「結婚しても出産しても、もし世の中になくて欲しいモノやサービスがあったら、作っちゃうと思う」。パワフルな未来しか見えないダレノガレ明美さんに、仕事観を聞きました。
「占い師さんにも言われた」私の未来
── 高校生のときはバイトをかけもちして、その後は芸能界、現在はスキンケア商品の会社も経営していますが、ダレノガレさんは働くのが好きなんですか?
ダレノガレさん:働くのは好きですねー!働いていない自分を想像できないです。占いで手相を見てもらっても、“仕事向き”と言われます。90歳を越えても働き続けているだろうって(笑)。
── スキンケア商品の開発拠点や工場がある韓国によく行かれるなど、社長としての仕事が忙しそうですが、芸能活動とのバランスは?
ダレノガレさん:最初にアパレルで起業したころから、韓国はよく仕事で訪れています。コロナ禍でも状況が許す限り、ビジネスビザをとって出張に行っていました。「遊びじゃないの?」と誤解されるのがイヤで、おおやけにはしていませんでしたが、肌に悩みを抱える人たちに求められる限り、応えるのが私のやるべきことですから。
芸能活動と事業との比率は、1対9くらいかな。会社は少人数で運営していて、裏方も含め私が大部分を負っており、費やすべき時間やパワーが違います。
── 仕事に夢中のダレノガレさん(現在は32歳)ですが、プライベートの人生設計は?40歳くらいって、どんなイメージですか?リスキリングして、新しいことに挑戦していそうな気も。
ダレノガレさん:40歳かぁ、うーん、結婚はせずに働いてそうですね(笑)。新しいことっておもしろそうだから挑戦してみたいけど、まだイメージがわきません。いまの事業や自分に100%満足することはないんです。満足したらそれで終わり。だから、ずっと何かを作り続けるのかも。
もし結婚して、子どもが生まれても、欲しいものやサービスがなければ“自分で作りだす”と思います。年を重ねても、女性の悩みに寄りそう仕事をしていきたい。その思いをこめた社名の「CAROME.(カロミー)」は、私がイタリアにルーツがあるためイタリア語で『自分を愛する』という意味なんです。
バイトばかりで「親への反抗期もなかった」
── お話ししていると、タレントさんというより女性経営者と話している感覚がします。学生時代のバイト経験が起業にもつながったと聞きました。
ダレノガレさん:「学費は出すけど、それ以外はすべて自分で稼ぎなさい」が、両親の方針でした。そして、「いろんな業界や職種を経験しなさい」と。そのため、クッキー屋さん、ドラッグストア、コンビニでバイトして、掃除から販売まで経験しました。
飲食店を2軒というようなことはなく、すべて違う業種でバイトしました。高校卒業後も、深夜のカラオケの清掃、歯科助手、とにかくいろいろ。
── 違ったバイトばかりだと、覚えることが多くて大変では?
ダレノガレさん:はい、慣れるまでが大変。だから何でもメモをとりました。クッキー屋さんでは、クッキーの写真を撮ってノートに貼って商品の名称を書いて覚えました。私、いまでも手書き派なんです。メモや写真でびっしりのノートが家に山のように残っています。いまでも思いついたアイデアやデザインを書いたりしながら、仕事をしています。
── うわー、真面目!努力家ですね。
ダレノガレさん:意外ですか(笑)。でも、働いてお金をもらうには相応の努力が欠かせません。両親が私に「自分で稼げ」と言ったのは、家にお金がないからというより、“お金の重みや働く意味”を、学ばせたかったからだと思います。
父からは「これからは女性も働き続ける社会になる。いまのうちに働くことを学びなさい」と。結局、私は反抗期もなく思春期を過ごしました。だって、学校に行く以外ずっと働いているので、余計なことを考える気力も残りません。自分でもよく模範的に働いてたなぁと思い出します。あのころに比べれば、いまのほうが体力的には楽なくらい(笑)。
── これはご両親の戦略勝ちかもしれません。
ダレノガレさん:バイトで働きづめで、両親とは朝晩ちょっと顔を合わせるだけなので反抗もせず、非行に走ることもなく高校時代を終えましたよー。もしかして両親はそれが狙いだったのかも(笑)。
保護猫に癒される「動物も必死で生きている」
── 働くのが大好きなのは伝わってきましたが、仕事ばかりでちょっと心配です。仕事以外で夢中になることは?
ダレノガレさん:動物が大好きで、保護犬・保護猫を支援する活動をしています。保護犬の施設でシャンプーすることもありますし、継続的に自宅で保護猫の預かりをしています。商品の売上の一部を施設へ寄付することも。
わが家にはすでに猫が一匹いるのですが、引き取り先が決まるまでの保護猫も預かっています。猫のためになるべく長期の出張は避け、日帰りできるよう調整していますが、どうしても宿泊が入る場合は事務所のスタッフの力を借りることもあります。
ひどい扱いを受けて人間を怖がる猫たちの心の傷を癒やす手伝いができれば…。5~6歳まで一度もシャンプーしてもらったことのない、うんちだらけの猫を必死で洗ったことも。保護猫預かりは、こちらも毎回大変な思いをするのでもういいかなとも考えますが、つい引き受けてしまうんですよねぇ…。やっぱり面倒な仕事が好きみたい(笑)。
PROFILE ダレノガレ明美さん
ブラジル人と日本人のハーフの父と、イタリア人の母を持つ三世。2012年5月にモデルデビュー。テレビ番組では、読売テレビ「ダウンタウンDX」等数々のテレビ番組に出演。イベントやプロデュース業をはじめ、さまざまな分野で活躍中。2017年に起業し、CAROME. Skin(カロミースキン)を経営。
取材・文/岡本聡子 写真提供/ダレノガレ明美