サウナを愛するタレントの清水みさとさん。お風呂で仲良くなったおばちゃんたちとの出会いが日々楽しみになっていって──。(全3回中の1回)

大学はあみだくじで決めた 

── 清水さんは、日本大学芸術学部映画学科演技コースの出身だそうですね。映画や演技などに、もともと興味があったのでしょうか?

 

清水さん:当時は、とくに興味があったわけではないんです。ただ、母が「みさとは普通の大学に行ったらやめそうだから、楽しくておもしろそうな大学に行ったほうがいい」といって、日芸のパンフレットを持ってきました。私もなんとなく興味を持って、日芸の演技コースを受験することに。高校も大学も、母と一緒に「あみだくじ」や「サイコロ」を振りながら決めました。

 

── なぜ、進路を「あみだくじ」や「サイコロ」で決めることに?

 

清水さん:将来どんな職業に就きたいとか。自分が本当にやりたいことは何だろうって考えたときに、深刻になりすぎるより、運に身を任せるのもアリかな、と思ったんです。少しくらい楽しく決めたほうが、うまくいかなかったとしても他人や自分のせいにしなくてもいいですし。

 

── 実際に大学に通ってみていかがでしたか?

 

清水さん:まわりの同級生たちは、映画好きな子ばかりでしたが、当時、私は映画のことをあまり知らなかったんです。私以外の生徒は、やりたいことがあって大学に通っているのに、私はやりたいことが見つかっていない。みんながイキイキと勉強しているなかで、「私って自分がないな」と思ったり。

 

そんなとき、たまたま出会ったのがサウナでした。

いつになく饒舌でサウナで話をしていて

友人と食事を楽しむ清水さん

── サウナに行き始めたのはいつくらいですか?

 

清水さん:大学1年生の夏ですね。初めはサウナ目的ではなく、スポーツクラブのお風呂に入りに行ってたんです。毎日同じ時間にお風呂に入っていると、だんだん常連のおばちゃんたちとも世間話をするようになっていきました。おばちゃんたちは、洗い場で体を洗った後に、みんなでサウナに入るんです。私もおばちゃんたちともうちょっと話の続きを喋りたくなって、見よう見まねでサウナに入ったのが最初でした。

 

── おばちゃんたちとの時間が心地良かったような?

 

清水さん:みんな自分の好きな話をしているから、相手に気をつかって話を合わせたりしなくていいんですよ。おばちゃんたちの前では、自分から自然に話をしてましたね。

 

── おばちゃんたちとの出会いで印象的だったことはありますか?

 

清水さん:サウナが好きになって通い始めた場所がいくつかあるのですが。たとえば、三軒茶屋の『駒の湯』、新大久保にある『ルビーパレス』というサウナ。

 

ここは、私が大学生のときから通っていて、顔馴染みになった常連さんや番台のおじちゃん、おばちゃん、お店のスタッフさんがいて、私のことを本当の孫のようにかわいがってくれるんですよ。

 

私が昨年結婚したことを伝えた際には、浴室に響きわたるほどのボリュームでみんなが大喜びしてくれました。心からお祝いしてくれている気持ちが伝わってきて、本当に嬉しかったですね。

 

── サウナでの出会いは、人との距離をぐっと縮めますね。

 

清水さん:ほかにもあって、ときどきサウナにいるとおばちゃんたちが持ってきたものを分けてくれたりするんですよ。

 

── たとえばどんなものを?

 

清水さん:コンビニに売っている袋入りのロックアイスをサウナに持ってきて、「自由に食べてね!」と、と氷をもらったことがあります。サウナって暑いから、その中で食べる氷ってすごくおいしいんですよ。

 

あとは、自家製のキムチを漬けてタッパーにつめて「持って帰ってね」と配ってくれるおばちゃんがいたり。「この本あなたがすきそうだから」と三島由紀夫の本をもらったりしたこともあります。

 

私、いつも人からもらってばかりいるけど、ちゃんとお返しできているのかな、人になにか与えることはできているのかなと。これまでたくさんの人にもらったぶん、少しずつお返ししていけたらなと思います。

 

PROFILE 清水みさとさん

女優。タレント。日本最大のサウナ検索サイト「サウナイキタイ」のモデル、ラジオ「清水みさとの、サウナいこ?」(AuDee/JFN全国21局ネット)のパーソナリティー。著書『サウナのぷりンセス』(トラツグミ出版)など。

 

取材・文/間野由利子