恋愛から遠ざかっていた35歳独身女性の心情のリアルさと、年下男子との恋に「沼る!」人が続出のドラマParavi『隣の男はよく食べる』(テレビ東京系 毎週水曜深夜24時30分より放送)。主演の倉科カナさんに、作品の魅力や撮影の様子、自身の恋愛観について、お話を聞きました。

 

女優の倉科カナさん
真っ白なシャツがよく似合う!終始明るい笑顔を見せてくれた倉科さん

「同じ世界線」感じられるリアルさが魅力

── 現在放送中の『隣の男はよく食べる』は、同名の人気コミックスが原作。倉科さんが演じる久しぶりに恋をする料理上手な独身女性の主人公・大河内麻紀と、年下男子・本宮蒼太(菊池風磨さん)との“ムズキュンラブストーリー”に話題が集まっています。

 

倉科さん:撮影したのは半年ほど前で、精魂込めて作った作品をようやく観ていただけているのは、すごく嬉しいです。

 

脚本の段階からスタッフのみなさんが練りに練ってくださって、女性ならではの“あるある”がしっかり反映されているので、多くの方が共感できるドラマになっていると思います。

 

蒼太役の菊池さんをとても信頼しているから、できたことも大きかったですね。自然体でリアリティのあるカップルにしたかったので、細かなアドリブを入れたり、それを受け止めて返してくれた菊池さんの演技をキャッチして、また返したり。一緒にチャレンジしながら作り上げた、麻紀と蒼太を楽しんでもらいたいです。

 

── SNSの反響では、2人の関係にキュンキュンしている人がたくさんいるほか、麻紀の30代女性のリアルな心情が「刺さる!」という人も多いです。

 

倉科さん:ドラマでフィクションではあるけど、観ている人に「同じ世界線」を感じてもらえる作品だと思うし、脚本を読んで麻紀のリアルさを私の心と体を使って、体現したいと思いました。

 

彼女のカッコいいところ、カッコ悪いところ、無様なところ。躊躇してしまったり、気持ちが揺れたり…。そういう「わかるー!」と共感してもらえる部分が、全話通してあるので、みなさんの反響が最後まですごく楽しみです。

 

女優の倉科カナさん

初のラブコメ主演で「ヒロインの幸せ」を実感

── ちょっと意外でしたが、ラブコメでの主演は初めてだったそうですね。

 

倉科さん:ラブコメ自体に参加することが少なくて、これまでは出演してもヒロインの恋敵。幸せにはなれない役で、いつもは「私の屍を越えて、ヒロインたちは幸せになってくれ!」と思いながらやっていました(笑)。

 

今回はやっとみんなに、「幸せになれるように!」と応援してもらえる役柄で、撮影がすごく楽しかったです。「ヒロインって、こんな幸せな気持ちなんだ…」と、初めて実感しましたね(笑)。

 

女優の倉科カナさん
恋敵とヒロイン役の違いに、ちょっとしみじみする場面も

── 麻紀を演じるうえで「実はこんなこともやっていた」というのは、ありますか?

 

倉科さん:菊池さんとのシーンだけでなく、麻紀のキャラクターをよりリアルに感じていただけるように、ちょこちょこアドリブを入れたり、脚本にあるセリフだけど、アドリブに見えるよう意識したり。撮影の合間も麻紀として、みんなと会話することもありましたね。

 

── みんながキュンキュンしているポイントですが、ラブシーンが多く、ナーバスになることはなかった?

 

倉科さん:それは全然。私はラブシーンにまったく照れがないんですけど、相手役の菊池さんが照れてしまうことがあって。照れている菊池さんを見て、私も照れちゃうことはありました(笑)。

 

麻紀は料理上手な設定なので料理をするシーンが多く、手さばきには気をつけました。話をしながらせん切りをするシーンがあって、包丁の切れ味がイマイチだったのは、ちょっと大変だったかな(笑)。

 

女優の倉科カナさん

好きになるのに見た目や年齢は関係ない

── 麻紀は等身大の役だと思いますが、ご自身に近い部分はありますか?

 

倉科さん:かなり近いキャラクターですね。共感できるところが多くて、仕事が楽しくて気づいたら私生活を忘れている。それで十分幸せで、充実しているし、不自由を感じていない。仕事に邁進している今の女性には、そういう感覚の人も多いと思います。

 

でも出会いがあって、恋をしてしまったら、臆病になっちゃう部分や不器用になるところ、私もそうだと思うし、すごく共感できます。

 

── 逆に「こういうところは、自分にはないな」と感じた点は?

 

倉科さん:麻紀が最初に蒼太との恋愛にためらう部分ですかね。

 

年齢や見た目など、固定概念を持つのがあんまり好きではなくて…。才能や人柄に好意を持つので、年上だからとか、年下だからは関係なく、自分の気持ちが大切で「愛の大きさだろ!」って(笑)。

 

── 自分が惹かれる感情や相手の中身が大切で、よくある「好きなタイプ」みたいなのはない?

 

倉科さん:私は「年齢は経験値」としか思っていないし、「体は入れ物」という考えなので、見た目も年齢も全然気にしないから、傾向みたいなものはないです。

 

固定概念や周囲からの目にとらわれるのは、ちょっと悲しいというか、もったいないですよね。年齢や見た目で幅を狭める必要はないし、中身だけを見て「素敵な人」を探すと視野が広がるし、気持ちが楽になるんじゃないかと思いますね。

 

女優の倉科カナさん

 

PROFILE   倉科カナさん

1987年熊本県出身。2006年より女優として映画やドラマ、舞台、CMなど幅広く活躍。4月12日より放送の『隣の男はよく食べる』(テレビ東京系)に主人公・大河内麻紀役で出演中。

 

取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶彩