「長男らしいことは、していないですよ」と、控えめに言う加藤清史郎さん。21歳ですが俳優として長いキャリアを持ち、放送中のドラマ『弁護士ソドム』(テレビ東京系 毎週金曜日夜8時より放送)をはじめ、映画やドラマ、舞台、CMなど数多くの作品に参加しています。母への感謝や家での役割、今後やりたいことなど、お話を聞きました。

 

加藤清史郎さん
優しい笑顔で家族のことを語ってくれた加藤さん

「自分だったらできない」母への感謝

── お母様の働く姿を見て、感じていることはありますか?

 

加藤さん:感謝しても、しきれないですね。家族のためとはいえ「自分だったらできない」と思うことが多いですし、尊敬しています。うちの母も働いていますけど家族が5人いるから、一つひとつの家事の量が多くなるので大変です。たとえば洗濯物をたたむのは、最近なんとなく僕の役割になっているのですが、本当に冗談抜きで山積み(笑)。だからとても時間がかかります。

 

以前、母がテレビを観ながら洗濯物を片づける姿を見ていたので、自分もテレビで阪神戦を観ながらたたんでみたら、全然進まない…。いつの間に試合に夢中になって、手元でたたんでいたはずのTシャツが、別の場所で置き去りになっていました(笑)。

 

── 同時並行じゃないと、回らない、片づかないことが多いですからね。

 

加藤さん:家庭によっては、目が離せない年齢のお子さんがいて、仕事から帰ってお母さんひとりで子どもの面倒を見ながら家事をする。手が回らない、時間が全然たりないこともありますよね。

 

僕は時間をつくるのが得意じゃないから、「できない。寝ちゃおう(笑)」となりそうだけど、「やらないと生活が回らない」ってことが、いっぱいあるはずで…。そこを気力や根性でやり切るのは、本当にすごいです。自分の母だけでなく、そうして頑張っているみなさんは尊敬しますね。

 

加藤清史郎さん

長男だからではなく「家族の一員として」

──「なんとなく洗濯物をたたむ役割」をしているそうですが、ほかにやっていることは?

 

加藤さん:荷物を持つ。焼肉では肉を焼き、鍋では鍋奉行をする(笑)。雨が降ったら、駅まで車でお迎えに行く。あとは玄関の靴をそろえるくらいです。

 

── いろいろ、やっていますね。家のなかで「長男として」といったことは、考えますか?

 

加藤さん:家族の一員としてやっているだけで、「長男だから」とかじゃないですよ。もう父よりは力仕事ができるし、家にいる者として普通のことだと思います。

 

── 過去のインタビューからは、妹さんや弟さんへの気づかいなど、「優しい兄」の印象もあります。

 

加藤さん:兄らしいことも、特には…。でも弟には身長を追い越されたので(笑)、兄として「バトンを渡さないといけないな」って感覚はありますね。

 

たとえば荷物を持つこと。「お兄ちゃんが持つのが、当たり前じゃないんだからね。なんで『自分が持とう』ってならないの?僕が仕事でいないとき、家族で買い物に行ったら、誰が持つの?」と聞きました。

 

それで「僕が持つ」と言ってくれたので、「じゃあ今、持とうよ」って。袋が2つ3つあるうち、ひとつを持たせて…(笑)。

 

── やっぱり、優しいお兄ちゃんです(笑)。

 

加藤さん:休日、一緒にゲームで仲良く遊んだりはします。ただ、たいしたプレゼントも、してあげられていないからな…。でも弟がポケモンカードにハマっているんですよ。先日、仕事でイギリスに帰ることがあって、日本では使えないけどコレクションとして、現地のポケモンカードを「中学卒業と進学おめでとう!」とプレゼントしました。

 

それにプレゼントといえば、もうすぐ妹が20歳の誕生日で…。実は僕が20歳になるとき、妹が奮発して僕が大好きなワイヤレスイヤホンをプレゼントしてくれたんです。そのお返しでもあるので半年くらい前から、ほしいものを言われていて(笑)。まだ、なにを買うかも決まっていませんが、素敵なプレゼントを準備しないといけないです!

