お笑いトリオ「パンサー」の尾形貴弘さん(45)との間にさずかった長女・さくらちゃん(5)はこの春から年長さんですが、その食の細さにあいさん(39)はずっと悩んできました。(全3回中の2回)
ほかの子と比べてしまい…
── さくらちゃんの5年間の育児を振り返ってどうですか?
あいさん:正直、ストレスだらけでした。さくちゃんは、今は全部ができるようになりましたが、おむつは幼稚園に入園してもとれず、4歳までおっぱいを飲み、ごはんもまったく食べず、何もかも成長がゆっくりだったので苦労しました。
近所や同じ園だけではなくSNSなど、どうしてもほかの子と比べてしまい、悩むことが多かったですね。あのころの闇やストレスは何だったんだろうと思うほどです。
私と主人の子なので、我が強く譲らない性格なのは仕方ないのですが…。スーパーでギャーッと泣きわめいては、こんな子はほかにはいないのにと悩み、外出がおっくうになったこともありました。
フードコートでも癇癪(かんしゃく)を起こして、夫が担ぎ上げて外に出したこともあったので、5歳になりやっと静かに食事ができるようになったときには感動しました!
お供えものだと思いながら料理を
── 食が細い子には、世のパパ、ママたちも悩んでいると思いますが、どう克服しましたか?
あいさん:うちの経験だと、幼稚園での集団生活がよかったですね。そのうえで、親が無理に食べさせないで、根気よく待つことですね。家で私がどんなに一生懸命に料理をしても、絶対に食べてくれなかったのですが、幼稚園でみんなと一緒だと食べてくれました。
親が頑張りすぎると、プレッシャーのようなものになるのかもしれません。トイレも家ではなかなかできませんでしたが、幼稚園でみんながするのをみて、できるようになりました。
食が細いとどうしても「栄養」のことを考えてしまいますが、1食くらい抜いても大丈夫だという一種のあきらめも必要だと思います。解決方法をネットで探して、かえって悩みすぎたのもよくなかったですね。
1日3食の準備がとても苦痛で、誰も手をつけないお供えものだと思いながら作り続け、心がえぐられる思いでした。私は昔から周囲に止められるほど大食いだったので、親からさらっと「少食ね。大丈夫?」と言われたときも傷つきましたね。
パパが作ったうどんは食べて…
── さくらちゃんは白米をほとんど食べないということで、何を食べていましたか?
あいさん:唯一、納豆チャーハンは食べてくれるのでよく作っていたら、夫が何げなく「毎日、チャーハンしかあげてないの?」と言ったときにはブチギレましたね。「あんたに何がわかるの!」とブチまけてしまいました(笑)。
それで「オレが作ってみるよ」と夫が簡単に作ったうどんは食べてくれたことがありました。誇らしげに「食べたよ!」と言ったときには頭に血がのぼって、どうしていいかわかりませんでしたね。だから、当時は必死さばかりで余裕がなかったのが、子どもにも影響していたのかと思います。
子育てのすべてをテキトーにしたほうがいいとは言えませんが、周りと比べることはせず、待ち続けることも大切だと思います。「同じ人間はいないのだから、同じに育つわけがない」というパパの言葉は珍しくその通りだと思いましたね(笑)。
最近はさくちゃんから、ようやく食べたいもののリクエストが増えてきたので、それのみをモチベーションにして何とか頑張っています。
PROFILE 尾形あい さん
1984年、静岡県生まれ。アパレル会社勤務をへて、2017年に「パンサー」の尾形貴弘さんと結婚。’20年、セレクトショップ「MINT」をネットで、翌年には店舗もオープン。5歳長女の育児にも奮闘中。
取材・文/CHANTO WEB NEWS 写真提供/尾形あい