CM、バラエティ番組、コンサートツアー等幅広く活躍。新曲『椿姫咲いた』発売中。
取材・文/内橋明日香 写真提供/丘みどり