 

加藤清史郎さん
ふとした表情にクールな大人の雰囲気を感じさせる

大分でのロケ休日にひとり1泊2日ドライブ旅行

── 現在21歳です。20代での目標はありますか?

 

加藤さん:具体的な目標は特に決めていませんが、楽しく仕事を続けるために、努力と挑戦をしていきたいと考えています。ミュージカル、ドラマ、映画、舞台、CM、ラジオや声のお仕事…。やったことがない役や携わったことがないことに、チャレンジし続けたい。どんな形であろうと僕が携わることで、みなさんに良い影響を及ぼせるなにかがあれば、尽力したいです。

 

── 忙しいと思いますが、プライベートで「時間があったら、やりたい」と思うことは?

 

加藤さん:やりたいと思うことは、すでにいろいろ、やっているほうだと思います。季節的に今ではないですが、雪上キャンプ。まだキャンプは初心者なので、もっと上級者になったら…やっぱりキャンプ感あるじゃないですか。

 

あとは肉を回したいです!ゲーム『モンスターハンター』の「こんがり肉」って、わかりますか?体力がなくなったときに肉を回して「上手に焼けましたー」って、食べたいです(笑)。

 

── ゲーム内のアイテムですね。生肉を焚火の上で回しながら焼いて、上手に焼けると体力を回復できる…。実際の焚火や肉で、再現するYouTube動画を観たことあります(笑)。確かに、キャンプ映えもしそうです。

 

加藤さん:リアル「こんがり肉」、やってみたいです!(笑)ダラダラするのも好きだけど、プライベートも積極的に、いろいろなことをしたいと思っています。

 

加藤清史郎さん
「肉を回したい!」と楽しそうに話す様子に等身大の21歳の姿が垣間見える

── 行きたい場所などは、ないですか?

 

加藤さん:旅行は行きたい場所がたくさんあります。海外もあちこち行きたいですし、ロンドンにも帰りたい。留学中は近隣へ旅行し、それぞれの地が魅力的で、どの街でも生活するイメージが持てました。国内も県単位でいいから、全国制覇したいです。

 

大分県日田市へ撮影に行ったとき、2日間撮影のお休みがありました。共演者の方たちは湯布院の温泉など、わりと近いエリアに行かれたようです。でも僕は、ウズウズしてしまって(笑)。朝6時半に起きて開店と同時にレンタカーを借りて、宿も決めずに1泊2日で九州縦断、ソロ弾丸ドライブツアーをしました。

 

大分から南に下って、熊本県に入って阿蘇の高原を走り、熊本や宮崎の海沿いやパワースポットを巡り、日南でモアイ像を見て…。鹿児島県までは足を伸ばせませんでしたが、えびの高原という、きれいな池がたくさんある場所に車を停めて登山もして…。帰りはひたすら、高速道路をワーッと北上するみたいな(笑)。

 

── すごくアクティブですね。

 

加藤さん:旅をするとパワーをもらえます。この仕事では、演じることで自分がいろいろな人になれて、いろいろな場所や人と出会えることが、魅力のひとつ。仕事でもプライベートでも、行く先々で、出会う人、場所、空気、食べものなど、さまざまなものに触れていきたいですし、その経験をまた演技や仕事につなげていきたいです。

 

加藤清史郎さん

 

PROFILE   加藤清史郎さん

2001年神奈川県出身。俳優。1歳1か月でデビューし、数多くの映画やドラマ、舞台、CMほかで活躍。4月より『弁護士ソドム』(テレビ東京系)に天才ハッカー・八雲カイ役で出演中。

 

取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶彩 ヘアメイク/入江美雪希 スタイリスト/山田莉樹