自分の顔写真と電話番号を街の電柱などに貼られる経験を想像してみてください。毒舌キャラで快活なイメージのダレノガレ明美さんに起きた現実。胸が苦しくなる過去を明かしてくれました。

 

今と変わらない!「高校時代」のダレノガレ明美さん

「お昼も体育もひとり」勘違いからハブられた半年間

── モデル・タレント、スキンケアやコスメの開発やプロデュースをする経営者として、活躍するダレノガレさん。“毒舌キャラ”でメンタルが強そうな印象を受けますが、もともとの性格なのでしょうか?

 

ダレノガレさん:メンタルが強くならざるをえない経験をしてきたからかな…。これまででいちばんツラかった経験は高校生のとき、クラスで半年間、ひとりぼっちになったことですね。

 

きっかけはささいなことで、クラスの女子のボス的存在の子に目をつけられちゃって。私、学級委員長だったので先生から「新しい教科書を取りに来て」と呼ばれ、そのとき手があいてる男子が手伝ってくれたんです。その男子が、たまたまそのボス的な子が好きな男子で…。「私が好きって知っていて、そういうことするの?」って怒り出して。

 

もちろん事情は知っていたし、「そうじゃないよ」と必死で伝えたんですが、「あんたはそういう女だ」って。結局、クラスの女子全員から無視されました。その男子が「明美ちゃんは悪くないよ」って、擁護したのも気に障ったみたい。半年間、登下校もお弁当も体育の授業もずっとひとりぼっち。

 

ダレノガレ明美さんが七五三のときに撮った家族写真

見かねた男子たちが「こっちにおいでよ」と言ってくれたんですが、それを受け入れると、より複雑になると思って、ひとりでいることを選びました。

 

── 半年間、ひとりはつらいですね。

 

ダレノガレさん:それだけならまだしも、街中に私のプリクラを貼られたり…。

 

── どういうことでしょうか?

 

ダレノガレさん:仲が良かったときに一緒に撮ったプリクラの「私の部分だけ」を切り取って、電柱や掲示板に貼るんです。顔写真の下にスマホの番号を書かれて。いろんな人から電話がかかってきて、怖くなってスマホを買い替えました。それからは誰にも教えないように…。

 

学校に通報があって問題になりましたが、そのときには剥がされていて、証拠がありませんでした。どこかのホームページにも個人情報を書き込まれて、大変でした。自分でためたバイト代でスマホを買い替えて、その後は誰にも番号を教えませんでした。

 

── 陰湿ですね。身の安全にかかわりますし、トラウマになります。

 

ダレノガレさん:そうなんですよ。いまでも、女子の集団は本当に怖くて。幼なじみの仲いい子と2人だけで旅行したり、ご飯食べたりするのがいちばん落ち着きます。基本、ひとりで大丈夫、ひとりが好きっていうのもこの経験があるからかも。

学校がすべてじゃない「バイト先に救われた」

── いじめを受けるダレノガレさんを見て、ご両親は?

 

ダレノガレさん:「学校をやめたい」って、両親に言ったことがあります。そうしたら、両親は「絶対にやめるな」と。「簡単にやめるクセがつくから」と言われました。そして、「死にたいと思うほど苦しくなったら、お父さんがなんとかする」「こんな経験でも、将来、何の役に立つかわからないから頑張ってみなさい」と。

 

そのときは絶望的な気持ちでしたが、いま思えば、その後の芸能界での誹謗中傷や炎上を耐えるメンタルの訓練になりました。高校は狭い世界ですが、芸能界は広いし、大人になって選択肢が増えたので、ある意味ラクです。

 

── いくらご両親の言葉とはいえ、当時はどんな気持ちで毎日学校へ?

 

ダレノガレさん:高校だけの生活だとまいっていたと思います。でも、私はいろんなバイトをしていたから、学校だけの世界ではなかった。土日のシフトで中高年の方と話していると、“人生はいろいろあるなぁ”と。ちょっとしたおしゃべりも気分転換になりました。バイト先では違う自分になれますし、異なる価値観に触れてホッとしました。

デビュー後「いじめた本人」から来たメッセージに…

── いじめを受けたのはツラい経験ですが、ダレノガレさんにとっては、いまを支える人生経験になったんですね。

 

ダレノガレさん:そうですね。クラスの女子も、ボスの女の子に逆らえなくて従っていたので、ある意味“被害者”と言えます。

 

そういえば、私がデビューしてから、そのボスの女子から連絡がありました。「いろいろあったけど、当時のことは笑い話だよね」って。いや、私は一生忘れないし、決して忘れることはできない。あの経験を忘れず、これからも強く生きていきます。

 

PROFILE ダレノガレ明美さん

ブラジル人と日本人のハーフの父と、イタリア人の母を持つ三世。2012年5月にモデルデビュー。テレビ番組では、読売テレビ「ダウンタウンDX」等数々のテレビ番組に出演。イベントやプロデュース業をはじめ、さまざまな分野で活躍中。2017年に起業し、CAROME. Skin(カロミースキン)を経営。

 

取材・文/岡本聡子 写真提供/ダレノガレ明美