コロナ禍でお茶の間を盛り上げた中年コンビが、初夏に“子どもに優しい”全国ツアーを開始。長谷川雅紀さん(51)は明るく、渡辺隆さん(45)はちょっとニヒルにその理由を語ります。
週休1日あるかないか
── 最近はご活躍でかなり忙しそうですが、休みはどのくらいの割合でありますか?
渡辺さん:ありがたいことに去年までは、本当にお休みがありませんでした。今年になって少し落ち着きました。
── 売れたからこそ、落ち着いて休みが増えていったとしたらどうしますか?
渡辺さん:それはそれで、しようがないです。寄席でネタを披露しながら僕らなりにやっていくしかなくて。
長谷川さん:来年はどうなっているかがわからないのが、僕たちの仕事ですから。特にテレビのお仕事は、僕たちがいくら出たいと言っても、オファーがあってこそ。それがなくなれば、別のことをするかもしれません。
3歳児がお客さんのメイン層
── 6月から始まる『錦鯉独演会ツアー2023』は、お客さんに来てもらう仕事になりますが、0歳から入場可能にした理由を教えてください。
渡辺さん:錦鯉にとって3歳くらいのお子さんたちがお客さんのメイン層だからです(真顔)。逆に思春期のお子さんたちは禁止にしようかと思っているくらいです(笑)。
長谷川さん:今日も4、5歳くらいのお子さんたちからファンレターが届いて、お子さんたちからこんなに人気が出るとは思ってもいませんでした。
渡辺さん:でも、中学生くらいになれば僕らの底の浅さがわかるのであまりうけず、むしろ大人になれば、逆に面白がってくれるところはあるかもしれません。
── 子どもたちからの人気の秘訣は何ですか?
渡辺さん:(長谷川の)精神年齢が小学1年のお子さんと同じくらいということですかね(笑)。
長谷川さん:そうなんです。この間、舞台で小学校1年生くらいのお子さんたちから、「ダメー」「ダメー」とダメ出しばかりされるので、どうしたものかと…(笑)。
学校の先生は苦々しく…
── うちの読者は、それくらいの小さいお子さんをもつママさんも多いですが、その世代への人気はどうですか?
渡辺さん:それくらいのママさんたちには、よく「子どもがいつもみています」とか「子どもがファンです」とは言われますが、ママさんたちご自身はどうなんですかね(笑)。
長谷川さん:お子さんが「こんにちはー」と、元気よく挨拶をするようになったと感謝されたこともあります。でも、誰彼かまわず道端で「こんにちはー」をするようになって、困るようなこともあるみたいです(苦笑)。
渡辺さん:外で雅紀さんみたいなルックスの人に、「こんにちはー」をしてしまったら大変なことになるよね(笑)。元気で挨拶するだけだから、誰も禁止することができず、学校の先生たちも苦々しく思っている人はいるはずです。
長谷川さん:それにしても、「こんにちはー」の連発で来世の分まで挨拶をしてしまった感覚です。先日も、ロケ中にお子さんたちと「こんにちはー」の言い合いが始まって、どこでやめたらいいのかわかりませんでした(笑)。たぶん、1日に100回は言っていると思います!
昔は同世代のおじさんが多かった
── 最近は、ファン層が変わってきた感覚はありますか?
渡辺さん:昔は同世代のおじさんが多かったですけど、最近はお子さんが増えました。「こんにちはー」がこれほど真似されるとは思わなかったので、不思議な感覚です。
元気な挨拶はいいと思いますが、少なくとも親御さんたちはご自身のお子さんたちを雅紀さんのようになってほしいとは思っていないはずです(笑)。
── 6月のツアーは、そんな小さなお子さんたち向けのネタもあるのですか?
渡辺さん:あまり意識はしていません。もともと僕らのネタは伏線や仕掛けがなく、出たとこ勝負みたいなものですから。今までのネタも、そうやってきて小学生やそれより小さいお子さんたちが付いてきてくれたので、今回もそこまで深くは考えていなくて、その場のノリで楽しんでもらえたらと思います。
●コンビ初の全国独演会ツアー『錦鯉独演会ツアー2023』が6月4日、東京からスタート。札幌・岡山・福岡・大阪の5都市6公演が上演予定で、8月に東京の追加公演も決定。0歳児から入場可。3歳以上有料。
PROFILE 錦鯉(にしきごい)
長谷川 雅紀。1971年、北海道生まれ。’94年「まさまさきのり」でデビュー。2012 年に渡辺隆と「錦鯉」を結成。渡辺 隆。1978年、東京都生まれ。2001年「ガスマスク」でデビュー。’12 年に長谷川雅紀と「錦鯉」を結成。’21年、「M-1グランプリ 2021」で、大会史上最年長優勝。著書に、『くすぶり中年の逆襲』。
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